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最終更新日:平成30年11月1日
近畿経済産業局では、女性起業家支援に取り組む関係者と一体となり、成長段階に応じた支援策のコーディネートを行う「女性起業家応援プロジェクト」を推進しています。
今回は、平成30年1月に開催したビジネスプラン発表会&交流会「LED(レッド)関西」において、ファイナリストとしてプレゼンを行ったKMPデザイン 代表 山本美央さんをご紹介します。
山本美央さん
山本さんは大学卒業後に大手医療機器メーカーに就職し、経営企画や広報を経験しました。結婚を機に退職後は、メーカーでの経験を生かして在宅で出来るデザインの仕事をしていました。長年関西を離れていましたが、数年前に神戸に戻ってきた後に起業の道へ進む転機が訪れました。
転機となったのは北海道の中小企業で宇宙開発に挑戦している植松努さんの夢の実現に向けた話を聞き、非常に感銘を受けたことです。その後、同じ思いを持つ主婦仲間5人で「こうべ未来プロジェクト」を立ち上げ、植松さんを講師に招き3,000人規模の講演会を開催しました。山本さんたちは3,000人を呼び込むため、行政や民間企業など様々な機関へ協力のお願いに奔走しました。その努力が実を結び、プロジェクトは大成功。このプロジェクト成功は、自分の思いに共感して応援してくれる人がいることで、主婦の自分でも何かを成し遂げることができるという山本さんの自信につながりました。その成功体験が後押しとなり、平成29年9月、チラシや名刺など各種デザインを請け負う「KMPデザイン」として開業届を出し、起業家としてのスタートを切りました。
LED関西でプレゼンを行う山本さん
LED関西へのエントリーは、商工会議所の勉強会で知り合った女性起業家から勧められたことがきっかけです。山本さんは「KMPデザイン 代表」であると同時に、「株式会社プリンス技研 取締役」でもあります。株式会社プリンス技研は、山本さんのお父様が創業されたプラスチック新素材の製造販売の企業です。平成26年から家業に入って営業として従事していましたが、かねてから父親の技術をより多くの方に知ってもらいたい、何か良い方法はないかと考えていました。その結果、たどり着いたのが株式会社プリンス技研の持つ特許技術を活用したバスグッズ「moreru:モレール」という製品のビジネスプランでした。この製品は連続気泡多孔体プラスチックを用いており、空気が通ることでカビやぬめりを防ぐという特長を持っています。
サポーター企業からはビジネスパートナーとなりそうな企業を紹介してもらうなどの機会も増え、LED関西のファイナリストとなったことで社会的信用が高くなったと感じています。また、デザイン関連の仕事ではプレゼンテーション技術向上セミナーの講師など、各種セミナーで登壇する機会も増えました。平成30年4月からは自治体の広報アドバイザーにも着任しています。
株式会社プリンス技研のプラスチック新素材
山本さんは平成30年9月末に、家業である株式会社プリンス技研のプラスチック新素材の販売会社として「KMP LAB」を設立しました。父親は技術に関してはとても詳しい一方、営業や販売などの実務は苦手です。そこを補うために山本さんはKMPデザインで培ってきたデザインの仕事などの経験を生かして、営業の役割を担っていきたいと考えています。将来的にはこの素材が誰もが知っている商品の材料として使われるようになり、社会の役に立てればと考えています。そのために、国内だけでなく海外にも積極的に売り込んでいく予定です。
近畿経済産業局 創業・経営支援課では、女性起業家応援プロジェクトのほかに、中小企業の若手後継者(アトツギ)の新規事業への挑戦を「ベンチャー型事業承継」(特集記事:「家業で起業!地域の新しいベンチャーのかたち「ベンチャー型事業承継」のススメ」)と定義して応援しています。このたびその取組の1つとして「アトツギと起業家のための知財戦略セミナー」を開催します。
神戸開催(11/28)では山本さんに講師として登壇いただくことになっています。
新しいサービスや商品の提供に向けて、商標・意匠(ロゴ、ネーミング、デザイン)の基礎知識を踏まえて、自社の強み発見から販路開拓、集客などにいたるまでブランド戦略を立てることが重要です。本セミナーは、先輩経営者から知財に関する体験談を聞くとともに、知財の基礎知識から応用まで学べる内容となっていますので是非御参加ください。
近畿経済産業局 産業部 創業・経営支援課
電話:06-6966-6014