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地域一体型オープンファクトリーの「芽吹き」と「成長」
ワクワクから始まる新たなつながり
担当課室:中小企業政策調査課

最終更新日:令和4年11月1日

関西では、中小企業が主役となる地域一体型のオープンファクトリーが各地で誕生しています。当局では令和3年度に地域一体型オープンファクトリーの「産地間連携」における可能性について「ナレッジシェア」をテーマとした考察を行い、調査報告書及びPR冊子を令和4年3月29日に公表したところです。
 近年、様々なメディア媒体や大手企業群が、これら「地域一体型オープンファクトリー」に注目し、交流を始める動きをみて、昨年度に引き続き新しく取り組みを始める「芽吹き」の動きと共に、各地の独自性と共に「成長」する動きが継続しています。
 今回は、こうした「芽吹き」の一例として「ワークワクワク河内長野」、「成長」の一例として「泉州オープンファクトリー」(旧・貝塚オープンファクトリー)」の動きについてご紹介いたします。


1.ワークワクワク河内長野

「ワークワクワク河内長野」は、古来より交通の要所として人・物・文化が行き交い、豊かな自然の中で様々な歴史がつむがれてきた大阪の河内長野で2022年に初開催される「オープンカンパニー」イベントです。
 河内長野市は人口約10万人。大阪府の南河内地域に位置し、自然豊かで景観の良い住宅地である一方、豊かな森林資源を背景とした爪楊枝(つまようじ)やすだれ産業などが盛んな街です。
 また、アクセスも南海電気鉄道高野線および近畿日本鉄道長野線の「河内長野駅」が所在しており、大阪中心部にもアクセスの良い立地となっています。

河内長野市の風景
シンボルキャラクター「モックル」

(左:河内長野市の風景、右:シンボルキャラクター「モックル」)


こうした河内長野市においては、これからの市内産業のあり方を示す「河内長野市産業ビジョン」が2014年3月に策定されました。
 「豊かな資源を生かして新たな価値を創造し、みんなで産業を育てるまち」をビジョンとし、取組を検討していく中で今回の礎となる「オープンカンパニー」の視点に至ったことが、本取組の始まりといえます。
 同市では、このビジョンを基に市役所産業担当職員が他地域の様々な先駆的事例を研究し、自らの地域にあった形を模索し続ける中、一つの転機のきっかけとなったのが「南海電気鉄道のオープンファクトリーに対する積極的な姿勢」との出会いです。

同市内も運行される南海電気鉄道は、近年、「沿線価値向上Project」と題して沿線のオープンファクトリーを広報面から積極的にバックアップする形で沿線活性化に取り組み、新たな動きとして着手する「河内長野」のエリアにおいても立ち上げ前から積極的に意見交換を行うことで、新規立ち上げの大きな推進力として機能しました。

こうした時流のバックアップもあり、市役所産業担当職員が熱意を持って参画企業の募集に自ら奔走。既述のビジョンを基に「河内長野の産業を共に盛り上げたい!」と「共に動く行政」を体現した結果、初回開催にもかかわらず18社の企業等が参画する取り組みへと繋がりました。
 金属加工業や産業用・輸送用機器部品製造業、加工紙製造業等をはじめとした各種製造業はもちろん、地域のサービス産業の方々も参画され、まさに「オープンカンパニー」として、自分たちで取組の名称やロゴも検討。
 「ワクワクする仕事(ワーク)の現場や、それらを育む基盤となる地域の歴史・文化等を直接見て感じて知ってもらいたい」という願いを込めて、今回の名称『ワークワクワク河内長野』が生まれました。

ロゴマーク
ロゴマーク検討の様子

(左:ロゴマーク、右:ロゴマーク検討の様子)


各社の工場や事業所等を直接訪れて、見て、感じて、交流する「オープンカンパニー」を中心に、バスで周遊するツアー、河内長野のワクワクをより知ってもらうためのゲストをお招きしてのトークイベントなど、様々な企画が2022年11月22日(火)~24日(木)の3日間で開催されます。河内長野の「ワクワク」が来場者と参加企業の新たな交流を紡ぎ、イノベーション創出へと繋がることが期待されます。

2.泉州オープンファクトリー

泉州オープンファクトリー2022」は貝塚・泉佐野・泉南にある製造業工場を見て、触れて、体験する三日間として2022年12月1日(木)~3日(土)で開催されるオープンファクトリーイベントです。
 元々は2021年に初開催された「貝塚オープンファクトリー2021」が前身であり、前年度の取組で盛り上がった成果として、「関わりたい、一緒にやりたい」という企業・人が増えたことで今年度は開催エリアである南大阪を象徴する名称「泉州」を冠に掲げる形で「成長」している取組となります。
 この取組の中で、大きく機能している「拠点」があります。それが、貝塚駅前コワーキングスペース「ポートフォリオ」です。

貝塚駅前コワーキングスペース「ポートフォリオ」
貝塚駅前コワーキングスペース「ポートフォリオ」

(貝塚駅前コワーキングスペース「ポートフォリオ」の内観)


この施設を運営する代表の延生氏が、今回の「泉州オープンファクトリー」の実行委員長であり、元々、地域にはものづくりが盛んであるのに、大阪府内でもあまりそのような認知も無ければ、貝塚市内でもお互いの企業を知らないということに「もったいなさ」を感じ、交流の場として「ポートフォリオ」を、そして交流の方法として「オープンファクトリー」を牽引されています。
 昨年度の開催においては、「貝塚オープンファクトリー」として貝塚にある工場の見学に加え、寺内町歴史ツアーや農作物の収穫体験等もできる、貝塚が持つリソースを繋げた企画を実行されました。
 15の企業・団体が参画した初回開催においても、「同じまちにいながらも、お互いに気付かなかった事や知らなかった事を知るのは面白く刺激的」と参加企業・団体自体がワクワクしながら取り組んだ結果、参加企業同士の新たな繋がりの実現や、全国放送のテレビに特集されるなど、思いもよらない効果がたくさん誕生しました。

参加企業同士の新たな繋がり(有限会社泉和製作所と日本紙工株式会社)の事例
参加企業同士の新たな繋がり(有限会社泉和製作所と日本紙工株式会社)の事例

(参加企業同士の新たな繋がり(有限会社泉和製作所と日本紙工株式会社)の事例)


参加企業の集合写真
取材風景

(左:参加企業の集合写真、右:取材風景)


まさに、「ワクワクからイノベーション」を体現した貝塚オープンファクトリーの刺激は、近隣市へも伝播し、今年度はよりエリアの広い「泉佐野市・泉南市」の企業も積極的に参画するムーブメントとなっています。
 また、今回はタオル産業で有名なエリアということで、一日で糸からタオルが出来るまでを追えるツアーも企画中とのこと。通常なら分業制で、一気通貫で見ることができない工程も、こうした「交流」を紡ぐ場だからこそ実現し得る取組として他産業においても「今後の産業の見せ方」のロールモデルとなるやもしれません。
 貝塚から広がり、盛り上がる「泉州」というエリアの産業に是非ご注目ください。

掲載関連情報

団体名
ワークワクワク河内長野(河内長野市産業観光課)
所在地
〒586-8501 大阪府河内長野市原町1丁目1-1
電話番号
0721-53-6075

団体名
泉州オープンファクトリー2022実行委員会
メールアドレス
info@senshu-of.com

関連施策へのリンク

関西における地域一体型オープンファクトリー

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 総務企画部 中小企業政策調査課

電話:06-6966-6057

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