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(株)服部商店の製品「セナフ®」について
セルロースナノファイバーがもたらす新たなビジネスの創造
担当課室:製造産業課

最終更新日:令和元年9月2日

原料の木質繊維が森林から供給される再生可能な高機能材料として注目される新素材「セルロースナノファイバー(CNF)」。近畿経済産業局では、CNFの実用化を図るため、平成26年12月から「部素材―CNF研究会」を運営し、関西に集積する不織布、プラスチック、ゴム関連企業等を中心に、CNFとの複合化による新素材開発を目的とした企業間マッチング等の各種支援を行ってきました。平成29年10月には、全国のCNF支援組織等と連携・協力のもと、全国規模での常設的なマッチング事業が実施できるよう「新素材―CNFナショナル・プラットフォーム」を立ち上げ、さらなるCNFの実用化の加速化を目指して支援を行っています。

今回は、CNFの市場拡大に積極的に取り組まれているCNF原料メーカー「(株)服部商店」を紹介します。

セルロースナノファイバー(CNF)とは

CNFは、木を構成する植物繊維を細かくほぐす(機械解繊等)ことで得られるナノサイズ(1nmは1mmの100万分の1)の極細繊維で、以下のような多様な特性があり、これからの新素材として注目されている次世代高機能素材です。

  • 鋼鉄の1/5の軽さで、鋼鉄の5倍以上の強度
  • 熱による変形がガラスの50分の1程度
  • 比表面積が大きい(例:においの除去効果が倍増)
  • 植物由来であるため環境負荷が少なく持続可能な資源 等

企業概要

(株)服部商店は、昭和22年、名古屋市中区において、硫酸・苛性ソーダを中心とした工業薬品を販売する会社としてスタートしました。昭和26年に京都市伏見区淀に淀工場を設立し、染色助剤である芒硝(ぼうしょう)やシーリング材、接着剤の製造・販売を行ってきました。平成28年に、全国で初めて、非水系媒体に分散させたCNF(「セナフ®」)の開発に成功するなど、次世代の新素材であるCNF開発事業にも積極的に取り組んでいます。

製品「セナフ®」開発のきっかけ

同社は、もともと住宅のひび割れ注入材や補修材等に使用されるエポキシ樹脂の取扱いを始めていた頃、阪神・淡路大震災を機に耐震基準が見直され、地震の揺れに対し、追従する柔軟強靱性を有するエポキシ樹脂が求められるようになりました。

当時(平成22年)、引張試験において1MPaの引張強さで440%の伸びを有するエポキシ樹脂配合系は開発されていました。さらなる補強性の付与を検討していたところ、平成24年、(地独)京都市産業技術研究所の紹介でCNFの存在を知り、CNFを利用した新素材の研究開発を開始しました。しかしながら、従来からある親水性CNFであったため、疎水性のエポキシ樹脂とはうまく混ざりませんでした。

そこで同社は、エポキシ樹脂に適したCNFの開発に取組み、「化学処理したパルプは疎水性なので有機媒体中で解繊できるのではないか。」との着想から、京都市産業技術研究所による原料メーカーとのマッチングにより、平成28年には全国で初めて非水系媒体に分散させたCNF「セナフ®」の開発に成功しました。

自社開発された「セナフ®」はエポキシ樹脂に混合することが可能となり、柔軟性を維持しつつ強度アップを実現しました。

製品「セナフ®」の特徴

セナフは、オイル、可塑剤、オリゴマー、液状樹脂、高沸点溶剤といった非水系媒体中に分散したCNFになります。現在、顧客からの持込み媒体中でのCNF分散剤の作製も多くなっているようです。

セナフはエポキシ樹脂以外に、非水系の塗料や接着剤、さらにゴム材などに容易に分散し、汎用の分散機で混合可能なCNF分散剤として使用可能です。補強性、増粘性、チキソトロピー性などCNFが有する多様な特性を付与することができます。最近の事例では、NTN(株)においてベアリング用グリースの増ちょう剤として従来のグリース剤に比べて、転がり抵抗が低下することが確認されています。

セナフは、使用用途に応じて解繊度合やCNF濃度を10 wt%程度まで調製可能なため、今後の幅広い用途展開が期待されます。

<製品「セナフ®」>

<製品「セナフ®」>

<活用事例:グリース剤(NTN(株))>

<活用事例:グリース剤(NTN(株))>

今後の展開

様々な非水系媒体中においてパルプを解繊したセナフは、各種材料へ直接添加できるCNF分散剤として注目されており、現在、熱硬化性樹脂分野や塗料分野、接着剤分野をはじめとする、幅広い分野において、サンプル提供や共同開発が行われています。強度や分散性向上といったセナフの特長を活かして、ユーザー企業との協業等により、今後、さらなる用途展開を目指しています。

当局としましても、新素材―CNFナショナル・プラットフォームとして、CNFサンプル提供企業とユーザー企業とのマッチング事業や展示会出展等を通して、新規市場開拓に向けた継続的な支援を行います。企業間マッチングによりCNF複合化、添加機能化等による改良品、新製品等が開発され、CNF市場が拡大されることを期待しています。

<用途展開イメージ図>

<用途展開イメージ図>

掲載関連情報

企業
株式会社 服部商店 淀工場
所在地
京都府京都市伏見区淀美豆町705
電話番号
075-631-3128

関連施策へのリンク

部素材産業-CNF(セルロースナノファイバー)実用化への取組み

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 製造産業課

電話:06-6966-6022

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