トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 3・4月号 企業・地域の取組紹介
最終更新日:令和2年3月2日
まねき食品株式会社は、兵庫県姫路市で明治21年に創業し、明治22年には日本初の「幕の内駅弁当」の販売を始めました。当時としては高級な食材を取り入れ、おにぎりが主流だった駅弁に新風を巻き起こしました。
現在同社は、地元のおいしい食材をアピールすることを会社のミッションに掲げ、兵庫県産の食材にこだわった弁当を多数開発しています。その実力は高く、近畿農政局が開催する地産地消弁当メニューコンテストでの入賞や、全国のデパートで開催される駅弁大会に頻繁に出店しています。
例えば、販売当初から人気の「味づくし」は、19種類の色々なおかずを楽しめるのが醍醐味です。鶏照焼・鰆の西京焼き・煮物など、こだわりの味付けで丁寧に調理し、歯ごたえの良い姫路蓮根の煮物・甘みのある淡路玉葱の塩焼き・兵庫県産丹波黒大豆を使用した黒豆煮といった、地元食材もぎゅっと盛り込みました。容器は、世界文化遺産である「姫路城」をデザインし、駅弁らしい旅の思い出になるような仕上がりに。元祖幕の内駅弁として有名な当社が誇る現代版幕の内駅弁当です。
兵庫の味がぎゅっと詰まった幕の内駅弁「味づくし」
同社のもう一つの看板商品である「えきそば」は、独自に開発した中華麺と和風だしの組み合わせが特徴で、だし・麺・具材の3つのうちの一つだけが突出しても味は保てない、素材のバランスが問われるシンプルなものだけに奥深い一品です。
昭和24年に駅のホームで提供を開始し、近年では駅以外にも積極的に出店。「姫路のソウルフード」と呼ばれるほどの知名度を獲得し、今では姫路城と並ぶ名物となっています。
名実ともに姫路名物となった「えきそば」
かつて見られた、駅のホーム上で売り子がかけ声を発しながら駅弁を販売する姿は、今ではほぼ見られなくなりました。さらに近年では、車内販売の廃止、コンビニ弁当の充実、鉄道が高速化したことによる乗車時間の減少、LCCの台頭、駅ナカ充実などにより、駅弁の需要が減少。国内の駅弁事業者は最盛期に比べて半数にまで減少しました。
そのような中、同社は近年インバウンド客が同社店舗に多く来店していることに着目し、海外のデパートやショッピングセンターの催事に出店しながら、海外展開のチャンスを探っていました。
国内取引先からの紹介や、独立行政法人中小企業基盤整備機構のF/S(実現可能性調査)支援事業採択を契機として、海外展開の取組を進め、2017年10月に台北駅構内で、日本初となる海外常設駅弁店をオープンしました。2018年11月には、バンコクのサイアム高島屋内フードコートに出店し弁当・麺類を提供開始。「BENTOを世界へ」をスローガンに掲げ、弁当を通じて日本の食文化をアピールしています。
バンコクのサイアム高島屋内に出店
バンコク店では、現地スタッフと対話を重ね、労働環境を改善することで定着率が向上し、スタッフの調理技術が向上、タイ人の味覚に合わせてローカライズした新メニュー開発が可能になるという好循環が生まれています。
今では、日本と遜色ないレベルで商品提供が可能なほど、スタッフが成長しました。これを受け、フードコート内だけで商品を提供するのではなく、現地日系企業の会議用途などを狙った、高級仕出し弁当を開発し、客先までデリバリーする事業を開始しました。
今後は、一般消費者からの注文をオンラインで受注し、現地の配送事業者と連携して、スピーディな宅配を目指す予定です。
近畿経済産業局 通商部 国際事業課
電話:06-6966-6032