トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 2022年9・10月号 企業・地域の取組紹介

地域経済の牽引役を担う地域未来牽引企業のご紹介(第2回)
次の100年を創る老舗企業の挑戦
担当課室:地域開発室

最終更新日:令和4年9月1日

経済産業省では地域経済への影響力が大きく、成長性が見込まれ、地域経済の中心的な担い手となりうる企業を未来企業として選定・公表しています。
 今回は、地域との共存、地域への貢献に取り組みつつ、自社事業の新たな展開にも活かしている未来企業の取組を2社ご紹介します。

次の100年を目指す後継ぎ経営者の取組~人づくり、組織づくり~

株式会社クロセ【製造業】

当社は、1925年に創業した流体の熱交換に欠かせない熱交換器のうち、スパイラル式熱交換器を日本で唯一製造することができる会社です。スパイラル式熱交換器は、一般的な二重管構造の熱交換器と比べ、汚れが付着しにくく、詰まりにくいといった特徴があることから、主に全国の大手化学会社や食品メーカー、下水処理場などで使用されています。
 一方で、製缶加工技術が難しく、職人技に頼ることが多いため、事業を継続していくには、技術の維持・伝承や人づくりは欠かせません。
 職人技の習得は一筋縄にはいきませんが、若手社員は先輩社員からのOJTにより、スパイラル式熱交換器のコアとなる部品加工技術などを身に付けています。

また、採用活動についても力を入れています。他社同様、採用活動には苦労していますが、2020年に地域未来牽引企業に選定されたことをきっかけに、大阪公立大学工業高等専門学校で特別講義を実施することができ、若手人材の採用にもつながっています。様々な取組が功を奏し、社員の平均年齢は30代となっています。

これらの人材が定着しモチベーション高く働くことができる会社とするために、4代目黒瀬慶昭社長が大切にしているのは「社員が働きやすい環境づくり」です。
 社員に長く健康的に働いてもらえるように有給休暇取得率の向上(現在では取得率約80%)や黒瀬社長自らが男性の育休を取得するなど働き方改革の推進に取り組んでいます。また、週休二日制を導入し、社員自らが業務を工夫することで、年間労働日数240日、16時30分での定時退社を実施しています。時間内で効率よく仕事を進めるため、社員提案の拾い上げや改善活動を継続的に行いつつ、部門を超えたコミュニケーションの活性化により新規事業に向けた技術開発の取組にもつながっています。さらに、採用活動時の会社PRにつなげたいとの社員提案で、「健康経営優良法人」の取得も行いました。

黒瀬社長は3年後の創業100周年やその先の100年を見据え、今当たり前にできていることを、組織のノウハウとしてしっかり伝承したいと考えています。中でも、製造工程における職人技を次世代に残していくため、社員間のOJTによる技術伝承に加え、3Dスキャナーなどの最新技術の活用により技術をデジタル化することで日本唯一のスパイラル式熱交換器製造のための技術の維持・継承に取り組んでいく計画です。

次の100年に向け、黒瀬社長は会社の基盤となる組織体制や会社の中核を担う人材の育成に力を入れるため、まずは、会社の文化として既に実施できている業務・社風などの足元の仕組みや手順などを整備し、プロジェクトチームを組んで「見える化」を進めています。また、様々な産業において競争力維持・強化のため求められているDXの中でも、トランスフォーメーションに注目し、これまで当然に行ってきたものを改善したいという視点で、デジタル技術を導入し、新技術を元にした新製品の開発や省人化・省力化など会社の「変革」を進めていきたいとのことです。

これらの事業活動を通じ、先行きが不透明で大きな変革を求められるような状況下であっても、恐れずチャレンジする人や組織をつくる。そして日本で唯一のスパイラル式熱交換器製造技術を持つ会社として、社員や地域企業との連携を大切にし、社会の公器として株式会社クロセを残していきたい。次の100年を見据え、熱い想いを持って取り組む当社の今後に期待が高まります。

【黒瀬慶昭社長】

【黒瀬慶昭社長】

【社内メンバーによる取組の様子】

【社内メンバーによる取組の様子】

【製造中のスパイラル式熱交換器】

【製造中のスパイラル式熱交換器】

逆風をバネに成長する ベンチャー精神を持った老舗企業の挑戦

まねき食品株式会社【外食中食サービス業】

当社は姫路のソウルフードとされている「えきそば」、折り詰めに入った幕の内弁当を日本で初めて駅弁として売り出した食品製造販売会社。今年で創業134年を迎える明治21年創業の老舗企業です。

