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地域未来投資の促進について
地域未来投資促進法の推進と地域未来牽引企業の支援
担当課室:地域開発室

最終更新日:令和2年11月2日

地域の自立的発展のためには、観光資源や産業集積等の地域特性を生かし、成長分野での需要を取り込むことが重要です。このため、国は地域経済を牽引する企業(地域の中核企業)や自治体に対し、予算や税制、金融、規制緩和等の政策を集中投入することで、地域の未来投資を促進しています。

1.背景・課題

地域への新規立地の低迷や大都市圏へのビジネスと投資の集中に伴い、地域経済の発展には、最新技術(AI・IoT等)を導入したビジネスモデルへの転換、海外展開のビジネスモデルの構築やサービス産業の高付加価値化等による地域企業の成長が不可欠になります。

地域経済を好循環させることができる「地域の中核企業」が、成長性の高い新たな分野に挑戦し、付加価値の高い事業を展開することで、地域経済の活性化、「地域の稼ぐ力」の強化を実現することが期待されています。

2.地域未来投資促進法の推進

(1)地域未来投資促進法の概要

経済産業省では、平成29年7月に施行された「地域経済牽引事業の促進による地域の成長発展の基盤強化に関する法律(地域未来投資促進法)」に基づき、地域の特性を生かして高い付加価値を創出し、地域に大きな経済的効果を及ぼす取組を支援しています。

地域未来投資促進法のスキーム

地域未来投資促進法のスキーム

地域未来投資促進法は、国の基本方針に沿って、市町村・都道府県が「基本計画」を策定し、地域の特性を生かした目指すべき地域の将来像を示します。

地域の将来像である「基本計画」に沿って、事業者は地域の特性を生かして、付加価値の高い製品やサービスを生み出し、地域の関係者への波及効果が期待できる事業の実施計画、「地域経済牽引事業計画」を作成し、地域の未来に繋がる投資を促進します。

また、支援機関は連携体制を構築し、事業段階に応じた切れ目のない支援を行うための計画、「連携支援計画」を作成し、地域経済牽引事業計画の実現を応援します。

加えて、国は承認された地域経済牽引事業計画に対し、ものづくり・商業・サービス高度連携促進事業(ものづくり補助金)などの予算による支援や、先進的な事業に必要な設備投資への特別償却もしくは税額控除による税制支援、資金供給の円滑化に向けた設備資金や運転資金の長期かつ固定金利での融資等の金融による支援措置など、様々な政策資源を集中投入して支援します。

(2)地域未来投資促進法の現状

近畿経済産業局では、制度の周知や、自治体・支援機関等に対する計画策定等の支援を行っています。近畿地域では、これまでに62件の基本計画(全国 245件)及び20件の連携支援計画(全国 87件)が策定されています。(令和2年8月末現在)

