トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 2022年7・8月号 企業・地域の取組紹介
最終更新日:令和4年7月1日
近畿経済産業局では、2022年3月に第5回「はなやかKANSAI魅力アップアワード~関西インバウンド大賞~」の受賞事業を発表しました。本アワードは、関西を拠点とする外国人受入環境整備に係る優良事例を表彰するものです。
前号に引き続き、今号では、特別賞を受賞された5事業を紹介します。
お茶の通販・京都おぶぶ茶苑合同会社は、800年以上の歴史がある京都府最大の茶づくり生産地である京都の和束町で、町の高齢過疎化と後継者減少が進むなか、「日本茶を世界へ!」をミッションに、茶畑の製造・販売はもとより、インバウンドをターゲットにした茶畑ツーリズムの提供、外国語でのECサイト運営、国際インターン制度の活用、を行い、和束茶そして日本茶普及活動とインバウンド誘致に取り組んでいます。
欧米人・富裕層をメインターゲットにした価格設定でコンテンツを制作し、新たな感動体験を提供しています。また、コロナ収束後の反転攻勢を見据え、和束を象徴する茶畑の風景動画の配信、フランス語Webサイトの開設、オンライン茶畑ツーリズムを開始しています。これらの取り組みを国際インターン生とともに自社で一貫して行うことで海外への情報発信や販売につなげています。さらにこれらの活動は地域振興社であるお茶の京都DMOや地元関係者の協力・サポートを受けた地域一体型の取り組みです。
〈インターン生の集合写真〉
中川ジャパン株式会社は、デンマーク育ちのカナダ人であるハイバーグ・ビヨン氏が代表を務める2012年創業の包丁の専門店で、大阪と東京に店舗を構えています。
日本食ブームで日本製刃物の関心が海外で高まるなか、最適な1本を永く使って欲しいという想いから、包丁の選び方から使い方、研ぎ方はもちろん、職人の技やこだわり、歴史までを丁寧に伝える営業・接客が同社の特徴です。
コロナ収束後は、訪日外国人向けの観光ツアーの受け入れも積極的に行う予定にしており、多言語で対応できるスタッフの増員を計画するなどの受け入れの準備も進めています。
コロナ禍における事業継続性を確保するために取り組んだECサイト運営においても、メールでの商品説明・研ぎ方動画のシェア、使い方カードの同封を行うなど、きめ細やかなやりとりを行い、オンライン上のやりとりであっても、海外顧客の安心感を高めています。
〈包丁実演販売の様子〉
公益財団法人PHD協会は、日本政府によるミャンマーからの第三国定住難民が神戸での定住の際に住居確保に苦労したことをきっかけに2020年10月、神戸市長田区に国際協力・交流シェアハウス「みんなのいえ」を開設しました。
その後、新型コロナウイルス感染症拡大により、雇止めなどの影響を受けた困窮外国人が増加したことから、難民以外にも対象を拡大し、2021年3月に国土交通省管轄の居住支援法人の指定、同年6月には在留資格「特定技能」の登録支援機関として登録し、居住支援と就労支援を展開するなど活動の幅を広げています。
多様性のある社会が、すべての人に豊かな社会であるという想いから、活動の最終目標は「多文化共生社会の実現」に置いています。
国際協力活動40年という豊富な実績をもとに、多文化共生事業を展開し、コロナ禍の中、新規事業者としてシェアハウスを開設しています。
居住支援に加え、食料、生活、就労支援などの総合的かつきめ細かい支援を実施しているほか、市民団体、社会福祉協議会、警察などとのマルチセクター連携でセーフティネットを形成していることが特徴です。
〈生活支援相談の様子〉
フェレリ合同会社は、奈良県十津川村の新たなツーリズム創出を目指し、フランス出身の代表フェレリ・ジョラン氏が、森林を活用したアウトドア施設「空中の村」を開設し、近い将来の訪日外国人誘客を見据えた活動を展開しています。「空中の村」では、地上4~12メートルの高さでさも浮いたように感じながら年齢・国籍を問わず、誰でも森林浴を楽しむことができ、弁当を食べたり、読書や昼寝をしたり、新鮮な空気を吸い込んでリラックスできます。
施設には「日本の原風景と言われる十津川村を守りたい」、「レクリエーションのような森の利用方法を広めたい」、「老若男女を問わず、たくさんの方に山や自然での遊び方を知ってもらいたい」という熱い想いが込められています。
代表のフェレリ・ジョラン氏は、母国フランスでヨーロッパ式の森林管理方法を学び、フランス人思考で日本にないアウトドアモデル「空中の村」を建設しました。建設は、フランスの技術・作業員が行い、十津川村の木材や間伐材のチップを使用し、木に優しい特別な方法で組み立てたアウトドア施設となっています。また弁当には地元の食材を活用するなど、地域の活性化を意識した事業です。
〈空中の村施設の写真〉
京都丹後鉄道を運行するWILLER TRAINS株式会社は、沿線地域が10年後も安心して暮らせるまちとなることに貢献できるよう、自動車運転免許の保有・非保有による移動の格差をなくし、沿線住民もインバウンドを含む来街者も自由に移動できるサービスの提供に取り組んでいます。
2015年4月の運行開始以降、鉄道の魅力や利便性の向上や沿線地域交通の充実、2019年以降はMaaS(Mobility as a Service)の実証実験などに取り組み、2020年2月には日本初の距離制運賃に対応したQRコード決済を、同年11月には日本初の鉄道でのVisaのタッチ決済によるキャッシュレス決済サービスを導入。日常的に利用している決済手段がそのまま利用可能なため、日頃より利用する沿線住民だけではなく、来街者にとっても、安心かつ簡単・便利に利用できるようになりました。
今後は、グループ会社Community Mobility株式会社が展開しているAIオンデマンド交通サービス「mobi」と沿線地域交通が提供する移動サービスとの連携により、移動の自由度をさらに高め、移動総量を増やし、域内の経済活性化につなげることを目指しています。
MaaS・・・公共交通機関をITを用いてシームレスに結び、人々が効率よく且つ便利に使えるようにするシステム
利便性向上と感染拡大防止を図るため、非接触での決済が可能なシステムを導入し、外国人からニーズの高いキャッシュレス化を進める取り組みで、地方でのMaaSの取り組み推進に先鞭をなすものです。利用データは、運行ダイヤや販売活動にも活用が可能で、沿線自治体の宿泊施設や観光施設など、幅広い業種への波及効果も期待できます。
〈キャッシュレス決済設備〉
第5回「はなやかKANSAI魅力アップアワード」の受賞事業が決定しました!
近畿経済産業局 通商部 投資交流促進課
電話:06-6966-6033