トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 2022年11・12月号 企業・地域の取組紹介
最終更新日:令和5年4月3日
2015年9月に国連サミットで採択されたSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。近年、SDGsは社会全体で広く知られるようになり、地域においてSDGsの視点を取り入れ、かつ地域の魅力・強みを活かした事業への関心が高まっています。
2025年の大阪・関西万博は「SDGs万博」とも言われています。関西では、2017年12月に、「関西SDGsプラットフォーム」が立ち上がるなど、SDGsの達成に向けて様々なステークホルダーにより取組が進められています。
環境・リサイクル課では、環境及びリサイクル分野においてSDGsの視点を加味し、かつ地域の魅力・強みを活かした自治体等の取組を紹介しています。
第8回目の今回は、シナジー効果を生み出し、地域企業とともにSDGsを積極的に推進している、福井県鯖江市ならびに独立行政法人中小企業基盤整備機構(以下、中小機構)北陸本部の取組を紹介します。
(さばえSDGs推進センター:以下、鯖江市)
鯖江市は、眼鏡、繊維、漆器などものづくり分野を中心に内発的に発展し、成長を遂げてきたまちです。その発展を支えてきたのは、女性の活躍、時代を見据えイノベーションを繰り広げてきた市民性、市民一人ひとりが主役になれる地域の風土が元々あり、SDGsの概念が受け入れられやすい素地があったと思います。
牧野前市長ならびに佐々木現市長のもと、本市の地域特性を活かした「ジェンダー平等の実現」を軸に、産学官民が連携・協働してSDGsの推進に取り組んできました。既存のやり方にとらわれない様々な取組が、SDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業として、評価いただけたのかと思います。また、SDGsの目標年次である2030年に向け「行動の10年」をスタートした2020年には「さばえSDGs推進センター」を開設しました。
また、2022年10月1日(土)、2日(日)には、北陸最大級のSDGsイベント「めがねのまちさばえSDGsフェス」が鯖江にて初開催されました。企業や団体をはじめ、市が取り組んできたSDGsの行動を見える化して、市民の皆さんがSDGsを自分事として感じて行動のきっかけとしてもらうことを目的としたイベントで、約5,000人の来場者が訪れ賑わいました。
会場には、積極的にSDGsの取り組みを行っている県内24の企業や団体などがブースを構え、SDGsに関するクイズやワークショップ、パネル展示などを行いました。
また、ジェンダー平等やフードロス、獣害対策など、多彩なゲストによるトークショーを開催。日頃の取り組みがSDGsにつながっていることを再認識できる2日間となりました。
2022年めがねのまちさばえSDGsフェスの様子(10月1日、2日開催)
(鯖江市)
はい、中小機構 北陸本部や鯖江商工会議所と連携して行っている事業を紹介します。鯖江市には、自社の技術を活かしSDGsに貢献するような製品を生産している中小企業が一定数、集積していました。それぞれ、魅力的で環境に優しい製品などを手掛けているのですが、販路開拓・拡大という点で、皆さん苦労され、市としても十分なサポートが出来ていませんでした。そこで、過去に、当市と連携協定を結び、各種連携させていただいている、中小機構 北陸本部に相談しました。
(中小機構 北陸本部)
我々は、北陸3県(富山県、石川県、福井県)の中小企業と地域振興を応援する支援機関として活動しており、昨年7月には、本部内に中小企業向けのSDGs相談窓口を開設しております。鯖江市とは連携協定を締結しており、またSDGsでも先進的な取組をされていることから鯖江地域の中小企業の取組には、以前より注目していました。SDGsに資する取組を可視化し、鯖江市と中小機構が保有するネットワークを活かして発信することはできないかという想いから、SDGs推進センターと連携して販路開拓の取組を行うこととなりました。取組を可視化したいとはいえ、鯖江地域の中小企業との接点はなかったのですが、SDGs推進センターが運営する「さばえSDGsグローカルクラブ」の企業をご紹介いただくなどして、地元企業を把握することができました。
取材等に協力いただいた企業の方に、中小機構が運営する、中小企業と国内大企業・海外企業をつなぐビジネスマッチングサイト「J-GoodTech(ジェグテック)」に登録いただき、その上で、中小機構がジェグテックホームページ上で「SDGsに貢献する鯖江地域の商品・製品ガイド」という新たなページを設け、商社、バイヤー、企業等とのビジネスマッチングや販路開拓支援を行っています。
(中小機構 北陸本部)
いえ、登録はもとより、企業検索やニーズの発信、アドバイザーへの相談といったジェグテックの各種サービスは全て無料のため、気軽にご利用いただけます!