【近畿地域の基本計画一覧】(62件)
府県 地域・基礎自治体
福井県 嶺北地域、嶺南地域
滋賀県 全域、湖南市
京都府 宮津市・京丹後市・伊根町・与謝野町、亀岡市、山城地域、京都市、木津川市、和束町、南丹地域、久御山町、中丹地域、八幡市
大阪府 大阪市、八尾市、堺市、泉大津市、柏原市、東大阪市、吹田市、吹田市・摂津市、守口市、岸和田市、高槻市、寝屋川市、門真市、忠岡町、枚方市、和泉市、岬町、茨木市、羽曳野市
兵庫県 全域、朝来市、たつの市・上郡町・佐用町、神戸市、西脇市、三木市、小野市、加西市、豊岡市、淡路市、赤穂市、篠山市、丹波市、多可町、播磨町、姫路市、洲本市、加古川市、養父市、福崎町、高砂市、三田市、南あわじ市、猪名川町、神河町、西宮市、宍粟市
奈良県 全域
和歌山県 全域
【近畿地域の連携支援計画一覧】(20件)
名称 支援機関
福井県オープンイノベーション連携支援計画 福井県 他8機関
滋賀県の部材・素形材関連業種の産業集積を活かした成長ものづくり支援計画 滋賀県 他4機関
大阪府域におけるファインセラミックス分野に対する連携支援計画 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 他3機関
大阪市成長ものづくり分野連携支援計画 地方独立行政法人大阪産業技術研究所 他3機関
大阪市スポーツ健康ビジネス推進連携支援計画 一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ 他4機関
兵庫県食品・バイオ関連の成長ものづくり分野連携支援計画 兵庫県立工業技術センター 他8機関
奈良県成長ものづくり分野連携支援計画 奈良県 他4機関
和歌山県 IoT・AI・ロボットを活用した成長ものづくり分野の連携支援計画 和歌山県 他4機関
京都府京都市域内企業の成長に向けた連携支援計画 公益財団法人京都高度技術研究所 他15機関
大阪・神戸エリアの次世代エネルギー連携支援計画 一般財団法人大阪科学技術センター 他7機関
大阪市AI・IoT・ロボット導入連携支援計画 公益財団法人大阪産業局 他9機関
関西地域医療機器・ヘルスケア分野連携支援計画 大阪商工会議所 他7機関
大阪エリアの基盤技術に立脚した産業分野の連携支援計画 公立大学法人大阪府立大学 他5機関
「最初の一滴」から波及する日本一ブランド推進医療・健康ツーリズム連携支援計画 中紀バス株式会社 他4機関
環境・省エネビジネスに係る連携支援計画 公益財団法人地球環境センター 他4機関
3D積層造形によるモノづくり革新拠点化ネットワーク構築に向けた連携支援計画 株式会社立花エレテック 他3機関
兵庫県神戸市を中心とする先端・成長産業分野に係る連携支援計画 公益財団法人新産業創造研究機構 他8機関
健康・医療関連産業育成に係る連携支援計画 国立大学法人神戸大学 他3機関
びわ湖アリーナ・浜大津コンベンションストリート連携支援計画 大津商工会議所 他5機関
三木市ゴルフツーリズム推進連携支援計画 三木市 他5機関

また、近畿地域では、283件の地域経済牽引事業計画(全国 2,448件)が立てられています。(令和2年8月末現在)

地域経済牽引事業計画を立てた事業者の多くが設備投資に対する税制支援(地域未来投資促進税制)の活用を考えており、先進的な事業に必要な設備投資を行う事業者が増えています。

(3)地域未来投資促進法を活用した企業の取組紹介

設備投資に対する税制支援(地域未来投資促進税制)を活用することで事業の拡大に繋げた企業を2社紹介します。

1)株式会社俄

株式会社俄は、社名の由来となった「人と人を繋ぐ指輪を届ける」を実現するため、京都市で1983年に設立された企業です。

同社は宝石・貴金属の製造・販売を行い、結婚指輪で人気のジュエリーブランド「NIWAKA」を全国展開するとともに、店舗スタッフの多くを女性が占めているなど、女性の活躍を推進しています。京都の情景や日本の伝統美を表現したデザインと卓越したクラフトシップによる製品は海外でも高い評価を得ており、過去5年連続でアメリカハリウッドのアカデミー賞をはじめとしたアワード会場において着用されるなど注目を集め、海外展開も積極的に進めています。

日本の美しいデザインやものづくりを海外に伝えるという同社のコンセプトを実現するために、地域未来投資促進法を活用し、建物を対象とした税制活用等、研究開発手法や製造手法のさらなる効率化を図るための設備投資を実施しています。また、2018年度の地域未来牽引企業に選定されたことで、採用面を含めた企業に対するイメージ向上につながったとのことです。

同社はジュエリーやブライダルへの取組以外にも、伝統文化の情報を正しく世界に発信するための「Discover Kyoto(ディスカバーキョウト)編集部」を社内に置き、社会貢献活動に取り組んでいます。現在のチームは海外出身者5名から成り、Facebookや書籍を通じて日本の魅力を世界に発信しており、近年では行政観光パンフレットの作成も行っています。また、CSRの観点では、継承者が少ない伝統的な彫金技法「和彫り」の技術継承や人材育成に取り組み、神社仏閣の錺金具製作や国際博物館会議への出展などを推し進めており、同社でしかできない技術による今後の未開拓分野への展開が期待されます。

