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関西におけるスタートアップ・エコシステム強化の動き
京阪神で活発化するスタートアップ支援の取組
担当課室:創業・経営支援課

最終更新日:令和4年1月4日

近年、関西ではスタートアップ・エコシステム強化に向けた様々な取組が行われています。そもそも、スタートアップ・エコシステムは、アメリカのシリコンバレーを発祥にした言葉で、 革新的なビジネスモデルで短期間に急成長を目指すスタートアップが次々と生まれ育ち、淘汰されながら成長を遂げていくというサイクルが自律的、連続的に行われるような環境を、 自然界の生態系に例えて「スタートアップ・エコシステム」と呼ばれるようになりました。関西においては、企業、大学、ベンチャーキャピタル、 公的機関などのネットワークによってスタートアップを継続的に生み出し循環・発展していくエコシステム強化の動きが活発化していますが、本稿では、そのなかでも最近の注目すべきスタートアップ支援の取組について紹介します。

1.スタートアップ・エコシステム拠点都市

2020年7月「大阪・京都・ひょうご神戸コンソーシアム」が内閣府の「世界に伍するスタートアップ・エコシステム拠点形成戦略」における 「グローバル拠点都市」に選定されました。 政府はこれらの拠点に対して国の補助事業、海外展開支援、規制緩和等を積極的に実施しています。 京阪神それぞれが、自治体、経済団体、大学、民間組織等からなるコンソーシアムを形成し、スタートアップ設立数の倍増、ユニコーンと呼ばれる企業評価額1000億円を超えるスタートアップの創出等を目標に掲げています。

(京阪神スタートアップ・エコシステム拠点都市の概要:内閣府サイト「拠点形成計画進捗報告資料【京阪神】」資料から引用)

(京阪神スタートアップ・エコシステム拠点都市の概要:内閣府サイト「拠点形成計画進捗報告資料【京阪神】」資料から引用)

2.京阪神スタートアップ アカデミア・コアリション

2021年10月文部科学省が実施する大学発新産業創出プログラムに、「京阪神スタートアップ アカデミア・コアリション」が採択されました。本プログラムは、前述したスタートアップ拠点において中核となる大学・機関に対する支援を目的としたもので、 本プラットフォームは、起業活動支援・アントレ教育・起業環境整備・エコシステム形成活動を統合的に進めることで、「連続的な大学発スタートアップの創出」と「アントレプレナーシップ人材の裾野の拡大」を目指しています。

(京阪神スタートアップアカデミア・コアリションの概要:OSAKA INNOVATION HUBのサイトから引用)

(京阪神スタートアップアカデミア・コアリションの概要:OSAKA INNOVATION HUBのサイトから引用)

3.アクセラレーションプログラムの展開

アクセラレーターは英語で「加速させるもの」を意味し、専門の企業や、大手企業、地方自治体等がスタートアップの成長を短期間で加速させるプログラムを提供しています。 関西においても、大阪市のグローバルイノベーション創出支援事業の拠点である大阪イノベーションハブ(OIH)が「OIHシードアクセラレーションプログラム(OSAP)」を2016年から実施、 同年、神戸市は世界トップレベルのアクセラレーターである500 Startupsとパートナーシップ協定を締結し、「500 KOBE ACCELERATOR」を実施するなど、これまで数多くのスタートアップが支援を受けてきました。 また、兵庫県、神戸市は、国連機関であるUNOPS(国連プロジェクト・サービス機関)と連携し、世界のSDGs課題解決を目指すスタートアップを支援するアクセラレータープログラムを開始するなど、 関西では様々なアクセラレーションプログラムが展開されています。また、JETRO(独立行政法人日本貿易振興機構)は、前述のスタートアップ拠点都市のスタートアップ109社を対象に、 海外のトップアクセラレーター6社による「スタートアップシティ・アクセラレーションプログラム」を実施し、関西地域からも多数のスタートアップが参加しています。

4.スタートアップ支援拠点の設置

大阪では、大阪市が2013年にスタートアップ支援施設としてOIHを開設し、スタートアップ支援などが年間200回以上開催されてきました。 京都では、産業支援機関が集積する「京都経済センター」に、新しい一歩を踏み出す人のための共創の場、オープンイノベーションのスペースとして「KOIN(Kyoto Open Innovation Network)」が2019年に開設されました。 そして、神戸では「ANCHOR KOBE」(アンカー神戸)を2021年4月に開設し、業界の垣根を超えたイノベーション創出を担う産・官・学の交流スペースとして、起業課育成プログラムや各種イベントが行われています。

5.スタートアップ関連情報の発信

関西広域連合では、関西スタートアップ・エコシステムの魅力・ポテンシャル・将来性を国内外へ発信する「関西スタートアップ・エコシステム情報発信事業」を開始しました。 また、京都では、2021年4月に「KYOTO STARTUP ECOSYSTEM」のサイトを開設し、スタートアップ支援策の一覧、インフルエンサーのインタビューなど、エコシステム関係者の情報共有の場として機能しています。 また、神戸でも、起業家と支援者が双方向で交流できるSNS機能を備えたスタートアップのためのポータルサイト「KOBE STARTUP HUB」が2021年8月に開設されました。 大阪・京都・ひょうご神戸スタートアップ・エコシステムコンソーシアムが、世界と伍する拠点形成をめざす「グローバル拠点都市」として選定されたことを契機に、国内外へ関西のスタートアップ情報を発信する取組が活発になっています。

