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第4回「はなやかKANSAI魅力アップアワード」関西インバウンド大賞受賞事業の紹介
ICチップ型救急タグ管理システムによるインバウンド向け救急医療対応~株式会社モンキャラメル(救急タグ研究会ソルティドッグ幹事会社)~
担当課室:通商部 投資交流促進課

最終更新日:令和2年5月1日

2019年度に実施した第4回「はなやかKANSAI魅力アップアワード」において、関西インバウンド大賞を受賞した「ICチップ型救急タグ管理システムによるインバウンド向け救急医療対応」の取組を紹介します。

本取組は、「救急タグ」と専用アプリによる外国人の救急搬送や診療の円滑化を図るもので、救急医、消防、自治体、システム会社、保険会社等が参画する「救急タグ研究会ソルティドッグ」が推進しています。株式会社モンキャラメルは、研究会の幹事会社を務めるとともに、救急タグメディア(アプリ・パスケース・ピンバッジ・キーホルダー・紙媒体のカード等)の企画・発注・管理を担当しています。

救急タグ開発の経緯

株式会社モンキャラメルでは、10年ほど前からオリジナルのキャラクター「ボジョレー」が登場する心肺蘇生の講習用動画の制作に携わっており、同キャラクターは救命救急の業界で共通のアイコンとして広く認知されています。そうした背景のもと、救急業界との接点を持っていた同社では、以前から高齢者や外国人観光客の救急搬送者の激増等の課題を把握していました。それらの課題解決に向け、2014年に「救急タグ」と専用アプリによる救急搬送や診療の円滑化を図る仕組みを考案し、実用化に向けて消防局と共に検討を繰り返してきました。

2017年には大阪大学医学部附属病院高度救命救急センターとの共同研究の形で、実際に「救急タグ」の作成、配付をスタートさせ、2019年に開催されたG20大阪サミットでは、来場者向けにICチップ版救急タグを配付しました。サミット開催後も、大阪府下の各消防・救急病院において救急タグによる情報取得の仕組みが運用されています。

G20大阪サミットで配付された救急タグ

G20大阪サミットで配付された救急タグ

G20大阪サミット参加者の情報登録の様子

G20大阪サミット参加者の情報登録の様子

訪日外国人の救急医療に関する実態

第46回日本救急医学会総会・学術集会での発表資料によると、訪日外国人の急増に伴い、外国人の医療機関への搬送数も同様に増加しています。また、訪日外国人の救急搬送の場合、多言語での情報取得等に課題があるため、傷病者接触から搬送開始までに時間がかかる傾向にあります。他方、訪日外国人が診療費を払わずに帰国してしまう事案の増加も深刻な社会問題となっています。

救急タグ研究会の目指すところ

救急タグ研究会では、これらの問題に対し、「最も身近な救急・災害時インフラの構築」をテーマに、次の4つの目的を持って救急タグの普及を進めています。

  1. 救急時の病院選定・搬送を迅速化し、救命率を向上させること。
  2. G20や国際博覧会(万博)のような大規模な国際イベントへの海外からの来場者にも、日本在住者と同様の安全・安心を提供すること。
  3. 訪日外国人観光客の診療費未払い等の問題を減少させ、受け入れる医療機関側の不安を解消すること。
  4. 救急タグによる正確な情報収集を通じ、災害時に避難所への正確なプッシュ型支援を実現すること。

救急タグの仕組み

あらかじめ個々人が IC チップ等の「救急タグ」に既往歴等を自国語で登録しておき、急病時に救急隊員や医療機関が専用アプリにてタグを読み込むと、登録情報が日本語で表示されます。ICチップの情報読み取りには NFC(近距離無線通信)技術を活用しているため、同種の事業のなかではかなり珍しく、災害時等でインターネット回線が使用できない場合でも問題なく読み取りが可能であり、またクラウド上で情報を扱わないため情報流出の恐れがなく、既往歴等の機微な情報との親和性が高い点も特徴です。医療情報の登録時に使用可能な言語は、日、英、仏、西、露、韓、中の 7 言語です。

救急タグに関するアンケート結果(大阪市東淀川区)

2018年10月から2019年4月までの期間、大阪市東淀川区内の診療所、訪問看護師、ケアマネジャーの訪問時や区内のイベント時を活用し、合計1,773名に救急タグを配付しました。併せて救急タグに関するアンケートを実施したところ、78%の市民が救急タグは役立つと回答し、うち91%から携帯しようと思うとの回答がありました。このような結果を踏まえ、敬老パスを持つ高齢者や割引チケット等を購入する外国人観光客にとって、より携帯してもらいやすくなるよう、パスケースと一体化させて配付するなどの工夫をしています。

大阪市東淀川区での救急タグ配付

大阪市東淀川区での救急タグ配付

パスケースと一体型の救急タグ

パスケースと一体型の救急タグ

今後の展開

救急タグの取組は、訪日外国人のみならず日本に在住する外国人にとっても緊急時のインフラとして価値が高いと考えられており、本システムが広く運用されることで、訪日・在住外国人にも日本在住者と同様の安全・安心の提供につながります。救急タグ研究会では、今後関西で予定されている大規模な国際イベント・会議等での運用実現を目指し、救急タグのさらなる普及拡大に努めています。さらに、受け入れる医療機関側の負担の軽減に向け、旅行保険会社等と連携し訪日外国人の診療費未払い問題の解決にも取り組んでおり、将来的には、日本発の簡易な救急インフラとして、海外での普及を目指しています。

掲載関連情報

企業名
株式会社モンキャラメル(救急タグ研究会ソルティドッグ幹事会社)
所在地
大阪市中央区備後町4-2-10 丸信ビル3F
電話番号
06-6221-3266

関連施策へのリンク

第4回「はなやかKANSAI魅力アップアワード~関西インバウンド大賞~」の受賞事業が決定しました!

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 通商部 投資交流促進課

電話:06-6966-6033

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