そんな老舗企業の舵取りをするのは、6代目となる竹田典高氏。
 先代より受け継いだ事業を発展させ次の世代へつなげるべく、平成31年に代表取締役社長に就任しました。しかし、就任1年でコロナ禍が直撃。観光客数の減少やイベントの中止により、弁当事業やパーティー事業を中心に大きな影響を受け、売上げはコロナ前に比べ一番ひどい月は7割減少しました。
 コロナなんかに負けない。ピンチはチャンスとばかりに、これまで温めていた社内の知恵を総動員し様々な事業を打ち出しました。
 まず取り組んだのが弁当部門の新展開。駅弁が非日常である旅行で食べる弁当であるならば、日常で味わう弁当に取り組んでみよう。こんなコンセプトで「まねきでりプロジェクト」が始まりました。まねき食品の調理人が総力を挙げて日替わりメニューの日常弁当を開発し、前日までの予約で自宅に弁当を届けるという新事業です。この新事業には大きな期待が寄せられましたが、結果として大きく成長するには至りませんでした。
 しかし、このプロジェクトを進める中で開発された数多くのレシピや冷凍技術が、新たな柱として成長が期待される冷凍弁当事業へつながります。

冷凍技術を活用することで、これまで届けることのできなかった客先へ商品を届ける。この想いを胸に、買いに来てもらう駅弁から全国のお家に届ける駅弁とするべく冷凍駅弁を開発。今では、おせちやお惣菜、えきそばまで冷凍商品のラインナップを拡充し、自社のオンラインショップで販売しています。

一方で、柱である弁当事業そのものの強化にも取り組んでいます。
 その一つが、穴子めし専門店「たけだの穴子めし」です。これまでも、良質な食材を使用し、おいしさにこだわった弁当を提供していましたが、専門店化することにより、より素材や調理法にこだわった商品を目指しました。狙いはズバリ当たり、顧客からの支持を得て順調に店舗を増やしています。
 この他にも、デザイナーのイヌイマサノリ氏とコラボしたデザイナーズ弁当やステーキの名店「ビフテキのカワムラ」、横浜の崎陽軒とコラボした話題性の高い商品をリリース。また、ボディーメイキングやヴィーガン対応食品もベンチャー企業から依頼を受けて製品化しました。
 この他にも、新たな販売チャンネルとして高速道路ビジネスへの進出、ドライブスルー事業の実施など、新たな取組は枚挙にいとまがありません。
 これらの取組の結果、当社の売上げはコロナ前の水準以上に回復しました。

このように新たな取組を次々に実現できたのは、従業員が常日頃温めていたアイデアとそれを実現へとつなげる竹田社長のリーダーシップ、行動力が融合した結果です。竹田社長は、業界団体のみならず、神戸経済同友会や中高大時代の諸先輩方や友人など人との付き合いを大事にしてきました。このネットワークから様々なヒントや協力を得たことが事業の実現に大きく寄与しています。

最近では、冷凍食品の新たな価値を創造し発信する団体「一般社団法人フローズンエコノミー協会」の設立メンバーの一員としてベンチャー企業などと協働し、冷凍経済圏の拡大に取り組んでいます。
 既成概念にとらわれず、ベンチャー精神を持って成長を続けていく当社の今後の展開が大いに期待されます。

【竹田典高社長】

【竹田典高社長】

【冷凍商品ラインナップ(あったかおうち駅弁、まねきの冷凍えきそば)】

【冷凍商品ラインナップ(あったかおうち駅弁、まねきの冷凍えきそば)】

【穴子めし専門店「たけだの穴子めし」】

【穴子めし専門店「たけだの穴子めし」】

掲載関連情報

企業
株式会社クロセ
所在地
大阪府高石市高砂2-2-5
電話番号
072-268-1371
企業
まねき食品株式会社
所在地
兵庫県姫路市北条953
電話番号
079-224-0255

関連情報のリンク

地域未来牽引企業の事業拡大をサポートします!

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 地域開発室

電話:06-6966-6012

他の記事を読む