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万博×水素で目指す世界
未来社会を見据えた水素エネルギー利用有人飛行ドローンの開発
担当課室:エネルギー対策課

最終更新日:平成31年1月7日

関西スマートエネルギーイニシアティブロゴ

昨年11月に、大阪・関西を会場とする2025年国際博覧会の開催が決定しました。55年ぶりに大阪・関西で開催される万博は、世界中に関西の産業・文化の魅力をアピールする絶好の場となることが期待されます。

近畿経済産業局が推進している「関西スマートエネルギーイニシアティブ」では、万博での展示を目標に、2050年未来社会に向けた水素エネルギーを原動力とした有人飛行ドローンの開発に取り組んでいます。今回はその取組について紹介します。

低炭素社会実現に向けた水素エネルギー利用

低炭素社会実現に向けた水素エネルギー利用

産業や人々の暮らしにとって、エネルギー問題は重要な課題の一つです。

このような中、地球規模で消費される様々なエネルギーの低炭素化に向けた温室効果ガス排出削減等の国際枠組みを決める「パリ協定」が、2015年に合意・発行され、各国での取組が活発化されています。

我が国においても、同協定を踏まえて策定した「第5次エネルギー基本計画」が、昨年7月に閣議決定されました。同基本計画では、2030年及び2050年を見据えた「脱炭素化」に向けた野心的な目標が示されており、水素社会の実現もその中で掲げられています。

水素エネルギーは、燃焼や燃料電池を使用してエネルギーを取り出す際にCO2を排出しません。また、水素は世の中に一番多く存在する元素で、再生可能エネルギーの活用等、様々な方法で生成する事が出来ます。

このため、温室効果ガスの排出削減とエネルギー安全保障の確保の観点で、水素は、将来のエネルギー選択における中心的役割を担うことが期待されています。

政府においても、「水素・燃料電池ロードマップ」や「水素基本戦略」を策定し、水素社会実現に向けた取組を行っているところです。

現在、水素エネルギーは、燃料電池自動車・フォークリフト等の燃料に使用されていますが、さらなる利活用の促進には、新たな用途開発や活用範囲の拡大が必要です。

人口減少問題に対応するドローン活用

2050年時点での日本の推計人口は約1億人で、現時点より2,500万人程度減少するとされています。また、地域別では、都市圏中心部への人口集中に伴い、郊外地域での人口減少が懸念されるとともに、中山間地域では過疎化(限界集落、消滅集落の発生)が顕著に進むと予想されます。

人口減少で問題となるのは、働き手の人手不足の他に、インフラ老朽化やその維持です。特に、国内の高速道路、トンネルなどのインフラ施設の多くが高度経済成長期に整備されたもので、これらは、近年老朽化が進み更新時期を迎えています。しかしながら、維持管理のための財源確保が困難で、それに伴うサービス水準の低下などが顕在化しています。

このような問題の解決策の一つとして、ドローンの活用が検討され始めています。飛行性能の高いドローンは、インフラ設備維持点検や物流(交通・輸送)のスマート化、農業分野での利活用が進められています。

また、現在、市場に投入されているドローンは、積載重量が最大で数十kg程度となりますが、ドローンの大型化により、人の搭乗を可能とすることも期待できます。道路が整備されていない区域などでの効率的な移動が可能となれば、災害時での人や大きな物資の運搬など、多くの活用が見込まれます。

水素エネルギーを活用した有人飛行ドローン開発に向けて

上記のような未来社会に向けた課題解決のため、水素社会実現も見据えた次世代モビリティの開発を目的として、「関西スマートエネルギーイニシアティブ」に「水素分科会」を設置し、平成29年度から、水素エンジンを動力源とする有人飛行ドローンの開発に係る具体的な検討を始めています。現在は、機体・エンジン分野などの関連企業や大学等と連携して、準備を進めているところです。

同プロジェクトの実現には、技術的・制度的・社会的にも課題は多いですが、未来社会での環境にも配慮したエネルギー利用方法の一つの方向性を示せればと考えています。

万博会場での有人飛行ドローンの展示に向けて

万博は、国際博覧会条約に基づく大規模なイベントで、地球規模のさまざまな課題に取り組むために、世界各地から英知を集める場です。

2025年に我が国が提案する万博は、「いのち輝く未来社会のデザイン“Designing Future Society for Our Lives”」をテーマとし、世界中の一人ひとりが自らのポテンシャルを発揮できる生き方や、その生き方を支える持続可能な社会を実現することを目指しています。

また、「未来社会の実験場“People’s Living Lab”」のコンセプトのもと、人類共通の課題解決に向け、先端技術など世界の英知を集め、新たなアイデアを創造・発信することを志向しています。

2025年国際博覧会会場イメージ1
2025年国際博覧会会場イメージ2
2025年国際博覧会会場イメージ (出展:経済産業省)

このような機運の中、「関西スマートエネルギーイニシアティブ・水素分科会」においても、未来社会に向けた課題解決策の一つとして、2025年国際博覧会の会場で、次世代型のモビリティ「水素エネルギーを活用した有人飛行ドローン」の展示を目指します。

そこでは、さらにその先の2050年に、CO2を全く排出しない環境に優しい水素エネルギーのモビリティが、当たり前のように行き交う未来社会のイメージを提案します。

水素関連事業報告会および参画企業募集

2018年1月21日(月)に、水素関連事業報告会および参画企業等の募集を行います。聴講の申込みは、以下よりお願いします。

関西スマートエネルギーイニシアティブ 水素関連事業報告会

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 エネルギー対策課

電話:06-6966-6043

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