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関西に芽吹き始めたデザイン経営
~魂に響くデザイン経営が中小企業を変える~
担当課室:知的財産室

最終更新日:令和3年9月1日

「デザイン経営」とは、デザインの力をブランドの構築やイノベーションの創出に活用する経営手法です。 公益財団法人日本デザイン振興会による、日本企業における企業経営へのデザイン活用度調査「デザイン経営はビジネスを強くする※1」によると、デザイン経営に積極的な企業には、以下のような傾向があると言われています。


1. デザイン経営に積極的なほど売上げが成長している

図1:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P9の抜粋

図1:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P9の抜粋

2. デザイン経営に積極的なほど従業員から愛される

図2:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P12の抜粋

図2:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P12の抜粋

3. デザイン経営に積極的なほど顧客から愛される

図3:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P13の抜粋

図3:「デザイン経営はビジネスを強くする※1」P13の抜粋

※1 : 企業経営へのデザイン活用度調査結果発表(公益財団法人日本デザイン振興会 2020年11月25日)


多くの企業の皆さまが、デザインが持つ可能性を直感的に感じてはいるのではないでしょうか。美しいデザインは、人の心をつかみます。 しかし、それだけではビジネスとして持続的な成功はつかめません。今、色や形といった意匠にとどまらないデザインの力を経営に活かす動きが関西で芽吹き始めています。この一部を今回はご紹介します。


~ デザイン経営って何? ~

2018年5月、経済産業省・特許庁は、「デザイン経営」宣言 を発表しました。この中では、デザイン経営を「デザインを企業価値向上のための重要な経営資源として活用する経営である。」と定義しています。
 デザイン経営とは単に商品(プロダクト・サービス)やホームページ、チラシをデザインすることだけではありません。様々な説明がありますが、近畿経済産業局知的財産室は、デザイン経営が大きく2つの要素からなると考えています。

1つ目は、経営手法としての要素です。デザイン経営では、自社の(アイデンティティ)、目指すべき姿(ビジョン)や企業の社会的存在意義(パーパス)を“見える化”することで明確化します。 そして、この魂、目指すべき姿、社会的存在意義、イノベーション、ブランド、人材、財務、労務、知財の判断にデザイン視点を取り入れながら、これまでと違う新たなビジネススキームに挑戦します。
 2つ目は、思考方法としての要素です。デザイン経営では、デザイン視点が必須となります。その要となるのが、デザイン思考です。 デザイン思考は、人間(ユーザー)への共感をとおして問題を定義し、アイデアの発散と収束、試作と実験を繰り返しながら問題を解決する思考方法です。デザイン経営では、デザイン視点やデザイン思考がビジネスの意思決定をサポートします。

デザイン経営は、VUCA時代(予測不能な時代)において、人間が求めるものを理解し、人間に寄り添いながら、探索的に新しい商品・サービスをつくりだし、経営者自身のアイデンティティに基づいて目指すべき姿に挑戦するため、今、時代が必要としている経営手法であると考えられます。


~ 先駆者に学ぼう!デザイン経営の実践例 ~

今、多くの中小企業がデザイン経営に挑戦し始めています。中小企業は、社長の魂や目指すべき姿が企業の中に直接伝わり、浸透しやすいため、中小企業にデザイン経営は相性が良いとも言われています。
 関西においても多くの企業が挑戦を始めています。以下に、特許庁が発表した「中小企業のためのデザイン経営ハンドブック」の事例を1つ紹介します。ご興味がある方は、ぜひご覧になってください。

図4:中小企業のためのデザイン経営ハンドブックの抜粋

図4:中小企業のためのデザイン経営ハンドブックの抜粋1
図4:中小企業のためのデザイン経営ハンドブックの抜粋2

顧客の声を活かすSNSの仕組みづくり

昌和莫大小株式会社(奈良県北葛城郡広陵町)

図5:「OLENO®」の紹介イメージ

図5:「OLENO®」の紹介イメージ
図5:「OLENO®」の紹介イメージ

“社長の好きな事にとことんフォーカスしたことから生まれた成功事例もある。1935年創業の昌和莫大小はタイツやレギンスのOEMを主としてきたが、海外からの輸入増大によるOEMの生産需要の低下や靴下業界のコモディティ化により危機に陥っていた。
 そこでデザイナーと共に、井上社長の趣味である「登山」「ランニング」をベースに「はだし靴下」のコンセプトを考案し、ブランド「OLENO®️ 」を設立。 利用している顧客のコミュニティをSNS上につくり、そこから得られる辛辣なフィードバックや提案を起点に商品開発を磨き、新たな市場の開拓に成功を果たす。コミュニティを活用し洞察を深め、デザインの力でかたちにすることで、単なるトップダウンとは一線を画す循環が構築された。“
 (中小企業のためのデザイン経営ハンドブックの抜粋)


~ 関西で芽吹き始めたデザイン経営 ~

デザイン経営の実践は、今、関西の様々な地域で芽吹き始めています。しかし、未だ多くの中小企業にデザイン経営が認知されていないのが現状です。
 さらに、日本では、デザイン経営を型として取り入れているが魂まで取り入れた企業はまだまだ少ないと言われています。
 今ある経営にデザインを足し合わせても、デザイン経営を実践しているとは言えません。デザイン経営を実践する上で、変わらないといけないのは、経営者自身です。 経営者が魂からなる衝動を軸に、目指すべき姿を想像し、デザイン視点を身につけることがデザイン経営には欠かせません。
 そこで、近畿経済産業局では、経営者自身が魂と目指すべき姿を語り、デザイン視点でビジネスをデザインすることに挑戦し変わることを支援するプロジェクトを現在企画しています。

関西におけるデザイン経営はまだまだ芽吹き始めたばかりかもしれません。しかし、確実にその芽は大きくなり始めています。 近畿経済産業局は、この芽の成長を少しでも加速できるよう取り組んでいきますので、ぜひ、今後のデザイン経営にご注目ください。


掲載関連情報

企業名
昌和莫大小株式会社
所在地
奈良県北葛城郡広陵町大字百済1369-1
電話番号
0745-55-0415

関連施策へのリンク

中小企業のためのデザイン経営ハンドブック

特許庁はデザイン経営を推進しています

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 知的財産室

電話:06-6966-6016

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