トップページ > 広報誌・E!KANSAI > 2023年1・2月号 TOPICS
最終更新日:令和5年1月5日
近年、我が国の最終エネルギー消費量は減少傾向にあるものの、世界的な課題である地球温暖化対策を進めていくためには、家庭・業務部門をはじめ各部門の更なる省エネの促進と再生可能エネルギー等の非化石エネルギーの導入拡大が必要です。
2020年10月には「2050 年カーボンニュートラル実現」、2021年4月には「2030年度に2013年度比で温室効果ガス46%削減、更に 50%の高みを目指して挑戦を続ける」とする新たな削減目標が示されました。また、2021年10月に閣議決定された第 6 次エネルギー基本計画では、2030年度の省エネルギー目標として6,200万kl程度(原油換算値)の削減を新たに掲げ、この目標の確実な実現に向けて取り組むことになりました。
2050年カーボンニュートラルの実現や新たな温室効果ガス削減目標の達成に向けては、従来の省エネ政策に加えて、エネルギー需給構造の変化を踏まえた新たな取組が必要です。これら取組を加速させるとともに、安定的なエネルギー供給を確保するため2022年5月に改正省エネ法が成立し、法律名も「エネルギーの使用の合理化及び非化石エネルギーへの転換等に関する法律」に見直しました。現在は2023年4月の施行に向けて審議をしています。
※今回ご紹介する内容は掲載日時点の情報ですので、今後内容が一部変更となる可能性があることをご承知おきください。
省エネ法は、1979年のオイルショック時に制定された法律であり、化石エネルギーの使用の合理化を目的としてきましたが、今後は2050年カーボンニュートラル実現に向けて非化石エネルギーを含むエネルギー全体の使用の合理化及び非化石エネルギーの導入拡大を促進していくことになりました。そこで、以下の項目について見直しが求められることになりました。
現行法においては、化石燃料、化石燃料由来の熱・電気を「エネルギー」と定義し、合理的な利用(エネルギー消費原単位の改善)を求めていますが、太陽光発電などの再エネ由来の電気や熱といった非化石エネルギーは「エネルギー」の定義に該当していません。また、近年、再エネの普及拡大など、供給側の非化石エネルギーの拡大が進展していますが、これらには一定の供給制約があり、需要サイドでの効率的な利用が不可欠です。
現行法では、非化石エネルギーを使用エネルギーから排除しているため、非化石エネルギーへの転換を促すための積極的な評価が出来ていません。カーボンニュートラル達成に向けては、一部の事業者の自主的な取組だけでなく、産業界全体での非化石エネルギーへの転換を進めて行くことが必要です。
現行法は、電気需要平準化(電気の需要量の季節又は時間帯による変動を縮小させること)を目的の一つとしており、夏冬の時間帯において、電気の使用から燃料又は熱の使用への転換や、当該時間帯以外での電気消費機器の使用等を求めています。しかし、近年太陽光発電等の変動型再生可能エネルギーの普及拡大により、一部地域では発電した再生可能エネルギー電気の出力制御の実施や、厳冬等に起因する電気の需給逼迫が問題となっています。
「エネルギー」の定義を拡大し、非化石エネルギーを含む全てのエネルギーの使用の合理化を求める枠組みに見直すことを検討しています。
(出典:2022年度第1回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 工場等判断基準ワーキンググループ
「資料4 改正省エネ法の具体論等について」)
一定規模以上の事業者に対し、非化石エネルギーへの転換(非化石エネルギー利用割合の向上)に関する中長期計画の作成や、非化石エネルギーの利用状況等の定期報告の提出を求める制度を新設する予定です。
(出典:2022年度第1回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 工場等判断基準ワーキンググループ
「資料4 改正省エネ法の具体論等について」)
再生可能エネルギーの余剰電力が発生している時間帯に需要をシフト(上げDR)し、需給逼迫時に需要を抑制(下げDR)するなど、電気の需給状況に応じて需要を最適化する枠組みを構築する予定です。また、電気事業者に対し、電気需要最適化に資する料金体系等の整備を促す仕組みも構築する予定です。
(出典:2022年度第1回 総合資源エネルギー調査会 省エネルギー・新エネルギー分科会 省エネルギー小委員会 工場等判断基準ワーキンググループ
「資料4 改正省エネ法の具体論等について」)
以上が、現在検討している改正省エネ法の概要です。最新の情報や省エネの取組については次のホームページをご覧ください。
ディマンド・リスポンス(DR)について(資源エネルギー庁HP)
近畿経済産業局 資源エネルギー環境部 エネルギー対策課
電話:06-6966-6051