同社は企画からデザイン、生産、販売まで実施しており、地域未来投資促進法を活用した積極的な設備投資などを通じて、日本から世界へのさらなる発展を目指しています。

エンゲージメントリング

エンゲージメントリング

結婚指輪「花匠の彫」

結婚指輪「花匠の彫」

2)株式会社はたけのみかた

株式会社はたけのみかたは、滋賀県湖南市に農業の持続的な発展という社会課題解決のため、2014年に設立された企業です。

同社は、滋賀県産、旬の無農薬・無化学肥料の野菜を使用したベビーフード「manma四季の離乳食」の製造・販売を行っている事業者であり、滋賀県内の優れた有機農家の野菜の味わいを生かした手づくりに近い薄味で、消費者にとって安全かつ安心な商品を提供しています。また、規格外の野菜を高価格で買い取ることで、有機農家への支援も行っています。

「manma四季の離乳食」は、消費者にとっての安全性・安心性といった点で魅力的な商品となっており、国内だけでなく、海外からも多くの問い合せがあったものの、当時の生産設備では1ヶ月あたり9,400食の生産が限界であり、取引を断らなければならない状況でした。

2017年度に地域未来牽引企業に選定されたことをきっかけに、地域未来投資促進法の施策を活用し、2020年度に生産設備の導入を行ったことで、従来の約3倍の生産が可能になりました。

今後は商社を通じ、海外(主に中国、インドネシア)の富裕者層に向けた商品販売や、赤ちゃん連れの来客を見込む宿泊施設やレストランへの販売のほか、現在は1歳未満向けの商品のみになっている離乳食の販売についても、1、2歳向けの商品を販売していく予定です。

また、同社では、食材のカット、裏ごしやレトルトなど一連の作業を一貫して行っている強みから、離乳食以外の商品開発・販売や取引農家からの要望による農産加工品の製造・販売も検討しています。

このように、同社では地域未来投資促進法を活用することで、生産設備の増強を図り、その結果さらなる商品展開や販路開拓等、可能性を広げており、今後の更なる展開が期待されます。

今回設備取得した建物(本社)

今回設備取得した建物(本社)

manma四季の離乳食

manma四季の離乳食

3.地域未来牽引企業への選定・支援

経済産業省では、地域内外の取引実態や雇用・売上高等を勘案し、地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれるとともに、地域経済の中核を担う地域の未来につながる投資の担い手候補企業を地域未来牽引企業として選定・公表しています。

選定証

選定証

ロゴマーク

ロゴマーク

地域経済を牽引する各選定企業の成長を後押しするために、以下の支援を行っています。

  • (1)経営基盤強化、IT導入による生産性向上、人材確保、産学官連携、研究開発、海外展示会出展等の販路開拓、事業承継等、幅広いニーズに対応する様々な支援策を活用し、重点的な支援を行います。
  • (2)各経済産業局に配置している「地域未来コンシェルジュ」が、ワンストップで企業からの相談、問い合わせ等に対応する他、メールマガジン、ロゴマーク、 オンラインセミナーなど様々な方法で、企業の取組を後押しします。
  • (3)近畿経済産業局では、地域未来牽引企業の経営課題解決、協働促進によるイノベーション実現や企業ネットワーク形成を図るために、「地域未来牽引企業課題解決型サロン」を設置しています。 サロンでは、企業ニーズに対応した施策の紹介を行うほか、未来企業同士の協働を促進し、経営課題の解決につなげる「ピッチ&交流会」等の取組を実施します。

4.今後の展開

今後も、地域特性を生かした地域の自律的発展を促進するため、地域に経済効果を生み出す地域経済牽引事業を支援する「地域未来投資促進法の推進」と地域経済を牽引し、地域の投資や雇用を生み出す「地域未来牽引企業の支援」を行っていきます。

掲載関連情報

企業
株式会社俄
所在地
京都市中京区福長町105(富小路通三条上る)
電話番号
075-213-6775(代表)

企業
株式会社はたけのみかた
所在地
滋賀県湖南市三雲407-2
電話番号
0748-76-4789

関連施策へのリンク

地域未来投資促進法

地域未来牽引企業(全国)

地域未来牽引企業(近畿)

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域開発室

電話:06-6966-6012

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