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近畿の電源地域で地域活性化の取組を行う企業・団体をご紹介します
青葉山麓研究所【福井県高浜町】
担当課室:資源エネルギー環境課

最終更新日:令和元年7月1日

高浜町で薬草栽培を行う「青葉山麓研究所」をご紹介します

植物の宝庫「青葉山」

高浜町の美しい夕日と青葉山

高浜町の美しい夕日と青葉山

高浜町西端に位置する青葉山は、標高693m、別名「若狭富士」と呼ばれる美しい山で町のシンボルとなっています。日本の夕日百選にも選ばれており、登山客にも大変人気です。

そんな青葉山には、上腹には列島北部の植物、中腹には列島南部の植物が自生するなど、列島南北のほぼ中央に位置する立地環境から、非常に多くの品種からなる植物が存在しています。

青葉山でしか生育が確認されていない日本固有種の「オオキンレイカ」や、氷河期時代の遺伝子が引き継がれている巨大杉など、非常に希少性の高い植物が分布しています。

青葉山麓研究所の設立

連携協定書

連携協定書

このように青葉山が保有する豊富な植物の保全や有効活用を目的に、地元農業者、林業者が中心となり2013年9月に「青葉山麓研究所」が設立されました。

青葉山麓研究所は「環境・教育・文化・産業」の4つの部会から構成されており、設立当初は主に環境部会において獣害対策などの環境保全活動を中心に活動し、薬草の活用については産業部会の一部として位置付けられていました。

そんな中、青葉山麓研究所メンバーの人脈により、薬草関係の有識者を通じて公益社団法人東京生薬協会、および独立行政法人医薬基盤研究所と巡り合うこととなり、2015年には高浜町と東京生薬協会、医薬基盤研究所との間で、指導員の派遣や種苗の提供などで協働する「薬用植物国内栽培の促進に関する連携協定」を締結することとなりました。

この協定の締結により、高浜町において青葉山麓研究所による薬草栽培が本格的に開始されることとなります。

薬草の産地化に向けて

薬草育苗センターの全景

薬草育苗センターの全景

薬草の産地化に向けて、どのような品目を作付けしていくべきか、地形や気候、薬価や市場ニーズなど多くの条件を考慮し、東京生薬協会からの助言を頂きながら検討を進めました。

結果、現時点ではミシマサイコ・キキョウ・ゴシュユ・コウホネなど、10品目以上を選定し栽培を行っています。

栽培する薬草の種苗については、青葉山で取られた薬草から採種されたものに加え、医薬基盤研究所から提供された基原が明確な種苗についても、実験データを取りながら町内にある薬草育苗センターにて育苗されています。

育苗されたこれらの種苗は、栽培協力先の町内の農家に提供・栽培され、収穫後、再び育苗センターで修治(しゅうち)※と呼ばれる工程を経て生薬問屋に販売されます。

なお、生薬問屋への販路を確保していることから少量での販売も可能となっており、このような確実な販路先の確保は、長期的な視点に立った薬草栽培の推進において非常に重要な要素となっています。

※修治(しゅうち)とは、洗浄、切断、乾燥などの加工を施すこと。

修治作業の様子1
修治作業の様子2
修治作業の様子

地域と共に進める薬草栽培

高浜町は海岸線と山間部の距離が近いため、他市町と比べ農業基盤が狭く、併せて耕作放棄地や遊休農地も増加していることから、付加価値の高い耕作物への転換が求められています。よって、薬草栽培を進めるにあたっては、地元農家の協力が非常に重要となります。

地元への説明会においては、農業を取り巻く環境変化の中、従来の稲作依存からの脱却の必要性について強調するとともに、特に国内使用量(35t)のほとんどを中国に依存している「ゴシュユ」においては、国内では高浜町でしか生産できないといった利点を強調し、栽培面積の拡大や販路拡大に向けた背景を明確にするなど、闇雲に薬草栽培を進めるのではなく、地元農家の理解を得る取組を地道に実施してきました。

また、薬草茶・薬酒・薬膳カレーなど、薬草を使った料理の体験会などを開催し、町民に対して薬草栽培の取組みをPRするとともに、平安時代より厄除けとして作られてきた茱萸嚢(しゅゆのう)と呼ばれるお守りを「ゴシュユ」を使い製作するなど、六次化商品の開発も進めており、更なる栽培拡大に向けた活動を実施しています。

薬草茶作り体験会

薬草茶作り体験会

ゴシュユを活用した茱萸嚢(しゅゆのう)制作

ゴシュユを活用した茱萸嚢(しゅゆのう)制作

今後の展望

現在、日本では国内で使用される薬草の多くを中国から輸入していますが、昨今価格が高騰してきており、今後、国内産に対するニーズはさらに高まると予想されます。

このような中、特に「ゴシュユ」「コウホネ」については、国内において高浜町が栽培する品種のみ基原が証明(交配が進んでいない)されているなど、付加価値の高い希少な品種を栽培できる強みがあります。

今後、このような強みを活かしながら、海外も含めた販路拡大を狙うとともに、今まで培った栽培のノウハウを「栽培マニュアル」として整備し、生産農家の育成を進めることで、更なる薬草栽培の拡大を目指していきます。

高浜町役場からの推薦コメント

薬草育苗センターでの薬草の安定供給に向けた体制が徐々に整い、生薬メーカーへの販売も始まりました。薬草の産地化に向けて、さらなる販路の拡大と生産者育成ための取組を進めて行きます。

関連施策へのリンク

青葉山麓研究所

近畿電源地域チャンネル

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 資源エネルギー環境課

住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44

電話番号:06-6966-6041

FAX番号:06-6966-6089

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