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最終更新日:令和2年1月7日
関西地域(近畿経済産業局管内/福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の全国におけるシェアをみると、総面積は8.3%(2018年10月1日現在)ですが、輸出通関額(2018年)が21.0%、百貨店・スーパー販売額(2018年)が19.5%、製造業事業所数(2018年)が19.2%、製造品出荷額(2018年)が16.6%、総人口(2018年1月1日現在)が16.9%、域内総生産(2016年度)が15.9%となっており、関西地域の経済規模は全国に対して2割弱を占めていると言えます(図1)。
また、主要国の名目GDP(図2)をみると、関西はトルコ(世界17位)に次ぐ経済規模となっています。
図1 全国における関西地域のシェア
出所:全国都道府県市町村別面積調(国土地理院)、住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査(総務省)、国民経済計算及び県民経済計算(内閣府)、工業統計調査(経済産業省)、商業動態統計調査(経済産業省)、(一社)全国軽自動車協会連合会、(一社)日本自動車販売協会連合会、公共工事前払金保証統計(北海道建設業信用保証㈱、東日本建設業保証㈱、西日本建設業保証㈱)、貿易統計(財務省、大阪税関)
図2 主要国の名目GDP
出所:総務省「世界の統計」、内閣府「県民経済計算」
注)関西は2016年度、他は2016年の暦年計数。為替レートは世界の統計より(108.793円/ドル)
関西地域の域内総生産の産業別構成比をみると(図3)、農林水産業は0.4%、製造業は22.1%、卸売・小売業や不動産業等を含む第3次産業は約4分の3のウェイトを占めます。
図3 関西地域内総生産(名目)の産業別構成比(%)
出所:内閣府「平成28年度県民経済計算」
製造業の出荷額構成比(図4)をみると、全国と比較して、化学、鉄鋼、はん用機械などのウェイトが高くなっています。また推移(図5)をみると、製造品出荷額は1985年以降概ね横ばいで推移しています。全国におけるシェアは、2005年まで低下した後、下げ止まり、直近3カ年は緩やかながら上昇しています。
図4 関西と全国の製造品出荷額構成比
出所:経済産業省「工業統計調査」平成30年
図5 関西の製造品出荷額の推移(従業者4人以上の事業所)
出所:経済産業省「工業統計調査」、総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」
我が国経済は、2019年7-9月期のGDP成長率(2次速報)が物価変動の影響を除いた実質で4 四半期連続のプラスとなりました。また、景気動向指数の一致指数は10月時点で2か月ぶりに下降しており、基調判断は3ヶ月連続で「悪化を示している」としています。
当局では、毎月公表の「近畿経済の動向」の中で関西の景況判断をしています。1年間を振り返りますと、輸出の弱さが長引いているものの、個人消費や設備投資を中心に総じて好調に推移しており、基調判断は「緩やかに改善している」としています。
生産は、昨年好調だった生産用機械が弱含みに推移するなど、前半は足踏み状態でした。後半は緩やかな持ち直しの動きにあるものの、在庫調整や中国経済の減速の影響等により、一服感がみられました。業種別には、汎用・業務用機械工業、輸送機械工業が比較的高い水準で推移し、生産活動を牽引しています。(図6)
図6 鉱工業指数
出所:近畿経済産業局「近畿地域鉱工業生産動向」、経済産業省「鉱工業指数」
個人消費のうち、百貨店・スーパー販売額(図7)をみると、梅雨明けの遅れや冷夏の影響により7月は落ち込んだものの、8月には盛夏によって回復し、9月は高額品や化粧品等の需要増により大幅アップとなりました。しかし、10月は気温高による季節商品の不調、免税売上げの伸び悩み等で落ち込んでいます。乗用車新規登録・届出台数(図8)は、年初から普通車を中心に好調を維持し、9月には新型車の投入効果も含め需要増により大幅アップとなりましたが、10月はその反動で大きく落ち込んでいます。家電販売額(図9)は、百貨店・スーパーと同じく天候不順の影響で7月は落ち込んだものの、8月にはエアコンなどが回復し、9月はさらに白物家電を始め需要増により大幅アップしましたが、10月はその反動で大きく落ち込んでいます。個人消費は総じてみれば好調に推移していますが、今後の動向を注視する必要があります。
図7 百貨店・スーパー販売状況
出所:近畿経済産業局「百貨店・スーパー販売状況」
図8 乗用車新規登録・届出台数
出所:(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会
図9 家電販売額
出所:経済産業省「商業動態調査」
関西国際空港の国際線を利用する旅客数(図10)をみると、引き続き基調は前年を上回っているものの、後半は9月の反動増を除き、その勢いが鈍化しています。関西の百貨店免税売上(図11)も2月以降は前年比プラスが続いたものの、その伸びは鈍化しており、10月は前年を割り込む結果となりました。
図10 関西国際空港の国際線を利用する航空旅客数の推移
出所:関西エアポート㈱報道発表資料
図11 百貨店免税売上(関西地域)
出所:日本銀行大阪支店
貿易(輸出)額(図12)は、一昨年の11月以降、昨年8月まで10ヶ月連続で前年比マイナスとなりました。9月は一昨年の台風の反動増によりプラスに転じたものの、10月は再びマイナスとなり、減少傾向が続いています。地域別には中国などアジア向けの減少、品目別には半導体等製造装置や科学光学機器の減少が大きくなっています。
図12 輸出
出所:大阪税関、財務省「貿易統計」
雇用情勢は、完全失業率(図13)が3%を下回る低水準で推移し、雇用者数も増加するなど改善しています。また、有効求人倍率(図14)は昨年に引き続き約1.60倍の高水準を維持しています。
図13 完全失業率
出所:総務省「労働力調査」
図14 有効求人倍率
出所:厚生労働省「一般職業紹介状況」
これから関西経済が持続的に改善していくためには、引き続き積極的な設備投資、労働生産性の向上、所得改善による消費の拡大が不可欠です。また、外国人観光客が増加する中で、インバウンド需要を一層取り込み、関西経済の成長へつなげていくことが期待されているところです。
一方で、管内企業からは米国と中国との間での貿易摩擦を始めとする、国際経済の変調への懸念の声も聞かれます。2018年の貿易統計で海外との結びつきをみると、全国ではアメリカ向けのシェアが高いのに対し、関西では中国向けのシェアが高いという特徴があります。関西は中国をはじめアジア地域との結びつきが強いため、今後より一層中国・アジア経済の動向について注視が必要です(図15、16)。
図15 関西の輸出額の国別構成比(2018年)
出所:大阪税関「近畿圏貿易概況」
図16 全国の輸出額の国別構成比(2018年)
出所:財務省「貿易統計」
近畿経済産業局 総務企画部 企画調査課
電話:06-6966-6004