トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 2022年3・4月号 企業・地域の取組紹介
最終更新日:令和5年4月3日
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。近年、SDGsは社会全体で広く知られるようになり、地域においてSDGsの視点を取り入れ、かつ地域の魅力・強みを活かした事業への関心が高まっています。
2025年の大阪・関西万博は「SDGs万博」でもあります。関西では、2017年12月に関西SDGsプラットフォームが立ち上がるなど、SDGsの達成に向けて様々なステークホルダーにより取組が進められています。
環境・リサイクル課では、環境及びリサイクル分野においてSDGsの視点を加味し、かつ地域の魅力・強みを活かした自治体等の取組を紹介しています。
第5回目の今回は、2021年2月に「ゼロカーボンシティ宣言」を発出し、2021年6月には使用電力の再エネ100%化を目指す「再エネ 100 宣言 RE Action」に関西以西の基礎自治体では初めて参加するなど、「再生可能エネルギーの地産地消」を積極的に推進されている京都府福知山市を紹介します。
大橋一夫市長が、2016年に就任以来、前例踏襲の意識を排除し、まちの礎を築いた武将・明智光秀から受け継ぐまちづくりへの挑戦心「光秀マインド」といった意識を持って、職員一丸となり、様々な先進的な取組を行ってきました。豊かな自然環境を誇る福知山市にとって、国連で採択された持続可能な開発目標「SDGs」に沿った環境政策は、その中でもプライオリティの高いものでした。
2020年には観光部局とも連携した「お城で全国初!『再生可能エネルギー100%電気』 官民一体で福知山城からSDGsを発信!」を実施するなど、既成概念にとらわれない様々なSDGsの取組を進めると共に、2021年には庁内の環境・エネルギー政策を束ねる「エネルギー・環境戦略課」を新設し、環境やエネルギーに関する事業の更なる推進を図っているところです。
市民の皆さんのご理解・ご協力もあり、様々な取組を行っていますが、現在、全国的に注目を頂いています「市民出資による公共施設でのオンサイトPPA事業」を紹介します。
PPA(Power Purchase Agreement:電力供給契約)とは、PPA事業者が施設の屋根等に太陽光発電設備等を設置し、施設所有者が設置場所を貸すとともに、発電された電力を使用し、電気代をPPA事業者に支払う仕組みです。PPA事業者は設置費用及び運用・管理費用を施設利用者の電気代で回収します。
その中で、「オンサイトPPAモデル」とは、需要家の敷地内に発電設備を設置し、電力を供給するモデルです。
これは、地元の金融機関、ファンド運営事業者、大学、地域新電力事業者と本市の5者連携協定の枠組みにより、市内の公共施設の3か所に新たに設置する太陽光発電設備により発電された電気を福知山市が使用する事業です。
発電事業は、電力の地産地消を通じて持続可能な地域づくりに貢献することを目指す地域新電力「たんたんエナジー株式会社」(本社:福知山市)が100%出資する「たんたんエナジー発電合同会社」が担います。
発電事業者は、三段池総合体育館、福知山市武道館、学校給食センターの3か所の屋根等に太陽光発電設備を設置し、その施設で使用された分の電気使用料が収入となります。
【協定5者とPPA事業における役割】
このスキームにより、福知山市は初期投資の費用を負担することなく、民間ノウハウを活かした太陽光発電設備を設置することができます。停電を伴う災害時においては、本事業により太陽光発電設備が設置された避難所において、避難された市民の方に電気を供給することが可能です。
また、本事業に賛同し、出資して頂いた市民の方には、発電事業者より毎年の利益剰余金が分配される他に、福知山市の観光施設のクーポンが特典として用意されています。
このように、カーボンニュートラルに貢献するだけでなく、様々なシナジー効果も、市にもたらすと考えています。
既に、出資の受付は終了し、工事も完了しており、間もなく電力の供給を開始する予定です。
