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最終更新日:令和5年4月3日
東京一極集中や地方における人口減少が進む中、地域の発展において、データに基づいた有効な政策を立案し実施していくことが求められています。
経済産業省では内閣官房とともに、産業構造や人口の動き、人の流れなどに関する官民のビッグデータを集約して、わかりやすく“見える化”するツール「地域経済分析システム=RESAS(リーサス)」(※1.参照)を提供しています。
近畿経済産業局ではRESASの利活用促進に向けて、さまざまな取組をサポートしています。
我が国では、人口の急減・超高齢化という大きな課題に直面しています。特に、地方における人口減少は著しく、東京圏への人口の過度な集中(一極集中)が生じています。 それぞれの地方で住みよい環境を確保して、将来にわたって活力ある日本社会を維持していくことが必要です。
このような課題に対して、政府では各地域がそれぞれの特徴を生かした、自律的で持続的な社会を創生することを目指した「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」や「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して、地方創生の実現に向けた取組を実施しています。 また、自治体においても「地方版総合戦略」を策定して、地域の実情や特色に応じた独自の取組を進めているところです。
地方創生の実現に向けて、全国の自治体では、地域特性に応じた政策を展開しています。 人口減少や観光、産業など、様々な課題に対応する政策の立案には、地域の現状を理解するとともに、根本的な課題がどこにあるのかを正確に把握し、それに対応した政策立案を実施していくことが重要です。 そのためには、統計等のデータや政策効果の測定に重要な関連を持つ情報を活用し、「証拠に基づく政策立案=EBPM(イービーピーエム)」(※2.参照)が求められています。
RESASは内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局と経済産業省が提供する「地域経済分析システム」で、地域経済に関する様々なビックデータ(産業の強み、人の流れ、企業活動や観光情報など)を、 地図やグラフで分かりやすく“見える化(可視化)”するシステムです。インターネット上で誰もが利用することができ、データに基づいて地域の実情を把握・分析することが可能であり、 自治体等職員のEBPMを支援し、地方創生を実現するためのツールとして開発されました。
RESASマップ一覧
近畿経済産業局では「RESAS普及活用支援調査員」を配置し、RESASを活用したEBPMによる “地方創生の実現”のため、日常的なRESASに関する相談対応のほか、以下の取組を実施しています。
【RESAS活用による地方創生に向けた支援について】
RESASを活用して地方創生の実現に向けて取り組む自治体や商工団体、金融機関、中学・高等学校などに“RESAS普及活用支援調査員”を派遣し、 具体的な分析事例を題材にした「出前講座(RESAS研修)」を実施しています。受講者のRESAS活用目的やRESASの習熟度に応じたオリジナルの資料を作成し、 実際にRESASを操作しながら地域の現状を把握し、政策立案につなげるための講義やグループ演習を行っています。
本出前講座は、RESASについて知りたい、RESASデータを用いて実際に地域分析や課題発見をしてみたいという方にご利用いただけるほか、 中学・高等学校には、学生向けの課題研究授業としてもご利用頂けます。生徒一人一人が、地元の現状を理解し、自分達が住み続けたい「まち」について考えることで、 都会への進学や就職が増加し続ける現状において、将来的に地元就職やUIJターンにつなげることが期待されます。 このほか、指導される先生を対象とした“RESASを取り入れた授業モデルに係る講座(RESAS for Teachers)”も実施しています。
なお、講義の開催に当たっては、現地での開催のほか、リモートによる講義も実施しています。
【出前講座の様子】
【リモート講座の様子】
近畿経済産業局と内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局、内閣府地方創生推進室では、RESASを活用する自治体に対し、産業や観光、人口等に係る学識経験者などの専門家を派遣し、 EBPMに関するアドバイスを行う「政策立案ワークショップ」を開催しています。自治体における政策立案への支援だけでなく、立案された政策を地域の事業者や市民、学生などと共に議論を行うことで、 地域における政策の浸透を図るとともに、実効性を高めるツールとしてもご利用いただけます。
『地方創生☆政策アイデアコンテスト』(主催:内閣府 共催:経済産業省)は、RESAS等のデータを活用して、地域やふるさとの現状を踏まえて、 地域の未来をどう作りたいかを考える“政策アイデア”を募集するコンテストで、平成27年から開催されています。「中学生・高校生以下の部」「大学生以上一般の部」「地方公共団体の部」の3部門で実施され、毎年多くのチームが応募しています。
近畿経済産業局では『地方創生☆政策アイデアコンテスト』へチェレンジされる方に対して、“RESAS普及活用支援調査員”による相談対応や出前講座の開催などによりサポートを実施しています。
コンテストでは、優秀な作品に対して、地方創生担当大臣賞、優秀賞のほか、地域ブロック毎に経済産業局長賞が授与されます。
近畿ブロックでは、2020年度は「中学生・高校生以下の部」で7チーム、「大学生以上一般の部」で5チームの計12チーム(地方公共団体の部は応募者なし)に近畿経済産業局長賞を授与しました。 令和2年12月に開催した近畿経済産業局長賞表彰式では、優秀作品のプレゼンテーションや受賞作品に対する専門家からのアドバイスなどを実施しました。
2021年度の『地方創生☆政策アイデアコンテスト』は、本年夏頃を目処に募集を開始する予定です。多くの皆さまのご応募をお待ちしています。
近畿経済産業局ではRESASを活用したEBPMの取組を支援することにより、各地域における地方創生の実現を目指しています。 “EBPM”や“RESAS”にご興味がありましたら、まずは、以下の「問い合わせ先」までご連絡ください。
※文中用語
1.RESAS: 地域経済分析システム、Regional Economy Society Analyzing Systemの略
2.EBPM : 証拠書類に基づく政策立案、Evidence Based Policy Makingの略
近畿経済産業局 地域経済部 地域連携推進課
電話:06-6966‐6013