6.J-Startup KANSAIによる有望なスタートアップの選定

J-Startup KANSAIは、経済産業省のJ-Startupプログラムの地域展開として、2020年9月に開始しました。 近畿経済産業局では、昨年、関西から全国・世界へはばたく有望なスタートアップ31社を選定し、内閣府のスタートアップ・エコシステム拠点形成事業と連動しながら、 公的機関と民間企業が連携して集中支援を実施しています。2021年10月には「J-Startup KANSAI」の対象企業として新たに10社を追加選定しました。 選定は、「地域で選び・応援する」との観点から、関西を代表する起業家、ベンチャーキャピタリスト、アクセラレーターなど、関西のスタートアップに精通する79名からの推薦を基に行いました。

J-Startup KANSAIのロゴ

《J-Startup KANSAIのロゴ》

J-Startup KANSAI選定式の様子

《J-Startup KANSAI選定式の様子》

《2021年J-Startup KANSAI追加選定企業10社》

アイ・ブレインサイエンス / アトモフ / 京都フュージョニアリング / glafit / サグリ / Space Power Technologies / フツパー / メトロウェザー / Lean on Me / ルクサナバイオテク

《2020年J-Startup KANSAI選定企業31社》

アースクリエイト / ACALL / Atomis / アロマジョイン / AFIテクノロジー / エニシア / エネコートテクノロジーズ / カルテック / Keigan / CONNEXX SYSTEMS / Compass / 坂ノ途中 / C4U / シンプロジェン / T-ICU / データグリッド / トータルブレインケア / ネクイノ / バイオパレット / HACARUS / PLEN Robotics / Payless Gate / Baseconnect / BABY JOB / ミライロ / mui Lab / Momo / ライトタッチテクノロジー / リージョナルフィッシュ / リモハブ / レスタス


「J-Startup KANSAI」企業はいずれも今後全国・世界へとはばたくポテンシャルをもった企業ばかりです。 選定企業は特設サイトによるPRや事務局・サポーターによる支援事業が活用できるほか、経済産業省J-Startupプログラムによる支援も活用できます。 今後、選定企業に対して、公的機関と民間企業が連携して集中支援を実施することで、選定企業の飛躍的な成長をサポートします。 J-Startup KANSAIでは、関西発の有望なスタートアップ企業群を明らかにし、地域ぐるみで起業家を応援・支援する仕組みを構築することで、地域が起業家を生み、育てる好循環(=「エコシステム」)の強化を目指しています。

7.関西ベンチャーサポーターズ会議

近畿経済産業局では、関西のベンチャー支援環境の充実に向け、民間企業や自治体等と連携した取組を推進しています。 関西の産学官のベンチャー支援者・機関による「関西ベンチャーサポーターズ会議」をコアとして、関西のベンチャー企業の層の厚さと支援策等の情報発信に取り組んでいます。

  1. 関西ベンチャー企業リスト
     会議メンバー・オブザーバ等の協力を得て、関西で活躍するベンチャー企業の情報を取りまとめた「関西ベンチャー企業リスト」を公表しています。 2021年5月現在で1,302社の情報を掲載しており、掲載企業は、提供機関各々の定義に基づき選定しています。
  2. 関西のベンチャー支援情報
     近畿2府5県に所在する、国・独法、地方自治体、大学、民間企業、金融機関、士業関係、インキュベーション施設、起業家・ ベンチャーコミュニティ等が実施する"ベンチャー企業向け支援策(2021年11月現在:317件)を取りまとめました。 併せて、関西の支援機関が取り組むベンチャー支援事業の最新情報が把握できる「関西ベンチャーイベントカレンダー」を公開しています。

8.おわりに

このように、関西ではスタートアップ・エコシステムの形成に向けた動きが活発化しています。 しかし、現状では有力なスタートアップやVC(ベンチャーキャピタル)、優秀な経営人材など、エコシステムの形成に必要な要素は東京に一極集中しています。 新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン面談やリモートワークの普及が進み、首都圏VCへのアクセスや優秀な人材確保の面において地域で起業するハンディキャップは埋まりつつありますが、 より一層、関西のスタートアップへの投資資金や経営人材を呼び込む必要があります。2025年大阪・関西万博は、関西のスタートアップ企業のポテンシャルを世界に示す絶好の機会になるでしょう。 また、アフターコロナで新たに生まれるマーケットは、機敏さをもつスタートアップ企業に有利に働き、イノベーションを創出できる又とないチャンスだと捉えられます。こうした変化を前向きに捉え、京阪神が連携し、 関西の強みを活かした関西のスタートアップ・エコシステムの構築とさらなる成長が期待されます。

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 創業・経営支援課

電話:06-6966-6014

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