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最終更新日:令和2年3月2日
近畿経済産業局は、海外で加速化する3D積層造形の量産化に対応するため、平成31年1月に日本初となる産学官の広域ネットワーク及び3D積層造形技術の普及を目指す民間団体との連携による「Kansai-3D実用化プロジェクト」を発足し、「新たなモノづくりの変革モデル」の創出支援を展開してきました。
プロジェクト発足1年で、会員企業数は全国で300社を超え、様々な分野において3D積層造形を活用した新たなモノづくりの技術開発が進むととともに、国内外企業及び支援機関との連携によるイベントを積極的に展開しています。
本プロジェクトを契機として、関西を中心にALL-JAPANにおいて、3D積層造形を活用した「新たなモノづくりのムーブメント」が起きつつあります。
グローバルでは、3D積層造形による量産化が加速化しており、製造工法が3D積層造形に変わることにより、(1)新たな構造設計による製品の高付加価値化、(2)「一体型造形」による部品、金型、在庫レス、製造工法の一体化による生産性向上や新たなサプライチェーンの構築等、製造・サービス革命が期待されています。
このため、当局は、平成31年1月に日本初となる「Kansai-3D実用化プロジェクト」を発足し、産学官の広域ネットワーク及び3D積層造形技術の普及を目指す民間団体との連携により、「新たなモノづくりの変革モデル」の創出支援を展開してきました。
「Kansai-3D実用化プロジェクト」全体図
「新たなモノづくりの変革モデルの創出」を目的に、実用化拠点において、また、会員企業訪問により、各社のニーズを把握し丁寧な支援を実施してきました。その結果、会員企業のうち、先進的な技術開発に取り組む6社に、産学連携による技術開発や装置導入に係る競争的資金活用支援を展開しています。また、その他の支援企業においても、社内でのプロジェクトチームの編成や装置導入等、新たなモノづくりに向けた様々な挑戦が進んでいます。
プロジェクトの支援企業のうち、産学連携による技術開発や装置導入に係る競争的資金を活用した事例
支援企業の実用化開発の加速化を図るため、金属3D積層造形の技術開発支援拠点である「大阪大学異方性カスタム設計・AM研究センター」に「平成30年度補正:地域未来オープンイノベーション・プラットフォーム構築事業」を活用して、新たに3D装置を導入し、連携支援機関の設備増強を支援しました。
3D実用化拠点において会員向けに、本プロジェクトだからこそ実現できるイベントを3回開催し、参加者から大変高い満足度を得ました(参考になった:約90%)。
国内外の3Dプリンタ関連企業13社との連携により、国内外の最新3Dプリンタでの実用化事例のご紹介、装置メーカー各社の展示を実施し、110名(満員)の参加がありました。
3D造形に必要となる設計、シミュレーションをサポートするツールを展開する海外の大手競合3社(Solid Works:ダッソーシステムズ、Solid Edge:シーメンス、Fusion 360:オートデスク)の協力のもと、「同一モデルを各社の最適化ツールを使い、軽量化を実施」するとともに、「軽量化のプロセスや操作を実演し、造形物の違い等を確認する」ことにより、各社のソフトの特徴を分かりやすく説明するイベントを開催し、50名(満員)の参加がありました。
各協力メーカーの造形物
海外において進みつつある3D積層造形に係る国際標準の流れや第三者保証・認証ビジネスの取組について、3D積層造形物、プロセスに対する第三者保証・認証ビジネスをグローバルで展開する2社(UL@米国、TUVSUD@ドイツ)に講演いただくとともに、3D技術、デザインを活かしたタイヤ開発に取り組む日野自動車の事例紹介とFormnext2019@ドイツの最新情報を提供するセミナーを開催し、約90名(満員)の参加がありました。
連携支援機関である「産業技術総合研究所 計量標準総合センター」の全国45の公設試をメンバーとする「3D3プロジェクト」との連携により、3D造形物の評価、検証に係るイベント(2020年1月21日@兵庫、2020年1月22日@広島、2020年1月24日@東京)及び全国の6社7機種で評価用器物の造形、測定、再造形を行い、検証支援を展開しました。
各地域で10カ所を超えるイベントにおいて本プロジェクトの講演やサンプル展示会の併設のイベントを開催しました。
世界最大の3D積層造形技術見本市「Formnext2019@ドイツ」での現地視察を実施し、イベント等を通じて会員企業に最新トレンドを情報提供しました。
本プロジェクトは、2020年1月29日~31日までの3日間、国内最大の3Dプリンティング総合展「TCT Japan@東京ビックサイト」に初めて出展し、プロジェクトの講演を行い、ブース出展(8ブース)のうち、実用化に挑戦する支援企業6社の販路開拓を支援するとともに、プロジェクトのPRを図りました。
本イベントの来場者数は4.7万人を超え、また、本プロジェクトのブースにも200名を超える企業の方々がブースに訪問するなど、大盛況に終わりました。
TCTJAPAN出展企業概要
Kansai-3D実用化プロジェクトのブース出展の様子
3D積層造形を活用した製品の付加価値化において、従来とは異なる斬新なデザイン・設計技術は重要な要素となりますが、ものづくり現場では、3D積層造形に適したデザイン・設計に長けた人材確保が課題となっています。
このため、当局では、本プロジェクトの協力機関であるFULL DIMENSIONS STUDIO※との連携により、同機関が展開してきた「3DPRINT CONTEST」を当局との共催で初めて募集しました。
6部門(フィギュア、模型、アクセサリー 、プロダクト、レーザー彫刻機、ロボットハンド)を約半年間(2019年8月15日~2020年1月31日)かけて募集した結果、全国から83件の多くの応募がありました。
この度、各部門の優れた作品を表彰、展示し、参加企業との交流を促進するとともに、最新の3Dデザイン・設計ツールを活かした取り組みの講演を行うイベントを、2020年3月13日に大阪で開催致します(新型コロナウイルス感染拡大防止の為、5月にイベントを延期致しました)。
※FULL DIMENSIONS STUDIO:筑波大学の非常勤講師である織田隆治氏の3D造形スタジオ。2016年から「3DPRINT CONTEST」を開催。
このように、全国で様々な企業が新たなイノベーションに挑戦しており、新たなモノづくり革新に向けたムーブメントが起こりつつあります。
関西には、3D積層技術を牽引する研究機関が集積するとともに、鋳造、鍛造、切削加工やプラスチック加工のものづくり企業の産業基盤があり、「3D積層造形による新たなモノづくり革新モデル」を創出する大きなポテンシャルを有しています。
また、フードプリンティング、4Dプリンティング、バイオ3Dプリンティングなど、3Dプリンティングは次の産業革命を起こす可能性のある未来の革新技術であることから、当局では、本プロジェクトを通じて、2025年日本国際博覧会に繋がる具体的な未来の技術開発に挑戦し、この流れを更に加速化できるよう、本プロジェクトを通じて、今後も新たな技術開発に取り組む企業を全力で支援して参ります。
日本初「3D積層造形によるモノづくり革新拠点化構想(Kansai-3D実用化プロジェクト)」について
近畿経済産業局 地域経済部 次世代産業・情報政策課
電話:06-6966-6008