トップページ > 施策のご案内 > 地域ブランド支援 >JAPANブランド育成支援等事業 活用事例 Vol.2
最終更新日:令和6年7月25日
JAPANブランド育成支援等事業では、海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を中小企業者が行う場合に、その経費の一部を補助することにより、地域中小企業の域外需要の獲得を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与することを目的として実施してきました。
本活用事例では、過去にJAPANブランド採択事業の中から取組を紹介しています。これから海外展開に取り組もうとする事業者等にご活用いただけましたら幸いです。
鍛冶・刃付け・柄付けと3つの分業制で製造される堺打刃物において、当社は、最終過程である和包丁の柄付けを担い、国内外の刃物専門店及び厨房機器専門店へ主にOEMにて卸売を行っています。また、和包丁の他に、関市や越前市等、有名刃物産地の洋包丁、付帯商品や砥石の卸売も行っています。OEMに注力しており、海外顧客から要求されたデザインの包丁を製作できることが、当社の強み(サプライヤーネットワークと知見)となります。
●所在地 大阪府堺市堺区寺地町東2-1-17 ●創業 1917年(大正6年)
●電 話 072-238-6565 ●資本金 1,000万円 ●従業員数 2人
●代表者 代表取締役 高橋 佑典氏
●URL https://takahashikusu.co.jp/
代表取締役 高橋 佑典氏
20代に家業を継ぐと決めてから、それまで海外向けのビジネスを行いたいとの思いを具体化しようと和包丁の海外への展開を考えるようになりました。特に、繊細な料理を作る国をはじめとする海外の人は良い包丁を使う傾向にあることから、海外で買ってもらうためのマーケティングにエネルギーを使い、対象国やターゲットなどに合わせた商品開発やブランディングなどに取り組んできました。
ただし、刃物の取引全体としては、国内販売も推進していきたいところなので、国内販売も維持しながら、積極的に海外に製品を出していきたいと考えています。
海外展開については、当初、HPベースで台湾、韓国、オーストラリアからの注文がありましたが、新たにフランス市場への展開を目指し、専門家と相談を行いながら取り組んできました。
具体的には、専門家から紹介いただいたアートディレクターと、フランス市場に特化した堺打刃物を展開することに決め、当社が考える堺打刃物の強みをアートディレクターに伝え、フランス人に格好良い・所有したいと思ってもらえるブランドコンセプトを構築し、日本刀で一刀両断したイメージを持たせられる「sen
閃」という自社ブランド商品を考案しました。
更に、ブランドへの「日本らしさ」を追求する中で、世界的に人気である徳島県のAOLA という藍染会社との連携により、柄の部分にJapan Blueの色を表現した包丁を製作しました。
中小企業が専門家を活用する際に、専門家任せになっているケースが多いですが、当社の事業は社長自ら責任を持って考え抜き・判断することが至極肝要であるとの思いから、専門家に相談する際には、他業界のエッセンスをもらう心持ちで望みました。
2021年からJAPANブランド育成支援等事業を2年間活用し、フランスの「Maison & Objet」へ自社ブランド「sen 閃」の商品で出展しました。
JAPANブランド育成支援等事業を活用して出展した、1年目の展示会「Maison & Objet」では、展示会までの半年間という短期間で新ブランド開発に取り組んだため、社長としても十分に満足できる新ブランド構築・商品開発ができず、展示会のブースに新ブランド商品を一部しか置くことができなかったことから、自信の無さがブースに現れてしまい、新ブランドについては多くの注文をもらうことができませんでした。
2022年Maison et Objetブース
2年目は、1年目の反省を活かし、早めに試作の準備を始めておき、十分な準備期間を経て新ブランド構築を行ったことで新ブランドに自信を持つことができ、展示会でも新ブランドの「sen 閃」を全面に出したブース展開ができたことで、欧州のコンセプトストアから多数の注文をもらうことができました。
2023年Maison et Objetブース
フランス市場向けの新ブランド立ち上げ、欧州のミシュラン星付きシェフやインフルエンサーとの取引などの経験をもとに、ものづくり補助金のグローバル市場開拓枠を活用し、新たにアメリカへの展開を目指し、アメリカ市場にローカライズした新ブランドの新たな商品開発に取り組んでいます。
堺打刃物産地において、職人不足が深刻な問題となる中、当社は、鍛冶師・刃付け師など職人の育成に取り組むことを決め、令和5年4月には、助成金を活用し鍛冶・刃付け・柄付けなどの一貫生産ができる新工場を完成させました。
今後、新工場にて、若手の職人を育成し、一貫生産による堺打刃物の自社ブランド製品開発と更なる海外市場獲得に向け取り組んでいきたいと考えています。
近畿経済産業局 国際部 国際事業課 地域ブランド展開支援室
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6054
FAX番号:06-6966-6087
メールアドレス:bzl-kin-brandshitsu@meti.go.jp