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JAPANブランド育成支援等事業 活用事例 Vol.4

最終更新日:令和6年7月25日

 JAPANブランド育成支援等事業では、海外展開やそれを見据えた全国展開のために、新商品・サービスの開発・改良、ブランディングや、新規販路開拓等の取組を中小企業者が行う場合に、その経費の一部を補助することにより、地域中小企業の域外需要の獲得を図るとともに、地域経済の活性化及び地域中小企業の振興に寄与することを目的として実施してきました。

 本活用事例では、過去にJAPANブランド採択事業の中から取組を紹介しています。これから海外展開に取り組もうとする事業者等にご活用いただけましたら幸いです。

“I like it”と世界中から賞賛され、愛され続けるブランドを目指して 株式会社吉川国工業所  

(企業紹介)

 当社は、奈良県葛城市にて1932年(昭和7年)に創業し、主にプラスチック生活用品の企画・製造・販売を行う企業です。製品の開発において使用用途や使う人、環境への配慮を考えてデザインをすることで長く使っていただけるものづくりに取り組んでいます。2024年現在、国内向けの販売が75%、海外向けが25%となり、日本だけでなくグローバルに事業を展開しています。

●所在地 奈良県葛城市加守646-2 ●創業 1932年
●電 話 0745-77-3223 ●資本金 2,000万円 ●従業員数 110人
●代表者 代表取締役社長 吉川 利幸氏
●URL http://www.yoshikawakuni.co.jp/

代表取締役社長 吉川 利幸氏

代表取締役社長 吉川 利幸氏

(奈良県の地場産業であるプラスチック産業の日用品分野において初めてブランドを立ち上げた)

 当社は、プラスチック製品がどうすれば生活のいろんなシーンでキラキラ光る存在になるだろうか、生活に不可欠な製品になるだろうかと、試行錯誤を繰り返しました。その中で、暮らしの脇役だった「カゴ」に注目し、インテリア性を備えた「インテリアバスケット」の誕生をきっかけに「収納」分野の製品開発に積極的に取り組み、グッドデザイン賞をはじめとする世界のデザイン賞を多数、受賞しました。
 また、2000年代に入り、世界中の人が覚えやすく“ I like it. ”と愛され続けられるブランドを目指し、『like it』ブランドを立ち上げ、世界に目を向けた挑戦を開始しました。自然豊かな創業地の影響もあり、環境に配慮した独自の生産体制を確立し、エコマテリアルの積極的活用や新素材の開発など独自の世界観をもった創意工夫のある生活用品ブランドを展開しています。

スタックアップコンテナー

スタックアップコンテナー

(海外市場を目指す取組)

 当社は1984年からグッドデザイン賞を継続的に受賞し、日用品の分野では大賞も獲得しました。これらの賞を受けたことで商品が一人歩きし始め、取引先がアメリカで販売を始めたというのが海外販売のきっかけです。2002年からは自社で海外展示会への出展を開始し、現地企業と直接取引する形で徐々に販売を増やしました。ターゲットとなる国の現地のお客様の声を聞き、その国の市場へ響く製品開発に取り組んだことが取引量を増やせた要因だと分析しています。また、国毎にターゲットとなる企業をリサーチし、来場する展示会を選択することも大切なことです。そしてターゲット企業にはライクイット製品を使用することで「暮らしがどのように快適になるのか」を現地の文化も踏まえた上で具体的に提案することを心掛けています。海外での展示会などのプロモーションは、ブランド認知のためにも毎年継続することが大切ですが、経費が掛かるため、2016年にJAPANブランド育成支援等事業に採択していただき、3年間、補助金を活用させていただいたことは当社の大きな支えとなりました。

国際展示会におけるブースイメージ

国際展示会におけるブースイメージ

(海外展開の際にぶつかった壁とその克服)

 当初は、現地での商習慣、月賦、問屋、小売店のことなどがわかっておらず、上場企業のような大手小売店との契約の中で求められる納期やクオリティ、代金回収、契約書などのやりとりに苦戦いたしました。契約先や国内の専門機関に一つ一つ確認しながら手探りで試行錯誤しながら取り組みました。また、グローバルビジネスでは第3者機関から認証を取る必要があり、フランスのEcoVadisのような世界基準の環境負荷における監査を受けることもあります。世界基準の監査は日本国内の監査とは言語や考え方も違うため苦戦しましたが、グローバルな考え方を学ぶ機会にもなると前向きに取り組むことができました。海外進出から20年以上たった今でも新しい壁にぶつかりますが、一つ一つ丁寧に前向きに取り組むことが成功への近道だと考えます。

(今後の展開)

 当社はリサイクル材や海洋ゴミなどのエコマテリアルを使った製品開発を積極的に行い、世界中の生活者に対して製品を通じて環境への配慮意識を高める情報発信に取り組んでいます。今後の展開としてはプラスチック製品の開発技術に加え、新素材であるセルロースナノファイバー(CNF)やポストコンシューマー素材などの用途研究も併行して行い、環境に優しい事業でグローバルブランドとして成長していきます。将来のプラスチック産業を考える際、循環型経済の取組は必達であり、当社の特色である製品開発力とエコマテリアルの研究を合わせることで事業成長をはかり、資源循環型経済の構築を推進していきたいと思っています。

海洋ゴミをリサイクルしたランドリーバスケット

海洋ゴミをリサイクルしたランドリーバスケット


このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 国際部 国際事業課 地域ブランド展開支援室
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6054
FAX番号:06-6966-6087
メールアドレス:bzl-kin-brandshitsu@meti.go.jp