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ベトナム・ドンナイ省において「コーディネータ人材」を育成しています
~ものづくり中小企業のベトナム進出支援の取組~
担当課室:国際事業課

最終更新日:平成31年3月12日

近年ベトナムは「チャイナ+1」の有力候補として注目を浴びており、数多くの日系企業や外資系企業が進出しています。このような状況を背景に、近畿経済産業局は、ホーチミン市人民委員会、ドンナイ省人民委員会との間で関西との経済発展を促進することを目的とした協力文書を締結し、この枠組のもと同省に進出する日系企業のワンストップ相談窓口である「関西デスク」が現地に設置されました。また、近畿経済産業局では関西地域のものづくり中小企業の進出促進、現地投資環境の改善に向けた取組を行っています。

平成28年度に近畿経済産業局が実施した「TPP発効を見据えたベトナムのものづくり拠点化調査」において、ベトナムにおける裾野産業はまだ発展段階にあることから進出日系企業の現地調達率は中国やタイに比べて低く、ベトナム企業の情報等を得られる現地のネットワークも不十分であることが分かりました。また、生産現場における管理者・熟練技術者の不足、ものづくりを担える人材の育成と確保が大きな課題としてあげられました。

現地コーディネータ人材の育成事業

平成29年度より、ベトナム企業、日本企業、地元大学等をつなぐネットワーク構築を目的として、ドンナイ省においてコーディネート機能を担う人材(コーディネータ)の育成に取り組んでいます。今回は今年度実施した取組をご紹介します。

1.訪日研修

ベトナムへの進出を検討する関西のものづくり企業への訪問や日本人コーディネータによる講義を通じて、コーディネートにおける実務を習得し、実践していただくために、ドンナイ省計画投資局、商工局、ドンナイ省工業団地管理局、教育機関、民間企業から選ばれたコーディネータ候補者10名を対象に日本で研修を実施しました。また、研修期間内には、「関西・ベトナム進出企業ネットワーク交流会」(※)を開催し、ベトナムに既に進出している、または進出を検討している企業とコーディネータ候補者との交流の場を設けました。本交流会は「ベトナム進出時あるいはベトナムでの事業展開における課題」をテーマとし、参加企業からあげられた様々な課題を直接ヒアリングすることでコーディネータとしてのスキルアップを図りました。

実施概要
  • 時期:
    平成30年8月29日(水)~9月4日(火)
  • 場所:
    関西地域
  • 参加者:
    ドンナイ省コーディネータ(10名)
  • 内容:
    企業訪問(進出検討企業等)、日本における支援策及びコーディネータ事  例紹介・意見交換、日本企業との交流会 等
企業訪問

企業訪問

講義

講義

交流会(企業ディスカッション)

交流会(企業ディスカッション)

交流会(コーディネータ候補者)

交流会(コーディネータ候補者)

※関西・ベトナム進出企業ネットワーク交流会
関西のベトナム進出企業(進出に関心の高い企業を含む。)が集まり、企業間のゆるやかな交流等を通じた現地の情報共有や課題解決を目的に、平成29年より開催しています。

2.専門家派遣の実施

(1)ものづくり人材交流会 in Dong Nai

平成26年度より、(独)国際協力機構(JICA)、大阪府、(公財)太平洋人材交流センター(PREX)及び当局の支援を受け、日本型ものづくり人材育成のため、ドンナイ省のラックホン大学とドンナイ高度職業訓練短大を対象として日本型ものづくりの基本(3S、労働安全)を指導するカリキュラムの策定・教員研修を実施してきました。

そして近年、その成果として、現地の大学・短大から日本語や日本型ものづくり教育を学んだ学生が多く輩出され始めています。こうした学生を中心とした知日産業人材を日系企業に取り込み、関西とベトナムとの経済交流の更なる拡大や日系企業の進出増加へとつなげるために、ドンナイ省政府機関と近畿経済産業局を中心に、コーディネート実践の場としてものづくり人材交流会を実施しました。交流会では、ベトナム工場であるドンナイ省人民委員会副委員長のTran Van Vinh氏が挨拶を行い、続いて日本でも多くのベトナム人を雇用し、ベトナムでの事業の立ち上げ・拡大に成功している(株)中農製作所や、(株)伸和製作所の子会社であるKSM Co.,Ltdから講演がありました。また、現地メディアにも日系企業と学生の交流会として大きく取り上げられました。参加した企業の中には、交流会をきっかけに実際に学生の採用に至ったところも複数あり、「また参加したい」という声を多くいただきました。

実施概要
  • 日時:
    平成30年10月18日(木)
  • 場所:
    Central Park Hotel 3階「Orchid」
  • 参加者:
    ラックホン大学とドンナイ高度職業訓練短大の学生・卒業生約100名、日系企業約20社
  • 内容:
    (1)講演1「ベトナム人材の活用と幹部登用(採用側からの期待)」
    (2)講演2「日系企業への就職を希望する学生へのアドバイス~日系企業で働く際に  大事なこととは~」
    (3)ドンナイ省地元大学による人材育成取組発表
    (4)日系企業と学生との交流会・名刺交換会
日系企業から説明を受ける学生

日系企業から説明を受ける学生

ドンナイ省人民委員会副委員長Tran Van Vinh氏

ドンナイ省人民委員会副委員長
Tran Van Vinh氏

(2)産学連携交流会(オープンラボ) in ラックホン大学

ドンナイ省ラックホン大学で日系企業と現地大学をつなぐ場づくりの実践演習として産学連携交流会を実施しました。13社の日系企業等が参加し、近畿大学で数多くの産学連携に取り組む専門家による、海外での産学連携事例やラックホン大学での企業連携事例に関する講演をはじめ実際に学生が3Sや労働安全を学ぶ環境を視察することで、交流を深めました。また、意見交換会では、企業が大学に求めることや大学が企業に期待すること等について双方から活発な意見が出ました。参加した企業からは実際に大学を見学でき、非常に良い機会だったといった声もあり、従来の人材育成や生産改善等だけではなく、将来的に日系企業と現地大学が共同研究において産学連携が進むことが期待されます。

実施概要
  • 日時:
    平成31年1月14日(月)13:30~16:30
  • 場所:
    ラックホン大学 第6キャンパス
  • 参加者:
    ベトナムへ進出しているまたは進出を検討されている日系企業13社
  • 内容:
    (1)講演「海外で産学連携をどのように行うか?~成功の鍵~」
    (2)ラックホン大学による事例発表・実演・キャンパス見学
    (3)ロボコンに関する活動発表
    (4)意見交換会/質疑応答
講演時の会場の様子

講演時の会場の様子

キャンパス見学時

キャンパス見学時

関西デスクについて

ベトナム政府機関との協力文書締結により、日本企業のベトナム進出時における各種行政手続関係のサポートや進出後の現地政府関係局へのつなぎ役などを行う目的で、ドンナイ省とホーチミン市の工業団地管理局内に「関西デスクが」設置されました。双方ともメールでは日本語対応が可能で、無料でご利用いただけます。


ドンナイ省関西デスク:kansai@diza.vn


ホーチミン市関西デスク:kansaidesk@tphcm.gov.vn


ドンナイ省関西デスクには、上記のコーディネータ候補者が担当者の一人として在席しています。

関連施策へのリンク

関西とベトナムとの経済交流事業

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 通商部国際事業課

電話:06-6966-6032

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