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最終更新日:令和5年4月3日
近畿経済産業局では、令和2年4月1日に新たに「イノベーション推進室」を設置しました。
関西のイノベーション環境の整備をさらに促進することをミッションとして、当局が、関西地域における大学等研究機関と産業界の結節点となることを目指し、支援機関等とも連携しながら、イノベーションエコシステムの推進に取り組んでいます。
グローバル競争が激化する中、日本の国際競争力を強化するためには、持続的・発展的なイノベーション創出が不可欠です。先端的な技術を有する企業や大学・研究機関等が多数集積し、高い研究開発ポテンシャルを有する関西地域において、企業と大学・研究機関が共同して研究開発を行うための環境整備をはじめ、イノベーション創出に向けた産学官連携の促進に取り組んでいます。
当局では、近畿管内に所在する公的研究機関(産総研、公設試)、大学・高専、産業支援機関、金融機関で構成する連携支援の核となるネットワークを形成し、産学官金ネットワーク事業(通称:Tech Connect KANSAI)の取組を推進しています。府県や機関の枠を超えて、企業が抱える技術的課題の抽出と課題解決に資する技術シーズの探索、研究機関や大学・高専の技術シーズの実用化に向けたマッチングに取り組み、地域におけるイノベーションの創出を目指しています。
本ガイドブックでは、これから大学や公的研究機関との連携を検討される中小企業の皆様に向けて、「産学官金連携って何?」「どこへ行けばいいの?」といった準備段階から、「費用はどのくらいかかるの?」「特許など知的財産で気をつけることは?」といった実践段階のポイント解説や、参考情報、連携事例などをわかりやすくご紹介しています。
企業の皆様のみならず、企業支援に携わる支援機関や金融機関の皆様にもご利用いただける内容となっていますので、是非ご活用ください。
「公設試」とは、地方自治体等が工業の振興や技術開発の拠点として運営するモノづくりの支援機関で、企業への技術指導、依頼試験や共同研究等の機能を有する機関です。また、産業界が求める技術開発ニーズに対応し、イノベーションの創出を支援することも目的としています。
当局では、皆様に「公設試」をより広く利用していただくため、当局管内に立地する工業系の公設試の紹介冊子を取りまとめています。是非、本ガイドブックをご覧いただき、一番近くで頼れる技術相談窓口「公設試」を積極的にご活用ください。
関西には、優れた大学や研究開発拠点等の知の集積があります。また、素材、部品加工から最先端製品製造まで、川上から川下までをカバーする幅広い産業集積があり、創れないものはないという「ものづくり」に長けた産業集積も有しています。
また、大学等を中心としたオープンイノベーション拠点や、インキュベーション施設、スタートアップ・エコシステム拠点、ロボット導入拠点、3D実用化プロジェクト拠点など、多くのイノベーション拠点がそろっています。
こうした地の利も活かし、当局では、産学官が結集してオープンイノベーションを促進する仕組みを創りたいという思いから、個社支援のみならず、共同研究、コンソーシアム、社会実装プロジェクト等に係る有望案件発掘から事業化・事業拡大までを切れ目なく支援する体制の構築に向け、関係機関と調整を進めています。
大阪・関西万博も見据え、Society5.0の実現やSDGsの達成など、これから人類が生きていく上で必要とされる先端技術や新しいサービスの創出、乗り越えていかなければならない社会課題解決を目指し、関係機関が一体となって取り組んでいく予定です。
大学・研究機関と産業界のシーズ・ニーズが出会うマッチングイベントの開催も検討しているところですので、是非、今後の取組にご注目ください。
イノベーション推進室では、産学官連携の取組に加え、中小企業の人材確保・定着に向けた支援やダイバーシティ経営の普及啓発を行っています。
当局では、大学・短大・高専の教職員の皆様が優良な中小企業の経営者等を講義のゲストスピーカーとして招きたい場合に紹介するプラットフォームの設置を通じた産学の交流を促進しています。令和2年6月現在、サポイン事業を活用した企業をはじめ、地域の優良な中小企業87社が登壇可能企業として事前登録しています。当局のウェブサイトでは、社長、若手社員など登壇可能な方や、新商品開発、新事業・新分野展開などお話いただけるテーマ、過去に登壇経験があるかどうか等を掲載しています。
こちらを活用いただくことで、学生にとっては地域の優良な中小企業を知り、「地域で働くこと」や「中小企業で働くこと」を考える機会が増えることを期待しています。大学等にとってはゲストスピーカーとして招く優良中小企業の幅が広がり、中小企業にとっては、将来の若手人材確保につながることが期待できます。
大学の教職員からは、ゲストスピーカーとしての登壇が、産学連携のきっかけになるのではないかとの声が届いています。「大学等講義×優良中小企業のゲストスピーカーWEBマッチングプラットフォーム」を是非ご活用ください。
大学の講義に中小企業が登壇する様子
当局では、近畿管内の中小企業等が多様な人材を確保するためのセミナーやマッチング会等を開催しています。
当局が主催もしくは関係機関と共催する「FUKUIジョブフェア」「京都ジョブ博、KYOTOジョブフェア」「天下一合説・関西ジョブフェア」「NARAジョブフェア」といった合同企業説明会は、就職や転職希望者等と優れた技術や商品を持つ中小企業とのマッチングの機会となっています。
マッチング会に参加する企業向けには、採用力を高めるためのセミナーを開催するなど、中小企業が必要とする人材を採用できるようサポートしています。採用後は定着に向けたフォロー研修を実施するなど、地域中小企業の多様な人材の確保・定着を支援しています。
KYOTOジョブフェアの様子
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気後退の影響を受け、離職者の増加が懸念されています。令和2年5月の京都府・大阪府・兵庫県の緊急事態宣言の解除以降、6月の時点で一部の中小企業からは、採用活動は予定どおり、もしくは、規模を縮小するものの採用活動そのものは継続して行うため、リアルあるいはWEBを通じて求職者と面接ができるマッチング会の開催を望む声がありました。
今年度は、これまで以上にマッチング会の開催に重点をおき、中小企業の人材確保支援を行うことを通じて、新型コロナウイルスの影響を受けて離職された方の再就職の支援につなげていきます。
このような状況下においても、採用意欲の高い企業におかれましては、是非、当局主催のマッチング会への出展をご検討ください。
こうした産学官金連携の推進に向けた取組、産業人材の確保・定着に向けた取組を一体的に進めながら、また、他省庁や産業支援機関等ともよく連携を取りながら、関西から次々とイノベーションが創出されるような環境整備を進めていきます。
近畿経済産業局 地域経済部 地域連携推進課
電話:06-6966-6013