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最終更新日:令和5年4月3日
中小企業庁では、エネルギー価格や原材料費などが上昇する中、中小企業が適切に価格転嫁をしやすい環境を作るため、価格交渉が9月に次いで頻繁に行われている3月についても、「価格交渉促進月間」として設定し、発注側企業と受注側企業の価格交渉を促進しています。
3月の価格交渉促進月間の取組の成果を確認するため、「フォローアップ調査(受注側中小企業への状況調査)」を実施し、その結果をとりまとめ、6月22日に公表しましたので概要をお知らせします。
フォローアップ調査は、中小企業等に対し親事業者(最大3社分)との価格交渉や価格転嫁に関する「アンケート調査」(配布企業数:15万社、調査期間:5月11日~6月17日、回収企業数1万3,078社、回答から抽出される発注側企業数は延べ2万5,575社)の結果と、下請Gメンによる「電話ヒアリング調査」(約1,560社)の結果をとりまとめたものです。
発注側との価格交渉の協議において、「話し合いに応じてもらえた」と回答した割合が最も多く61.4%を占めています。その一方で、「発注量の減少や取引を断られるおそれがあること等を考慮し、発注側企業に協議を申し込まなかった。」、「発注側企業に協議の申し込みを行ったが、応じてもらえなかった。」、「取引価格を減額するために、発注側企業から協議を申し込まれた。」という価格協議ができていないとする回答が約10.0%存在しています。
多くの事業者においてコストが上昇する中、価格転嫁が厳しい状況にあり、価格転嫁できた割合を見ると「3割~1割程度」転嫁できたという回答が22.9%と全体の回答の中で最も多い一方、「0割」、「マイナス」という価格転嫁が全くできなかったとする回答が22.6%存在しています。
価格転嫁できた割合をコスト要素別に見ると、「原材料費」は「10割」~「3割~1割程度」転嫁できたという回答が約6割程度占め比較的価格転嫁が進んでいる一方で「労務費」、「エネルギーコスト」は「0割」、「マイナス」という価格転嫁が全くできなかったとする回答が各々33.8%、33.1%と価格転嫁が厳しい状況にあります。
業種別の価格交渉の協議状況を見ると、「繊維」、「鉱業・採石・砂利採取」、「機械製造」などは相対的にみて価格協議ができていますが、その一方で、「廃棄物処理」、「トラック運送」、「金融・保険」などの業種では価格交渉を実施しにくい状況にあるようです。
価格転嫁の状況は、「化学」、「機械製造」、「金属」などの業種で、全般的なコスト上昇分を相対的に価格転嫁ができていますが、「廃棄物処理」、「通信」、「トラック運送」などの業種では価格転嫁が進んでいないようです。
業種別・コスト要素別に見ると、「労務費」、「原材料費」、「エネルギーコスト」のいずれの要素も「化学」が一位と価格転嫁が進んでいます。その一方で「トラック運送」はいずれの要素においても、最も価格転嫁できていない状況となっています。
中小企業庁では、平成29年から全国に下請Gメン(取引調査員)を全国に配置し、現在248名体制で中小企業等の取引実態についてのヒアリングを実施しています。今回の調査では、地域特性や業種バランスに配慮して過去ヒアリングを実施した事業者等から対象先を選定し、電話調査にて多くの事業者から価格交渉状況に関する生声を収集しました。ここでは、『業種:化学』を事例として紹介します。他の業種については、後記の関連施策へのリンク『価格交渉促進月間(2022年3月)のフォローアップ調査の結果を公表します』からご覧ください。
○:よい事例、▲:問題のある事例
中小企業庁は、これらの結果を踏まえ、価格転嫁や価格協議の実施状況が良好でない個別の発注側の個別企業に対しては、下請中小企業振興法に基づく「指導・助言」の実施を検討するとともに、業種別の自主行動計画やガイドラインの拡大に取り組んでいきます。
中小企業庁『価格交渉促進月間(2022年3月)のフォローアップ調査の結果を公表します』
近畿経済産業局 産業部 取引適正化推進室
電話:06-6966-6037