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最終更新日:令和元年11月1日
※健康経営は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。
健康経営とは、日本再興戦略、未来投資戦略に位置付けられた「国民の健康寿命の延伸」に関する取組のひとつです。
超高齢化社会を迎える中、健康管理や疾病予防、重症化予防の重要性が高まっており、また労働力人口の減少が進む中で生産性向上のための従業員の健康保持・増進は不可欠であり、健康管理に必要な経費を「コスト」ではなく「投資」と捉え経営戦略として実践することが重要となっています。
また、近年世界的に機関投資家がESG(Environmental:環境・Social:社会・Governance:企業統治)を投資判断に組み入れる動きが浸透しております。さらに、「国連責任投資原則」においてもその動きを推進しています。健康経営は、従業員の健康や活力を向上させる中長期的な取組であり、ESGのS「Social(health and safety)」に位置づけられ、世界的に見ても企業価値向上のために重要です。
健康経営への取組を続けることは、2015年9月の国連サミットで採択された、持続可能な開発目標「SDGs」の目標に掲げられている「健康・長寿の達成」、「働きがいも経済成長も」にも繋がり、今後の企業経営として必要な取組です。
既に取り組んでいる企業においては、採用活動や事故・労災リスクの低下に役立つというような意見も出ています。
健康経営とは
経済産業省では、2015年から東京証券取引所と共同で健康経営に取り組む上場企業を対象として「健康経営銘柄」の選定を行っています。2017年からは上場企業に限らず健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」する「健康経営優良法人認定制度」を大規模法人及び中小規模法人を対象として実施しています。
評価項目は「従業員の健康課題の把握と必要な対策の検討」(定期検診受診率実質100%、健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標の設定、等)や、「従業員の心と身体の健康づくりに向けた具体的対策」(運動機会の増進に向けた取組、受動喫煙対策に関する取組、等)です。
健康経営に係る顕彰制度
2015年7月に経済団体、医療団体、保険者などの民間組織により発足した「日本健康会議」では、健康経営にかかる数値目標を設定しています。健康経営に取り組む企業の数値目標が上方修正され、大規模法人による健康経営度調査回答数や中小規模法人の認定数に見られるとおり、今後もさらなる増加が見込まれます。近畿における認定企業数(中小規模部門)についても、2017年44件、2018年138件、2019年545件と増加傾向にあり、健康経営への取組が浸透しつつあります。
過去5回の健康経営度調査回答企業数の変化
過去3回の健康経営優良法人(中小規模法人部門)認定数の変化
および2019年の近畿地域における府県別認定件数(中小規模法人部門)
健康経営に取り組む企業の裾野拡大を目的として、2020年の「健康経営優良法人認定制度」について大規模法人部門、中小規模法人部門ともに制度の見直しが行われました。大規模法人部門では、経済産業省が行う健康経営度調査に回答した内容が、回答法人全体を統計分析した結果と比べて、上位50%以内に位置していることが認定要件に入っていましたが、今回からその制限は廃止され、基準を満たせば認定されます。中小規模法人部門では申請者のユーザビリティ向上を目指して申請方法の一部が電子化されます。
また、大規模法人部門において、特に優良な取組を実施している法人を「ホワイト500」として選定していましたが、今後は中小規模部門についても対外的な取組の発信を積極的に行っている企業等を対象として表彰することを検討中です。
経済産業省では健康経営度調査に回答する大規模法人や健康経営優良法人申請企業を対象に、企業における健康投資とその効果等に関するアンケートを実施しています。その結果をもとに健康投資と経営状況の関連を調査し、ガイドラインを作成する予定です。
このような健康経営の流れを受け、管内の自治体においても、企業の持続可能性向上を目的として健康経営の普及啓発に向けた取組が進められています。
(例)
また、自治体や企業、医療機関等が連携して地域課題の抽出とそれらを解決するビジネス拠点として設置された「地域版次世代ヘルスケア産業協議会」を活用し、健康経営を実践する上で必要となるヘルスケア製品やサービスの社会実装に寄与する取組が行われています。
さらに、「企業による従業員の健康増進に係る取組」に対する自治体の表彰制度や地方銀行、信用金庫等による低利融資等のインセンティブを付与する施策も増加しており、今後のヘルスケアビジネスの広がりとより多くの地域における健康経営の浸透が期待されます。
近畿経済産業局では、これらの自治体の取組を支援するため、地域イベントでの制度説明、広報協力、相談対応を行っており、管内の自治体とともに、健康経営の更なる普及促進に努めています。
健康経営にこれから取り組まれる方におかれましては、2016年度に実施した「近畿地域における健康経営普及啓発調査」の結果を「中小企業における健康経営のススメ~健康経営の実践に役立つ事例集~」として取りまとめていますので、ぜひご覧ください。
健康経営の推進に関する地域のインセンティブ措置例
中小企業における健康経営のススメ~健康経営の実践に役立つ事例集~
近畿経済産業局 地域経済部 バイオ・医療機器技術振興課
電話:06-6966-6163