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最終更新日:平成31年1月7日
エネルギーはあらゆる国民生活、産業活動を支える基礎であり、我が国ではそのエネルギー源のほとんどを海外に依存しています。このような中、将来のエネルギー利用、エネルギー源の選択、エネルギー技術開発を担う次世代の子供達に対して、エネルギーを巡る現状やエネルギー問題に関する総合的な見方や考え方を育成する「エネルギー環境教育」は大変重要です。
現在、学校教育の場だけでなく、民間企業や経済団体においても、教材の開発や体験学習など、工夫を凝らした取り組みが積極的に進められており、それらを「エネルギー環境教育の取組」としてシリーズで紹介します。今回は大和ハウス工業株式会社です。
建築物や住宅の省エネルギー化は、業務・家庭部門において高い省エネルギー効果が期待される取り組みであり、昨年の7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」においても、2030年までに新規建築物や新規住宅において、平均でネット・ゼロ・エネルギーの実現を目指すとともに、生活の質を向上させながら省エネルギーを推進するライフスタイルの普及を進めていくとしています。
このように省エネルギーに貢献する建築物の導入拡大に向けて、官民を挙げた研究開発や普及への支援が展開されている中、環境性を追求した住居空間の提供を長年実施してきた大和ハウス工業(株)では、地域共生活動の一つとして、「暮らしと住まい」をテーマに、次世代の子供たちを対象とした様々な教育支援活動を行ってきました。
そのうち同社が展開する環境教育「はぐエコ」は、楽しみながら環境問題について考え、発見するきっかけづくりを提供しており、2005年より小学生や幼児と、その保護者を対象に展開しています。
かつて大きなエネルギーを手軽に利用することが難しかった時代において、人々は自然の力を利用することで、エコな生活を送るための知恵を身につけていました。大和ハウス工業(株)では、「はぐエコ」の一環として、そのような古来の知恵を伝え、自然環境とともに生きる住宅文化を学ぶことができる「こどもエコ・ワークショップ」を展開しています。
このワークショップは、小学生とその保護者向けに、「夏涼しい家」「冬あたたかい家」をテーマに、風、水、光、樹木などの自然の力を活用したエコな家とは何か、同社の従業員が講師としてヒントやポイントを解説するとともに、講義だけでなく家模型の作成や発表を通して、自然を活かした環境性能の良い家の仕組みを学ぶプログラムとなっています。
2005年より始めた当ワークショップは、要望に応じて実施時期や場所などを柔軟に対応するなど、依頼側のニーズに沿った開催を継続することで、2018年9月末時点での実施回数は88回を数え、累計参加人数は約6,700人となっています。
こどもエコ・ワークショップの様子
講師からのヒントをもとに家模型を製作
また昨年から取り組みを始めたのが、東南アジアなど海外の住居を事例とした、自然環境にあった家や暮らし方を学ぶ幼児向けの親子参加型プログラム「おうさまとおうち」です。
このプログラムでは、講師が開催場所となる園(幼稚園や保育園)に実際に訪問するより前に、教材となる紙芝居を園に提供し事前に実施してもらうことで、当日の教育効果をより高いものにしています。
紙芝居の中身は、王様が試行錯誤しながら自然環境に対応した「おうち」を作ろうとする内容となっており、プログラム当日は従業員が紙芝居に出てきた王様として登場、事前に学んだ紙芝居のふりかえりをクイズ形式で行い、段ボールブロックを用いて、紙芝居に出てきた「おうち」を園児・保護者みんなで協力して作ります。
このプログラムに参加した園児たちは、自然環境に沿った様々な暮らしや住まいがあることを知り、自然とエコに敏感な感性を身に着けることができます。
また、このプログラムにかかる教材は無償で園に提供されており、日々教材づくりに忙殺される園の先生たちにとっても事務負担の観点から非常に好評です。加えて、新規住宅購入者の約7割が幼児を持つ世帯であることから、当プログラムは同社の重要な顧客層へのPRにもつながっており、園と同社との間でwin-winの関係が成り立っています。
この取り組みは2018年末時点において計4回開催しており、約120名の参加者を集めました。
紙芝居に登場した「おうさま」が登場
子どもたちの歓声が響きます
段ボールブロックを使って
大きな「おうち」をみんなで建設
大和ハウス工業(株)では、創業100周年にあたる2055年に目指すべき姿を示した「環境長期ビジョン」を策定。その実現に向けて3か年ごとの具体的な目標と計画を「環境行動計画」として策定し、「環境と企業収益の両立」に向けた取り組みを推進しています。
次世代に向けた環境教育活動もその一つです。顧客リレーション強化の一環として積極的に実施していくとともに、現在一部の事業所で実施している取組についても、今後全国にある約80の事業所を中心に水平展開していく予定です。
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源エネルギー環境課
電話:06-6966-6041