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関西、中小企業にとってチャンスになる“カーボンニュートラル”
~関西経済・企業の成長と環境の好循環に向けて~
担当課室:新エネルギー推進室

最終更新日:令和4年7月1日

はじめに

2020年10月、日本は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「2050年カーボンニュートラル(CN)」を宣言しました。その後、メディアでの報道をはじめ、様々な場面でCNという言葉を耳にする機会が増えてきましたが、それが地域や企業経営においてどのような影響をもたらすものなのか、なかなかイメージがわかないという方も多いのではないでしょうか。本稿では、CNに向けた動きが関西地域及び中小・小規模事業者(以下、中小企業)に及ぼす影響や、利活用時にCO₂を排出しないクリーンなエネルギーとして注目が高まる水素を取り上げ、地域や企業の成長につながる要素としてCNが期待される背景について紹介します。

関西地域におけるカーボンニュートラル

そもそも、温室効果ガスの排出を「全体としてゼロ」にするためには、まずはその排出量を大幅に削減しなければなりません。そして、温室効果ガスの大部分(約85%)を占めるのが、化石燃料を燃やしたり製鉄等の電気や熱を使った際に排出される「エネルギー起源CO₂」ですので、CN実現に向けては、CO₂排出量をいかに削減するかということが重要課題とされています。
 関西地域は全国のGDPの約16%を占める経済圏であり、全国のおよそ14%(約1億3,580万トン:2019年度)のCO₂を排出しています。またそのうちの約43%を産業部門が排出しており、特に石油・化学・鉄鋼分野などの産業が集積する大阪湾岸沿いの地域では、CO₂排出量が大きくなる傾向があります。また、産業部門以外でも、民生部門(家庭や業務ビル等)は約35%、運輸部門は約20%と大きな割合を占めていることから、CNをめざすということは、これらの全ての部門でのCO₂排出量を削減していかなければならないということになります。【図1】

【図1】関西の二酸化炭素排出量

【図1】関西の二酸化炭素排出量
【図1】関西の二酸化炭素排出量


こうした状況を踏まえ、関西地域においても、2050年までにCO₂実質排出量ゼロに取り組むことを表明する地方自治体(ゼロカーボンシティ)が増えています(81自治体:令和4年5月末時点)。また、今年4月には、環境省が「脱炭素先行地域」として、民生部門におけるCO₂排出量を2030年度までにゼロにすることを目指す計画の中から26件を選定し、関西では5件が選定されるなど、地域におけるCNを目指す動きも加速しています。
 各自治体の具体的な取組は様々です。産業部門・民生部門・運輸部門いずれの部門でのCO₂排出量が多いのかといった地域特性を踏まえ、各々の特徴を発揮できる方法で、CO₂削減目標の策定や再生可能エネルギーの導入等に向けた検討が各自治体で進められています。
 地域・自治体ごとに、それぞれの課題を解決できるような取組手段があります。地域特性を踏まえたCN実現にむけた取組が関西全体で進められることが期待されます。

中小企業のカーボンニュートラル

さて、CNの潮流は、地域経済を支える企業に対してはどのような影響を与えているのでしょうか。企業経営には、金融機関や取引先等との様々な関係が影響しています。そういった企業を取り巻く環境が、企業にどういった対応を求めているのかがポイントです。
 例えば、金融機関においては、融資先企業の温室効果ガス排出量を把握する動きが進んでおり、CNに先進的に取り組もうとする企業に対しては、積極的に支援・評価する取組が進んでいます。また、グローバル大企業においては、川下企業一社でCNに取り組むだけでなく、取引先企業にもCNへの対応を求め、サプライチェーン全体でのCN達成を目指す動きが増加しています。
 こうした動きは、大企業のみならず、中小企業を含むすべての企業に対して始まっており、CNへの対応は、他人事ではなくなってきています。
 とはいうものの、いきなりCNに向けた取組を始めることは難しいかもしれません。まずは、はじめの一歩として、自社のCO₂排出量を把握することから始めてみることも方法の1つです。その特徴等を踏まえ、CNに少しずつ取り組むことは、環境保全に寄与するのみならず、企業にもビジネスチャンスとなり得ます。例えば、省エネによってコスト削減が可能になる、資金調達がしやすくなる、製品や企業の競争力が向上する、等のメリットがあり得ます。
 当局でも、中小企業におけるCNへの対応をより加速化するべく、自治体や商工会議所等の関係機関との連携を深め、支援の輪を広げています。主に1.普及啓発、2.企業支援、3.ネットワーク強化を3本柱として企業のCNへの関心や取組状況に応じたセミナーや説明会を開催し、CNの潮流や取組事例、支援施策等に関する情報提供を行っています。【図2】

【図2】近畿経済産業局のカーボンニュートラル促進に向けた取組方針

【図2】近畿経済産業局のカーボンニュートラル促進に向けた取組方針

水素関連産業の普及促進

CN実現に向けての取組方法は様々です。その中で、利活用時にCO₂を排出しないクリーンなエネルギーの活用を促進することは、1つの重要なポイントとなってきます。そのクリーンなエネルギーとして、太陽光発電や風力発電等の再生可能エネルギー等と並び、注目を集めているのが水素です。
 そもそも水素とは、CO₂を排出することなく、酸素と結びつけることで発電したり、燃焼させて熱として利用することができるエネルギーです。また、電気を使って水から取り出すことができるほか、石油や天然ガスなどの様々な資源からつくることができるという特徴があります。
 将来の成長分野として期待されている一方で、現状では認知・理解はまだまだ低く、水素への理解促進が課題となっています。また、関西には水素関連企業が多く集積していますが、今後水素の商用化を実現させていくにあたっては更なる企業参入の促進も課題です。
 このような背景を踏まえ、当局では水素の利活用に向けた理解醸成や、水素関連産業への企業の参入促進にも積極的に取り組んでいます。
 具体的には、関西に拠点をもち、これまでに参入した企業の例を紹介する企業データ集や、水素に関する基礎知識を紹介する「KANSAI 水素の入門書」を作成し、関西における水素関連産業の普及促進を切り口としたCNへの取組強化を図っています。
 更に今年度は、水素関連産業への中小企業の一層の新規参入促進を目的とした、ビジネスマッチングのための「水素産業ニーズ・ウォンツ発表会~中小企業の参入に向けたマッチング~」をシリーズで開催しています。6月29日に第1回を開催し、川下企業から水素関連の現在の取組状況や、今後の商用化に向けた方向性、課題などを発表していただきました。【図3】

【図3】近畿経済産業局の水素関連産業の普及促進

【図3】近畿経済産業局の水素関連産業の普及促進

水素社会の実現は、CNに向けた取組・手段の1つです。水素関連産業への参入は環境に寄与するだけではなく、新たなビジネスチャンスにもなり得ます。当局では引き続き、関西経済や企業の成長と環境の好循環に向けて、CN促進に向けた取組を積極的に進めていきます。是非、まずは少しでもCNに関心を持っていただき、自身の持ち味を活かしたCNへの取組をできることから始めませんか。


掲載関連情報

「カーボンニュートラル」って何ですか?(前編)~いつ、誰が実現するの?(資源エネルギー庁HP)

関連施策へのリンク

脱炭素に向けた関西地域の取組

水素関連産業の普及促進

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 新エネルギー推進室

電話:06-6966-6055

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