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チーム・地域・産業の“KANSAIスポーツ三方よし
”地域からスポーツ産業に革命を”スポーツを切り口に新たな挑戦が広がっています
担当課室:中小企業政策調査課

最終更新日:令和4年5月9日

スポーツ関連市場への中小企業参入プロセス事例集

近畿経済産業局では、関西に強みのあるスポーツ市場の活性化に向け、関連する企業や自治体等、また各種スポーツチームへのヒアリングを実施しました。地域との共生を目指すスポーツチームやスポーツイベントが地域ならびに周辺産業にもたらす効果、スポーツ関連市場獲得に向けた地域中小企業の関わり方等に関する手法の例示を行っています。
 また、スポーツ市場への参入に向けた取組を可視化するため、(1)チーム編(6スポーツチーム)、(2)地域編(3自治体・1協議会)、(3)企業・プラットフォーム編(5企業・3プラットフォーム)と3つのカテゴリーに分割整理し、計18の取組事例を紹介しています。

<PR冊子表紙>

PR冊子表紙

<PR冊子記載内容(株式会社azuki)>

PR冊子記載内容(株式会社azuki)

調査の背景

スポーツ関連市場は、スポーツ用品を生み出し支える製造業に限らず、医療・健康、観光、サービス業など幅広い産業分野に関係し、産業横断的に市場が成長する潮流がみられます。
 我が国では、2015年のスポーツ庁発足を皮切りに、スポーツの成長産業化に向けた議論が活発化しており、特に「スポーツ未来開拓会議」、「未来投資戦略2018」等では、スポーツを通じた「地域活性化」や他産業との連携による「新事業創出」といった2軸の視点で、スポーツ関連市場の成長を推進していくことが期待されています。
 「甲子園球場」や「花園ラグビー場」等、スポーツの聖地を擁する関西圏には、地域との共生を目指すプロ・アマスポーツチームも都市部から地方まで広域に存在しています。また、世界的な知名度を持つ大手スポーツ用品メーカーに加え、独自技術を有し、ものづくりに強みを持つ多くの中小企業が集積していることから、関西地域は、スポーツ関連市場が発展する高いポテンシャルを有しています。


チーム・地域・産業の“KANSAIスポーツ三方よし”

スポーツチーム、自治体(コミッション含む)、企業へのヒアリングを通じて、それぞれの立場や三者の関わりの中で浮かび上がってきた効果・特徴について検証しました。

1.スポーツチームが地域にあること

地域にとってスポーツチームがあるとはどういうことでしょうか。真っ先にあげられるのが「プロチームを擁する地」「○○競技のまち」としてのシティセールスと地域住民が愛着を持つシビックプライドです。
 スポーツ環境が整っている自治体、またチームや特定の競技が地域に根付くきっかけとして共通するのが、国体や五輪等、スポーツ大会の開催経験です。合宿地として施設整備が進み、国体選手が大会後に指導者として選手を育成し、その多くの教え子が時を経て、官民や教育界に広がる人脈を生かしてスポーツチームを支えている事例が複数見られました。

2.地域(自治体)によるスポーツ環境整備

地域スポーツチーム等への自治体の支援や連携について、自治体側からはチームや大会等の誘致や施設整備、またイベントを通じたチームとの取組が寄せられる一方、チーム側からは、学校の授業での競技の採用や、部活動での指導等の取組が、裾野拡大や人材育成に大いに役立っているとの声が多く聞かれました。県外進学の大学生の地元就職を奨励する制度や、地元企業への選手の雇用斡旋等、競技経験者が地元に戻り就職する環境整備を通じて人材定着支援をしている自治体もあります。

3.企業にとってのスポーツチーム

スポーツチームへの一般的な企業支援は、自社の広告宣伝にもなるスポンサー制度ですが、マイナーな地域密着型チームでは、そのメリットを享受することはなかなか困難です。しかし、本調査を通じて、多くのチームがスポンサー企業を持ち、企業側もチームとの繋がりを持っていることが分かりました。理由として、社長や子どもが競技経験者などで競技・チームへの共感があること、またアスリート支援や地域住民向けイベント等を通じた地域密着型活動は、地域のスポーツ活性化に資する社会貢献となることがあげられます。チームが行うリサイクル等の社会貢献活動に共感し、スポンサーになる例も見られました。
 次に多くの企業が行っている支援がアスリート雇用です。選手の多くは、学校を卒業すると競技をする場がなく、あっても一般就職では競技の継続は困難という課題を抱えています。企業としてアスリートを雇用することで、経営者の競技への理解、所属選手を応援することによる社内の一体感、また自社製品のアスリート使用による広報効果などを期待していることが分かりました。また、本業での人材確保を目的に、チームオーナーとなり、競技をしながら働いてくれるアスリートを雇用している企業も見られました。チーム運営については、地域企業(建設・運送・IT等)や医療法人、特定非営利活動法人が新たな主体として登場しています。

4.チーム・地域・産業の三方よし

チーム・地域・産業の“KANSAIスポーツ三方よし”

