トップページ > 施策のご案内 > 地域ブランド支援 >JAPANブランド育成支援等事業 活用事例 Vol.3
最終更新日:令和6年7月25日
JAPANブランド育成支援等事業では、海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を中小企業者が行う場合に、その経費の一部を補助することにより、地域中小企業の域外需要の獲得を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与することを目的として実施してきました。
本活用事例では、過去にJAPANブランド採択事業の中から取組を紹介しています。これから海外展開に取り組もうとする事業者等にご活用いただけましたら幸いです。
当社は、日本のタオル発祥の地である大阪泉州地域において1907年(明治40年)に創業した、タオルの製造販売を行う企業です。2024年現在、国内外への販売割合は国内向け90%、海外向け10%となっています。海外からの輸入品との価格競争ではなく競合しない高付加価値製品への転換により、自社製品のブランド力向上と事業の拡大に取り組んでいます。
●所在地 大阪府泉佐野市日根野2577-1 ●創業 1907年
●電 話 072-468-0777 ●資本金 8,000万円 ●従業員数 29人
●代表者 代表取締役 神藤 貴志氏
●URL https://shinto-towel.jp/
代表取締役 神藤 貴志氏
当社は、大阪泉州地域の一般的な白タオルに加え、「ガーゼタオル」を他社に先駆けて製造していましたが、全国的にガーゼタオルの存在が認知されたことで泉州・今治・諸外国と多くの産地・企業が追随するようになり、ガーゼタオルでは当社の独自性が薄れてきていました。
そこで、ガーゼ織りの技術力をベースに、先代である祖父の代から使用している昔ながらの低速織機を使い新製品の開発に取り組み、ガーゼにパイルを挟み込む特殊な組織織物である「インナーパイル」や変則的な3重ガーゼ構造になっている「2.5重ガーゼ」を開発しました。しかし、当時は既存取引先の問屋では評価してもらえず、独自の特殊な商品を提案しても話がうまく進まない状況でした。
その後、あるプロジェクトへの参加から自社ブランド立ち上げに意識を向けることになります。それは大阪・南船場にあるデザイン会社が始めた関西の地場企業と共に新しいものづくりにチャレンジするプロジェクト「made in west」に声を掛けてもらい参加したことでした。開発していた「2.5重ガーゼ」のサンプルをデザイナーに見せたところ、素材や品質を褒められ、「この素材を一番活かせるデザインにしよう」ということになり、英字入りのタグを織物の上に配置するシンプルなデザインを提案されました。デザインの力で無地のサンプルが、商品として一気に生まれ変わることをまざまざと体感し、評価も急激に上がっていったことで、自社製品に自信ができたことから、自社ブランド製品として展開するファクトリーブランド(SHINTO TOWEL)を2017年に立ち上げました。
2.5-PLY GAUZE(2.5重ガーゼ)
ファクトリーブランド立ち上げ後、米国、欧州、アジア等海外展開に取り組んできましたが、特に欧州は他地域と比べ定着が弱く、いかにして拡大していくかが課題でした。現地拠点がない海外ではいただいた問い合わせに対応する以外に販路開拓が思うように進まず、また、欧州は水が硬水で洗濯はお湯や硬水軟化剤を使用するため、洗濯時間が長くなりタオルがゴワゴワになるので柔軟剤は必須といった違いもありました。
こうした課題に取り組むことを目的に2022年にJAPANブランド育成支援等事業に申請し、採択されたことをきっかけに、海外展示会出展、現地小売店への営業訪問、洗濯テストなどをジェトロハンズオン支援の専門家と一緒に作成した計画に基づいて取組みました。具体的には、現地日系ビジネスサポート会社に依頼し、フランス国内の小売店の名簿作成、主要訪問先のアポ取りをしたうえで専門家とともに営業訪問しました。展示会への出展を含め、約10件の新規受注を獲得できました。洗濯の問題については、国ごとの状況に応じた説明書はつくらず、どういう範囲であればタオルの風合いを保てるか、条件を記載した取扱書を英文で作成し、商品に同封、HPで公表することで対応し、当初の課題に対応してきました。
欧米のタオルは日本人の感覚ではバスマットのような分厚く硬めの手触りのものが多く、一方で、日本製タオルはそういったものとは違う軽さ・柔らかさが特徴のため欧米では別物だと捉えられています。国や地域によって、タオルに求める要素の優先順位にも違いがあり、日本での顧客への訴求方法とは異なる提案方法やアプローチを考える必要があることがわかってきたため、これからもしっかり対応し海外での販売を拡大していきたいと考えています。
泉州タオルの特徴である「後晒し」に倍の手間を掛けたパイルタオル【YUKINE(雪音)】
近畿経済産業局 国際部 国際事業課 地域ブランド展開支援室
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