京都日産自動車株式会社、日産自動車株式会社と「電気自動車を活用した災害連携協定」を、京都三菱自動車販売株式会社、三菱自動車工業株式会社と「災害時における電動車両等の支援に関する協定」をそれぞれ本年1月27日に締結しました。
具体的には
未来の福知山市を担う小学生に、SDGsの理念、カーボンニュートラルの重要性を理解してもらうために、教材冊子「地球温暖化を止めろ!未来への挑戦」を作成し、市内の小学4年生全員に令和2年9月末頃から配布しています。福知山城等をモチーフにした脱炭素型の未来・SDGsが楽しく学べるよう、イラストを多数用いたロールプレイング方式を採用した内容になっており、小学生、保護者、先生方から好評を得ています。
この冊子を読んでくれた小学生が、明智光秀の名前にあるように、「智」恵を活かした賢い選択で、未来に「明」るい「光」を灯して、「秀」でるまち”福知山”を築いてくれたら、制作者として嬉しいです。
福知山市教材冊子「地球温暖化を止めろ!未来への挑戦」
地元のヒーロー、明智光秀が主人公のNHK大河ドラマ「麒麟がくる」は、私たちの悲願でした! 多くの観光客に福知山を訪れていただき、光秀が築いた福知山城の入館者は過去最高になりました。ですがコロナ禍真っ只中での放送だったため、断念したことも多かったです。
今はポストコロナも見据え、光秀から受け継ぐまちづくりへの挑戦心=光秀マインドを胸に、独自の資源「明智光秀&鬼」を生かした地域ブランディングを、オンラインをフル活用しながら積極的に進めているところです。例えば、福知山市内外の方々に参加頂いている「#福知山城チャレンジ」ですが、皆でアイデアを決定し、3月には光秀の能が誕生予定です。
一方、情報教育の充実を目的として、福知山公立大学・情報学部の大学生が、ゲーム「マインクラフト」内で福知山城の建築に挑戦中です。また日本でも珍しい鬼の博物館では、30周年に向けてクラウドファンディング(CF)型ふるさと納税を始めました。
そして自然環境がもたらす豊富な美味しい食材が存在する福知山市では、「スイーツのまち」「肉のまち」として、地元食材にこだわった美味しいスイーツ、ジビエなどの多様な肉食文化を、福知山観光協会や市内のお店とも連携しながら積極的にアピールしています。
是非、コロナ収束後、福知山市にお越しいただき、数多くの魅力を味わってください。
明智光秀マインド~ 語り:クリス・ペプラーさん~(福知山市公式YouTube)
CF型ふるさと納税 鬼ブームの今こそ !「鬼のまち」の博物館 30周年を「ド派手」に祝いたい !(ふるさと納税サイトさとふる)
明智光秀の末裔とされるクリス・ペプラーさん(2019年福知山城 現代大茶会より 福知山市提供)
福知山市は、明智光秀が築いた城下町として有名ですが、皆さんは明智光秀に対して、どのようなイメージをお持ちでしょうか?一般的には、主君織田信長を裏切った人物といったイメージがありますが、実際には、当時の最新技術を用いて福知山市内を流れる由良川治水工事を行い、一方では税金を一部免除するなど、前例にとらわれない政治を行った名君として、領民に慕われていたとのことです。
そして今、福知山市では、エネルギー・環境行政、また観光行政などにおいて、まさしく「光秀マインド」のもと、地元企業や市民の方々と連携・協力した様々なチャレンジングな取組をされていると感じました。
是非、市のプロモーションサイト「いがいと!福知山」をご覧ください。
(福知山市公式YouTubeアニメーション「転生したら鬼退治を命じられました」を拝見させていただきましたが、再生回数も多く、面白い内容です!)
取材終了後、市内のお店で福知山名物の栗が入った丹波ロール(栗)お土産として購入したのですが、翌日、私が朝から出かけている間に、家族がきれいに平らげていました・・・。息子曰く「無茶苦茶おいしかったから、パパの分も食べてしまった」とのこと・・・(涙)
次回は、丹波ロール(栗)のリベンジも兼ねて、プライベートでお邪魔させて頂きます。
お忙しいところ取材に応じていただき、ありがとうございました。
福知山の特産品である丹波くりを使った商品(福知山観光協会提供)
近畿経済産業局通商部 国際課 ホームページ(関西SDGs貢献チャレンジ)
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 環境・資源循環経済課
電話:06-6966-6018