<チーム・地域・産業の“KANSAIスポーツ三方よし”>


チーム・地域・産業(企業)の三者の関わり、またその効果を改めて見てみると、それぞれ違った立場ながら、スポーツに向き合う志を同じくしている傾向が窺えます。
 スポーツクラブの運営企業はまちづくりの視点を持ち、クラブを商業施設内に開設し、さらに飲食の場を設けることで、地域でコミュニティ形成の場を創出しています。リサイクルやフェムテックに取り組むチームやスポンサー企業、また、選手がスポンサー企業でボランティア活動を行ったり、地元メディアに出演してレポーターとして活躍する事例など、社会貢献や親しみの創出に三者がうまく連携し、相乗効果を生み出しています。チーム運営への企業人の参画や、チームと企業のコラボ商品について自治体が商工会に繋いだ事例、また大会誘致にあたり自治体が地元企業向けに勉強会を開き、自分事として行動する動機を与え、大会後は新たなツーリズムに繋がるなど、地元企業を巻き込んだ事業が展開されています。
 これらの好循環は、住民のスポーツに対する関心を高め、生活にスポーツを取り入れるライフスタイルが浸透し、誰もがスポーツに親しむ時代の到来が期待されます。必然的にスポーツチームが地域に欠かせない存在となり、それらを支える企業のプレゼンスが向上します。スポーツ愛好家の増加、すなわちスポーツ関連市場の拡大は、こうした「三方よし」からもたらされます。

スポーツ関連市場における中小企業の参入可能性

チーム・地域・産業の取組事例から紐解くスポーツ産業への中小企業の参入プロセス~「Recognition」「Passion」「Action」「Innovation」~

<スポーツ市場参入プロセス>

スポーツ市場参入プロセス”

1.Recognition ~企業はスポーツを自分事に、行政は産業振興の目線を~

企業活動において最も重要なことは、スポーツ関連市場の拡大・育成を通じた企業の付加価値向上です。スポーツ人口の裾野を広げ、大きなマーケットを作ることが中小企業のビジネスチャンスに繋がります。
 一方で、スポーツは、製造業やサービス業など多くの分野が関係するにもかかわらず、日本標準産業分類にスポーツ産業が明記されていないため、企業に市場として認識されていません。多くの自治体は、スポーツを住民の健康増進や青少年育成という教育として捉えるなど、健康福祉部門や教育委員会等で所管しており、行政においても産業振興の視点があまり持たれていないのが現状です。
 また、すでにスポーツ市場を牽引するメーカーにより、トップアスリートや消費者の間で「ブランド」が確立されています。ここに地域の中小企業が一足飛びに参入するのはハードルが高く、スポンサーの関係など、参入の障壁になっています。一方、能力向上を図りたい学生やアマチュアアスリート層は、スポンサードに囚われない、ある種ブルーオーシャンの領域です。

事例からみる参入ターゲット図”

2.Passion ~スポーツビジネスは人々の共感が源泉~

スポーツは人々の共感を呼ぶものです。スポーツ市場に参入した企業事例では、身近な人やアスリートを応援したい、また自身が競技経験者だったなど、自分事として商品開発に取り組んでいます。アスリートのためになったことが、自身の喜びとなるなど、利他的精神が窺えます。

3.Action ~地域チーム・アスリートへのアプローチ~

ヒアリング事例では、地域で活躍するスポーツチーム、女性アスリート、パラアスリート、大学アスリートなどのモニター検証により、商品開発を進めているケースが多くあります。アスリートは、スポーツ用品やコンディション管理などにこだわりを持ち、アスリートの数だけニーズが存在します。他方、幅広いニーズに応えられ、オーダーメイド品を手掛けられることが、小回りの利く中小企業の利点です。

4.Innovation ~想いを可視化し、具現化する場「プラットフォーム」~

関西には、企業連携を通じてスポーツと様々な産業の融合による新たなビジネス創出を促進する場であるプラットフォーム機能が存在します。プラットフォームの場は、パフォーマンスを上げたいアスリート、スポーツ界を支えたい企業、自社の優れた技術のさらなる活かし方を探している企業等が、集い共有することで、より多くのアイデアやニーズが集まり、それに対するソリューションが生まれるイノベーションの苗床です。様々な主体が群となってイノベーションを創出させる場、「コト」を仕掛ける実験場の広がりが、スポーツ関連市場が発展していくうえで重要な役割を果たすことが期待されます。

事例からみるプラットフォームの概要図”

今後の展望

当局においては、スポーツ分野と他産業との融合による新事業創出を目指し、本冊子のような好事例の発信のほか、特に、各プラットフォームが持つ人的ネットワークや情報等のリソースを活かし合えるよう、プラットフォーム間の相互交流を促すような取組を推進します。
 また、これらの活動を通じて、関西スポーツ市場産業の掘り起こしと市場獲得を図るとともに、政府目標として設定された「2025年のスポーツ関連市場15兆円」の達成につなげていきます。
 令和4年度は、地域・企業共生型ビジネス導入創業促進事業を活用し、本誌で掲載した亀岡市のサンガスタジアムのようなロールモデルを生み出すべく数か所のプラットフォームの形成を促進して参ります。

関連施策へのリンク

“地域からスポーツ産業に革命を!”「チーム・地域・産業の“KANSAIスポーツ三方よし”」(冊子)をとりまとめました!

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 中小企業政策調査課

電話:06-6966-6057

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