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地域経済の牽引役を担う地域未来牽引企業のご紹介(第1回)
地域社会と共存、地域へ貢献する取組
担当課室:地域開発室

最終更新日:令和4年7月1日

経済産業省では地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれ、地域経済の中心的な担い手となりうる企業を未来企業として選定・公表しています。
 今回は、地域との共存、地域への貢献に取り組みつつ、自社事業の新たな展開にも活かしている未来企業の取組を2社ご紹介します。

地域の人々に伝えたい!和歌山の「ものづくり」を次の未来へと紡ぐ企業

有限会社菊井鋏製作所【製造業】

当社は、和歌山市で、理美容師の専用鋏を製造・販売している企業で、1953年に現社長の祖父が創業しました。当初から「キクイシザース」という自社ブランドを打ち出し事業を展開。独自に鋏の開発を進める中で、1973年にコバルト基合金を使用した鋏を開発。錆びることがなく耐摩耗性に優れた鋏として、高い評価を得ており、現在まで続く、当社の主力製品となっています。

鋏の製造では、職人の匠の技を活かしながら、ひとつひとつ丁寧に仕上げていきますが、2001年に、完全受注生産システムを導入し、理美容師の細やかな要望に応えつつ、1ヶ月以内に納品する体制を構築。最近では、LINEやInstagramのDMを通じた受注などにも対応するなど利便性を高めることで、リピートオーダーの増加につなげています。

3代にわたり経営を続けている当社ですが、2020年、コロナ禍が当社の事業を直撃しました。当社の顧客である理美容院が休業を余儀なくされ、鋏の新規発注も激減し、当社の職人も出社できなくなりました。また、理美容院休業により、地域の人々も理美容院に行けない日々が続きました。

そこで菊井健一社長は、屋外でのヘアカットイベント「あおぞら美容室」を企画しました。これは、南海和歌山大学前駅前の広場で、和歌山市内の4名の美容師の協力を得て、無料でカットとブローを提供するイベントです。このイベントが、当社にとって、地域との交流を意識するきっかけとなりました。「地域の課題解決の一助となりたい。地域貢献を考える人々とのネットワークを活かしたい」、そんな想いに突き動かされ、開催したものです。アットホームなイベントでしたが、約30名の来場者の笑顔に大きな意義と手応えを感じられました。

地域交流活動へ本格的に取り組む契機となったのは、2021年に一般社団法人日本工芸産地協会が主催した「日本工芸産地博覧会」への出展でした。菊井社長も実行委員会の一員として参画したこの博覧会は、日本各地の産地から企業が集まり、実演や体験、商品のPR・販売を行うイベントです。当社もブースを構え、社内の職人たちがブースデザインや設営、当日の来客の体験・実演対応もこなすことで、職人が自分の技術レベルの高さに気づき、自信とモチベーションの向上につながりました。イベントでは本業以外の新しい試みにもチャレンジでき、社内人材を巻き込むことで人材育成にもなり、他社との交流から異業種コラボレーションやネットワークを生み出せる、という効果を感じられたそうです。

菊井社長は、この博覧会で全国の魅力的な産地と出会う中で、観光や食品に比べ和歌山のものづくりのPR不足を実感しました。製造業の多くが、若手人材の確保に苦労をする中で、若年層に和歌山のものづくりの魅力を知ってもらうことで、人材確保につなげたい。そのために「自社、そして和歌山全体のものづくりのブランディングって一体どうすればいいのか」との想いが頭の中を駆け巡りました。

この「和歌山のものづくりの魅力を発信したい」という想いを実現させる第一歩として、菊井社長は「和歌山ものづくり文化祭」を主催しました。このイベントは、「ものづくりの未来を創る、体験と学び」をテーマとして、和歌山県の製造業が一堂に集まり各社の技術をその場で体験し楽しめる、和歌山で初めての「ものづくり企業がつくる体験参加型イベント」です。和歌山市内の会場(和歌山城ホール)にて、11月5日(土)、6日(日)に展示会形式で開催されます。

今回は展示会形式で開催しますが、将来的には大阪万博を見据え、万博会場外での地域での受け皿としてオープンファクトリーや企業ツーリズム形式でも開催したい。そして、このイベントを通じて、企業や各機関、地域の人々が継続的につながり、今後の和歌山のものづくり産業を盛り上げていきたい、という未来像を描く菊井社長。


