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最終更新日:令和3年1月5日
関西地域(近畿経済産業局管内/福井県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県)の全国におけるシェアをみると、総面積は8.3%(2019年10月1日現在)ですが、輸出通関額(2019年)が21.1%、百貨店・スーパー販売額(2019年)が19.5%、製造業事業所数(2019年6月1日現在)が19.2%、製造品出荷額(2018年)が16.6%、総人口(2020年1月1日現在)が16.9%、域内総生産(2017年度)が15.9%となっており、関西地域の経済規模は全国に対して2割弱を占めていると言えます(図1)。
また、主要国の名目GDP(図2)をみると、関西はオランダ(世界18位)に次ぐ経済規模となっています。
出所:全国都道府県市町村別面積調(国土地理院)、住民基本台帳に基づく人口、人口動態及び世帯数調査(総務省)、県民経済計算(内閣府)、工業統計調査(経済産業省)、
商業動態統計調査(経済産業省)、(一社)全国軽自動車協会連合会、(一社)日本自動車販売協会連合会、
公共工事前払金保証統計(北海道建設業信用保証(株)、東日本建設業保証(株)、西日本建設業保証(株))、貿易統計(財務省、大阪税関)
※貿易統計における関西地域は、滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良、和歌山の2府4県
出所:総務省「世界の統計」、内閣府「県民経済計算」
注)関西は2017年度、他は2017年の暦年計数。為替レートは世界の統計より(112.166円/ドル)
関西地域の域内総生産の産業別構成比をみると(図3)、農林水産業は0.4%、製造業は22.2%、卸売・小売業や不動産業等を含む第3次産業は約4分の3のウェイトを占めます。
出所:内閣府「平成29年度県民経済計算」
製造業の出荷額構成比(図4)をみると、全国と比較して、はん用機械器具製造業、鉄鋼、化学などのウェイトが高くなっています。また推移(図5)をみると、製造品出荷額は1985年以降概ね横ばいで推移しています。全国におけるシェアは、2005年まで低下した後に下げ止まり、直近3か年は緩やかながら上昇しています。
出所:経済産業省「工業統計調査」2019年
出所:経済産業省「工業統計調査」、総務省・経済産業省「経済センサス活動調査」
我が国経済は、2020年7-9月期のGDP成長率(2次速報)が物価変動の影響を除いた実質で4 四半期ぶりのプラスとなりました。また、景気動向指数の一致指数は10月時点で5か月連続で上昇しており、基調判断は3か月連続で「下げ止まりを示している」としています。
当局では、毎月公表の「近畿経済の動向」の中で関西の景況判断をしています。1年間を振り返りますと、新型コロナウイルス感染症(以下、「新型コロナ」)の影響により大きく落ち込んだものの、社会経済活動の再開に伴い、生産や個人消費では一部に持ち直しの動きがみられることから、基調判断は「厳しい状況にあるが、一部に持ち直しの動きがみられる」としています。
生産は、新型コロナの影響により、前半はほぼ全ての業種が大きく落ち込みました。後半は、社会経済活動の再開に伴って持ち直しの動きとなっており、引き続き生産水準の回復が続くと期待されます。業種別でみると、輸送機械工業や生産用機械工業等の増加が、生産活動を牽引しています。(図6)
出所:近畿経済産業局「近畿地域鉱工業生産動向」、経済産業省「鉱工業指数」
個人消費のうち、百貨店・スーパー販売額(図7)をみると、新型コロナの影響により大きく落ち込みましたが、4月を底に持ち直しています。ただ、減少幅は全国に比べて大きく、他地域よりもインバウンド減少の影響が大きいことが一因と考えられます。乗用車新規登録・届出台数(図8)は、5月を底に大きく落ち込んだ後、低調に推移していましたが、10月は昨年のマイナスの反動で前年比プラスとなりました。家電販売額(図9)は、巣ごもり消費などの影響で好調に推移し、9月は前年の需要増の反動で前年比マイナスとなったものの、10月には回復しています。個人消費は、総じてみれば一部に弱い動きがあるものの持ち直していますが、今後の動向を注視する必要があります。
出所:近畿経済産業局「百貨店・スーパー販売状況」
出所:(一社)日本自動車販売協会連合会、(一社)全国軽自動車協会連合会
出所:経済産業省「商業動態調査」
関西国際空港の国際線を利用する旅客数(図10)をみると、新型コロナの影響により外国人旅客数は2月、日本人旅客数は3月に大きく減少し、いまだ回復の兆しが見えない状況です。関西の百貨店免税売上(図11)も2月以降は大きく落ち込み、前年比約9割減の状況が続いています。
出所:関西エアポート㈱報道発表資料
出所:日本銀行大阪支店
貿易(輸出)額(図12)は、新型コロナの影響により落ち込みましたが、5月を底に持ち直しています。また減少幅は全国に比べて小さくなっており、自動車など輸送用機械の比率が低いことが一因と考えられます。地域別では中国やNIEs向け、品目別では半導体等電子部品や非鉄金属が輸出を牽引しています。
出所:大阪税関、財務省「貿易統計」
雇用情勢は、完全失業率(図13)が3%を上回る水準で推移し、雇用者数も減少が続いており、弱い動きとなっています。また、有効求人倍率(図14)も右肩下がりで、1倍台を維持しているものの、低水準で推移しています。
出所:総務省「労働力調査」
出所:厚生労働省「一般職業紹介状況」
これから関西経済が持続的に改善していくためには、引き続き積極的な設備投資、労働生産性の向上、所得改善による消費の拡大が不可欠です。また、インバウンド需要の回復が見込めない中、海外の経済活動再開による外需を一層取り込み、関西経済の成長へつなげていくことが期待されているところです。
一方で、管内企業からは米国と中国との間での貿易摩擦を始めとする、国際経済への懸念の声も聞かれます。2019年の貿易統計で海外との結びつきをみると、全国ではアメリカ向けのシェアが高いのに対し、関西では中国向けのシェアが高いという特徴があります。関西は中国をはじめアジア地域との結びつきが強いため、今後も中国・アジア経済の動向について注視が必要です(図15、16)。
出所:大阪税関「近畿圏貿易概況」
出所:財務省「貿易統計」
近畿経済産業局 総務企画部 企画調査課
電話:06-6966-6004