(鯖江市)
「SDGsに貢献する鯖江地域の商品・製品ガイド」に掲載され、売上をアップされつつ、SDGs経営にも積極的に取り組んでおられる、鯖江市のプラスチックメーカー 有限会社ウチダプラスチックさんを紹介させていただきます。
~漂着ペットボトルを商品に~ 付加価値のあるサングラス開発へ
鯖江市から、「SDGsに貢献する鯖江地域の商品・製品ガイド」への掲載依頼をいただき、喜んでお願いしました。
ジェグテック登録企業が、約2万9千社ということもあり、掲載後、各種企業からの問い合わせ等は確実に増えています。
越前漆器の産地、鯖江市河和田地区で創業した当初は、木製漆器を生産していましたが、研究と創造の精神のもと、1978年設立後、漆器に模したプラスチック製の業務用漆器の分野にチャレンジし、成功を収めました。
そして、業務用漆器等で培った製造ノウハウを活かし、福井県工業技術センターや福井大学との連携のもと、昨年、生分解性プラスチック製フレームのサングラスや、ペットボトルをリサイクルした眼鏡フレームの開発に成功しました。今年度より、大手メガネチェーンを含め、市場に展開しています。フレームづくりも特徴的で、リサイクル材でありながら軽量で高強度な材料改質技術を採用し、射出成型によるものであることから、安価な大量生産を実現しています。さらに、設計部分に重きを置いており、最初から使い終わった後に簡単に次のリサイクルができるようなデザイン設計を実現している点も、市場から評価いただいています。
また、ペットボトルのリサイクルにも携わっていることから、鯖江市にも協力いただき、若狭湾のビーチ清掃に多くの方に支援いただきながら取り組んでいます。回収したペットボトルは、眼鏡やメガネ用のディスプレイ資材に商品化し、その収益を今後の海岸清掃の資金や高校の奨学金として還元しています。
今後も当社の基本理念である"プラスチックをとおして豊かな社会づくり"のもと、クリーンで安全なプラスチック商品づくり、持続可能な社会づくりに、この「SDGsのまち さばえ」から挑戦していきます。
(鯖江市)
中小機構北陸本部とも更なる連携を進め、市内企業の魅力を引き続き、発信しつつ、SDGs経営に関するセミナーなどを実施する予定です。
(中小機構 北陸本部)
もちろん、鯖江市さんの各種セミナーなどには、積極的に協力させていただきながら、中小機構が運営するジェグテック(J-GoodTech)を活用し、さらなるマッチング支援を行っていく予定です。
「めがねのまちさばえ」として有名な鯖江市ですが、鯖江の豊かな土壌に育まれた伝統野菜「さばえ野菜」も非常に美味しく、市としても生産者の方々のサポートはもとより、積極的にその良さをPRしています。
是非、我々の事務所もある「めがね会館」にお越しください。鯖江市のめがね生産の歴史を学んでいただきながら、めがねの産地だから巡り合える職人の技と思いが詰まった特別な1本を購入いただけます!また、市内で「さばえ野菜」の美味しさも体験していただければ幸いです。
近年、SDGsの考え・理念は、大企業だけでなく、持続可能な経営を行う上で、中小企業にとっても必須事項となりつつあります。そのような状況下において、鯖江市さんと中小機構 北陸本部さんが、お互いの強みを活かし、積極的にSDGsに取り組もうとされている中小企業をサポートされていることは、まさしく、企業価値の向上につながっていると思いました。
さて、取材日のランチで、さばえ野菜の一つである「吉川ナス」をいただきました(農林水産省「令和3年度地産地消等優良活動表彰(生産部門)」で日本一の農林水産大臣賞を今年の1月に受賞されたとのことです!)。上品でかつ口の中でほんのり甘くとろけるような味わいで、あっという間に平らげてしまいました(笑)。次回は、プライベートでお邪魔し、お気に入りの眼鏡を購入し、さばえ野菜を再び味わいたいと思います。
お忙しいところ取材に応じていただき、ありがとうございました。
地産地消等優良活動表彰(鯖江市伝統野菜等栽培研究会)(農林水産省ホームページ)
近畿経済産業局 通商部 国際課ホームページ(関西SDGs貢献チャレンジ)
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 環境・資源循環経済課
電話:06-6966-6018