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最終更新日:令和2年7月1日
近畿経済産業局では、2019年度に第4回「はなやかKANSAI魅力アップアワード~関西インバウンド大賞~」を実施しました。本アワードは、「はなやかKANSAI魅力アップフォーラム」(事務局:関西経済連合会)の主要事業であり、関西を拠点とする外国人受入環境整備に係る優良事例を表彰・周知するものです。
前号に引き続き、今号では、特別賞を受賞された5事業を紹介します。
SEKAI HOTEL株式会社では、都心部から少し離れた西九条(大阪市)、布施(東大阪市)の2拠点にて、地域に点在する空き家を再生利用しながら、まち全体を大きなホテルと見立てて開発し、「ORDINARY(日常)」を体験してもらう「SEKAI HOTEL」として運営しています。
地域の回遊性を高めるため、地域の銭湯の利用料や喫茶店でのモーニング代が無料になる「SEKAI PASS」という独自パスを発行しています。この「SEKAI PASS」のほか、スタッフによる地域のガイドなどを通して、まちなかに点在した客室や地域の店舗と宿泊ゲストをつなげることで、日常のディープな体験を提供しています。
地域の「日常」をゲストに体験してもらうことがコンセプトであり、特別な観光資源を必要としないため、全国どこの地域でも展開が可能な取組モデルです。また、空き家をリノベートした客室や、宿泊客の周辺への回遊促進につながる独自パスの発行など、空き家活用・商店街の活性化といった社会的課題の解決に寄与しています。
近隣の飲食店で「日常」を楽しむ外国人宿泊客
コンペイトウを始めとする砂糖菓子会社の運営する、見て・聞いて・作れる、コンペイトウの体験型ミュージアムです。2003年の堺市での設置を皮切りに、現在では八尾市(本社・工場内)、福岡県を含め、国内3カ所で運営しています。
SNSやゆるキャラ、マンガ、オリジナルソング、本、TikTokなど、様々な方法を活用した企業ブランディングや、コンペイトウを通じて海外の方へ日本に親しみを感じてもらうため、日本の四季が感じられるコンペイトウを開発するなどの創意工夫を凝らしています。
ミュージアム事業は17年間も継続しており、全体の売上の1割以上を占めるなど、収益性・継続性が確立されています。近年では、外国人インターンシップ生やスタッフを積極的かつ継続的に受け入れることで、外国人留学生の地元雇用を創出するとともに、自社の業務改善や多言語対応の問題解決などにもつなげています。
外国人観光客による見学の様子
刃物に代表される堺の伝統的工芸品のインバウンド対応・海外需要拡大に向けた取組として、刃物の修行経験を持つフランス人(エリック・シュヴァリエ氏)を海外販路開拓・インバウンド対応のコーディネーターに任命し、外国人目線によるSNSでの情報発信(英・仏)や堺伝統産業会館での多言語での解説等を実施しています。
フランス人目線かつ伝統産業の神髄を理解した同氏による情報発信が奏功し、同会館における欧米人の訪問人数、購買額はともに倍増しています。
「モノの良さ」に歴史文化のストーリーを添えることで、伝統産業をインバウンド需要に結びつけ、外国人観光客のニーズに応じた高い付加価値を創出しています。堺市内の産業のほか、共に世界文化遺産を持ち欧米人に人気の高い高野山(高野町)との連携により、地域内周遊の促進及び近隣地域との相互誘客を図っています。
刃物の解説をするエリック・シュヴァリエ氏
ミカンや柑橘類等の農作物や郷土料理、熊野古道につながるウォーキングコース等の地域資源を活かした外国人観光客向けの着地型観光プログラムを開発し、小学校の廃校舎をリニューアルした都市と農村の交流施設「秋津野ガルテン」において提供しています。
地域づくりの延長線上でのコミュニティビジネスの手法により、地域経済を活性化させることを取組の主眼とし、「秋津野ガルテン」での宿泊受入、食事提供に留まらず、体験プログラムの利用による、周辺地域も含めた地域経済への波及を目指しています。
長年秋津野地区で培われた行政に頼りすぎない自主精神と徹底的な合意形成プロセスに基づいて事業を実施しており、持続的なビジネスモデルとして確立されています。国内外からの視察・取材依頼が多数寄せられており、地方部での観光地域づくりの先進事例として、国内のみならず海外での認知度も高まっています。
外国人観光客向け体験プログラム
美山町の豊かな自然と伝統的な暮らしの保全と活用に努めてきた同協会が中心となり、地域一体でのインバウンド観光客の受入体制整備による地域づくりを進めています。具体的には、WEBサイトでの町内の宿泊・体験の予約窓口の一元化及びキャッシュレス決済の実現、地域内の英語案内ガイド養成講座の実施、訪日教育旅行の受入に取り組んでいます。
訪日教育旅行の受入(農山村教育民泊受入)は台湾を中心に、2019年からはオーストラリアにも拡大しています。受け入れ家庭は主に子育て世代であり、地域の子供達にとっての国際交流の機会となっています。
地域内の英語ガイド養成講座や農山村教育民泊などを実施し、語学力の高い地域人材の育成や地域の文化・伝統の継承を進めるとともに、地域住民の外国人受入マインドの醸成も図っています。地域の声を吸い上げ設立された組織であり、町内での連携体制がきちんと構築されているほか、外部組織との連携も幅広く行っています。
英語ガイドツアーの様子
第4回「はなやかKANSAI魅力アップアワード~関西インバウンド大賞~」の受賞事業が決定しました!
近畿経済産業局 通商部 投資交流促進課
電話:06-6966-6033