自社の成長だけでなく、和歌山のものづくりの発展に熱い想いを語る菊井社長。次の未来へと、地域を牽引していく核となる企業として活躍が期待されます。

菊井健一社長

【菊井健一社長】

理美容師の専用鋏

【理美容師の専用鋏】

日本工芸産地博覧会での体験

【日本工芸産地博覧会での体験】

こうばはまちのエンターテイメント!地域と一緒に成長する企業

錦城護謨株式会社【製造業】

同社は1936年にゴム材料商社として創業し、現在は主にBtoB向けに工業用ゴム・樹脂製品の製造・販売を行っている八尾市の企業です。
 同社では、材料の開発から金型の設計、材料の特殊な成形までを一貫して行うことができる開発力と技術力が評価され、様々な用途で同社の製品が用いられています。その中でも、食品家電用ゴムパッキン(電気炊飯器の内蓋等)では高い国内シェアを誇っています。また、培ったゴム技術を活用し、軟弱地盤の改良等の土木事業をもう一つの柱の事業として展開しています。

一方、同社では自社ブランドの製品づくりにも注力しており、その第一弾として2015年、視覚障がい、身体障がいの方の意見を取り入れた歩行誘導ソフトマット「HODOHKUN Guideway(歩導くんガイドウェイ)」を商品化しました。
 また、同社初となるBtoC向け製品としてシリコーンロックグラス「KINJO JAPAN E1」を商品化し、順調に売上げを伸ばしています。これらの製品はそれぞれ「関西ものづくり新撰」にも選定されています。

同社が地域と連携した取組に目を向けるようになったのは、2018年に地元の八尾市から、地域の特色であるものづくりを未来につなげ、地域を盛り上げるためのプロジェクト検討の場に参加を依頼されたのがきっかけでした。

同社が八尾に本社を構えたのは1972年ですが、これまで八尾に対する意識は「仕事をする場所」であり、積極的に地域と関わる機会もありませんでした。
 この依頼を機に、「地域とともに成長する、地域に貢献する企業」を実現したいと思うようになり、八尾市のプロジェクトに参画しました。

そのプロジェクトが「みせるばやお」の立ち上げでした。当初はビジネスマッチングのようなビジネス色の強い計画が進められようとしていましたが、地域のために何をすべきか、という観点からの検討を提案し、地元の子供たちが将来「ものづくりに携わりたい」という思いを持ってもらうことができる場として「みせるばやお」を立ち上げることへとつながりました。
 同社の太田泰造社長は、現在「みせるばやお」の代表理事として八尾のものづくり・サービスの魅力を先頭に立って子供たちに伝えています。

また、地域との共存を図る上で重要視している活動の一つに、工場見学(オープンファクトリー)があります。
 これも単なる工場見学ではなく、ものづくりの現場を一般開放し、人々の生活を支え、魅了するものづくりを体験、体感してもらうことで、その人たちに新たな価値が生まれる一つのきっかけになってほしい、との思いで取り組んでいます。
 こうした活動から「FactorISM」(「こうば(Factory)」、「観光(Tourism)」、「主義・想い(ISM)」を掛け合わせた造語)の名前で、「こうばはまちのエンターテイメント」を合言葉にしたオープンファクトリーイベントも開催しました。

この「みせるばやお」やオープンファクトリーの活動を通じて、社長個人だけでなく会社全体で地域とつながることで、現場で働く社員の意識改革にもつながりました。

オープンファクトリーでは、日々生産現場で作業をする当たり前のことが現場を体験した人の感動や憧れを生み出し、その声を実際に聞くことで自社や地域の価値を再認識し、自社への誇りに気づくことができ、労働意欲や技術向上のモチベーションになる、という好循環を生み出しました。
 この好循環を生み出す、社員の自社価値の気づきや自発的な価値向上の取組を太田社長は「インナーブランディング」の一環として位置づけ、八尾市の事業参画の働きかけがなければ実現できなかった、と振り返ります。

創業100年を八尾の地で迎えるために、地域に選ばれる企業でなければならない。そのために長期的な視点として地域とつながることが重要である。その思いで地域に関わることで、人や企業とつながり、ひいては会社の成長にもつながる、と太田社長は語っています。
 地域とともに発展していく同社の取組に、今後も期待が膨らみます。

地域への思いを語る太田社長

【地域への思いを語る太田社長】

同社初のBtoC商品「KINJO JAPAN E1」

【同社初のBtoC商品
「KINJO JAPAN E1」】

みせるばやおでの企業紹介

【みせるばやおでの企業紹介】

掲載関連情報

有限会社菊井鋏製作所

所在地
和歌山県和歌山市小雑賀2-2-31
電話番号
0120-959-833

錦城護謨株式会社

所在地
大阪府八尾市跡部北の町1-4-25
電話番号
072-992-2321

関連情報のリンク

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このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域開発室

電話:06-6966-6012

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