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【新連携事業活用事例】新たなものづくりクラスターの誕生
  株式会社CAPABLEの挑戦:全国ベースのバーチャルファクトリー構築~

  担当課室:サービス産業室

最終更新日:令和3年1月5日

はじめに

株式会社CAPABLE(京都市)は、平成29年6月に、新連携計画※1の認定を受けられ、「AIを活用した小規模企業群最適化連携による半導体封止金型受注販売サービス」の事業化を進めてこられました。同社のビジネスモデルは、半導体の製造工程で必須となる「精密半導体封止用金型」を海外大手メーカーから受注し、国内中小金型メーカーに最適発注し、同社が検査・組立て納品するものです。さらに、「平成31年度ものづくり・商業・サービス高度連携促進補助金」にも採択され、生産パートナーを繋ぐデジタルネットワークの構築を進められ、この度、「ものづくりポータルサイト CAMPUS」としてリリースされました。

以下、新連携事業の活用事例として、同社のミッション、ビジネスモデルの特徴、今後の事業展開についてご紹介します。

※1 中小企業等経営強化法に基づく異分野連携新事業分野開拓計画

国内中小金型メーカーの技術を守るために

同社のミッションは、国内中小金型メーカー等の技術を活かし、金型など日本の製造基盤産業の復活に貢献し、ともに発展するというものです。これまで国内の中小金型メーカーは、経済のグローバル化の波の中で厳しい状況に直面してきました※2。しかし、国内には、今も優れた加工技術を有する事業者が数多く存在しています。同社は、商社や大手半導体製造装置メーカーで40年以上半導体に関わられた河原社長を筆頭に、世界の主要半導体メーカーと太いパイプを持っており、海外の需要と国内中小金型メーカーとをつなぐ、新たなものづくりクラスターのコア(中核企業)となるべく2012年に設立されたファブレス金型メーカーです。

※2 例えば、国内金型製造事業所数は、1990年の13,115から2018年には6,883へと約5割にまで減少。

図1:(株)CAPABLEの事業概念図

図1:(株)CAPABLEの事業概念図

図2:主力製品である精密半導体封止用金型
(コア部品の精度は1000分㎜台)

図2:主力製品である精密半導体封止用金型(コア部品の精度は1000分㎜台)

ビジネスモデルの特徴

同社のビジネスモデルの特徴は、第一に、海外の需要を獲得して国内の中小製造業の事業拡大に貢献する(国内産業の視点で)「プラスサム」の性格を持つこと※3。第ニに、単なる受発注のマッチング機能ではなく、同社が(国内メーカーから見て)責任ある発注者であり、かつ、(海外メーカーから見て)品質保証等の最終責任を負う責任ある受注企業であること。第三に、「精密半導体封止金型」の設計・製造・組立技術を熟知した同社の技術者が、国内中小メーカーのレベルアップをサポートすること。第四に、生産パートナーを繋ぐデジタルネットワークの構築により、効率的に最適な受発注を行うこと。第五に、精密半導体封止金型関連技術と全国ベースのバーチャルファクトリーという機能を活用し他分野への応用が期待できること、があげられます。

※3 国内の市場を取り合うゼロサムの世界ではなく、海外の需要を継続安定的に獲得して国内に発注する。

図3:全国ベースのバーチャルファクトリー化(イメージ図)
 (国内パートナーメーカーは現在約100社。今後も拡大予定。)

図3:全国ベースのバーチャルファクトリー化(イメージ図) (国内パートナーメーカーは現在約100社。今後も拡大予定。)

今後の事業展開

現在、5G関連投資を追い風に半導体分野は堅調な市場環境にあります。先ずは、需要が旺盛な海外市場から精密半導体封止金型の受注を増やし、併せて、技術力を有する新たな国内メーカーの発掘と連携を進めて、核となる現行事業の発展を目指しています。さらに、高度な技術が求められる半導体金型技術の他分野への応用、例えば、自動車、電機、光(LED)、医療、産業機器等、グルーバル企業から精密金型や金属加工部品の需要を獲得し、国内サプライヤーとの協業範囲を拡大していくことを目指しています。そして、新たに開発した、生産パートナーを繋ぐデジタルネットワーク受発注システム「ものづくりポータルサイト CAMPUS」を活用し、より生産性の高い、効率的なものづくりネットワーク、いわば、「全国ベースのバーチャルファクトリー」を構築し、これらの取組により、日本の金型分野を中心に基盤産業の維持・発展に貢献することが期待されます。

今後の課題としては、最適な受発注機能が「価格のたたき合い」に陥らないような工夫が求められます。同社では、発注の際、QCDを中心に様々な要求事項に対する評価を総合的にスコアリングした上で発注先を決定するとともに、受注に至らなかったメーカーに対しては、工程設計や生産システムなどにおける改善点等を専門的見地からフィードバックして、価格のみならず、メーカーとしての総合力を高めてもらうためのサポートを行うこととしています。

結びに(政策インプリケーション)

同社のビジネスモデルを地域産業政策的観点で見た場合、いわゆる「コネクターハブ(地域中核企業)」※4の議論が想起されます。コネクターハブとは、一般的に、地域からより多くの仕入を行い、地域外に販売している企業とされています。つまり、域外から需要を獲得して、域内の地域中小企業等から調達等を行い、域内に需要と資金等を循環させる機能を有する企業です。

※4 詳しくは、「中小企業白書2014年版(中小企業庁webサイト) 第4部第3章」参照

図4:コネクターハブ企業のイメージ図

図4:コネクターハブ企業のイメージ図

「地域未来牽引企業」の選定基準にもそのような考えが反映されており、例えば、データ部門の選定基準においては、「当該事業者が所在する都道府県外での販売額」、「当該事業者が所在する都道府県内からの仕入額」といったデータが判断材料として組み込まれています※5。ただ、ここでの「域内」は都道府県を指しています。

株式会社CAPABLEもコネクターハブの一類型と考えられますが、同社のネットワークは全国に分散していることから、必ずしも立地地域との結びつきが特に強いというわけではありません。そのため、広域分散型のネットワークを有する企業の場合、立地地域において、そのコネクターハブとしての認知度が高いとは限らず、地方公共団体等の地域産業政策上の支援対象から抜け落ちる可能性もあります。したがって、広域的産業政策支援機関が、海外需要の獲得と広域ネットワークによる国内基盤産業の維持発展を進めていくという政策を進める際には、同社のような機能に着目することが重要な視点の一つであると考えられます。

※5 「地域未来牽引企業」選定実施要領(経済産業省webサイト) 参照

掲載関連情報

企業
株式会社CAPABLE
所在地
京都市南区上鳥羽苗代町16-1
電話番号
075-634-8405

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 サービス産業室

電話:06-6966-6053

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