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最終更新日:令和7年3月27日
総理事:前畑 洋平
設立:2009年12月
スタッフ数:18名
拠点:兵庫県神戸市
ホームページ:NPO法人J-heritageオフィシャルサイト
日本が近代化、経済成長を成し遂げたことを物語ってくれる貴重な遺産・史跡のことを「産業遺産」と言います。これらの遺産を後世に残していくための保存活動とともに、遺産のひとつひとつが持つ価値や魅力を伝える「ヘリテージ・ツーリズム(※)」を企画、運営しているのがNPO法人J-heritageの前畑 洋平 さんです。
(※)ヘリテージ・ツーリズム
「産業遺産」(特に産業革命以降:我が国の場合は近代以降)を素材として、地域の産業・技術・生活文化を学ぶツーリズムのこと
関西を中心に産業遺産を巡るヘリテージ・ツーリズムの企画及び実施、産業遺産とその背景をより知ってもらうための広報活動、その他VRを用いた体験型ツアーの制作など幅広い挑戦を進めています。
NPO法人J-heritageの前畑代表は大の廃墟マニア。小学生の頃から廃工場に秘密基地をつくって遊んだ原体験があり、日本中の廃墟に足を運ぶ中で「産業遺産」ということを知りました。
足を運ぶにつれ、価値ある産業遺産を残したい、守りたい、その素晴らしさを日本、そして海外の人にも知ってもらいたい、朽ちていく廃墟の価値を転換したい、そんな熱い思いが生み出したのが「ヘリテージ・ツーリズム」の活動だと言います。
産業遺産に刻まれている歴史やストーリーを分かりやすく魅力的に伝えることで保護活動につながったり、地域活性化のための新たな観光資源として、国内観光客やインバウンドを取り込むことにつながり、地域の新たな魅力をつくる役割を大きく期待されています。
同法人が取り組んだ産業遺産の価値転換への挑戦。中でも、旧奈良監獄(※)に勤めていた刑務官の方がナビゲーターとなり、見学者が監獄内の見学や刑務作業を体験することができる「旧奈良監獄ツアー」は、大手旅行会社とタッグを組み、ツアー募集するとすぐに定員に達してしまうほど人気の企画になりました。
(※)旧奈良監獄(〒630-8102 奈良県奈良市般若寺町18)
明治時代に建設された明治五大監獄の1つとして、2017年3月まで100年以上運用されていました。ロマネスク様式の赤れんが建築で当時の先進的な技術や意匠が取り入れられています。
今後は日本初の、大手リゾートホテル会社による監獄ホテルとして開業を予定しています。
「こわいもの」「ブキミなもの」と思われていた産業遺産の価値を、多くの人が「行ってみたい」「見てみたい」という新たな価値に変えたこの取組こそ、前畑代表が言う「世の中の価値観を転換する」ことの実践例のひとつではないでしょうか。
また、同法人で産業遺産保全活動をしている前畑代表の奥様が部長を務める「湊川隧道部」も、まさに世の中の価値観を転換した事例のひとつです。
水害対策として建設されたこの河川トンネルは、近代土木遺産としての価値も高く、神戸の近代化に貢献したその歴史物語は後世にも語り継ぐべきものとして活動されています。
湊川隧道は運用が停止されたのち、価値のないものと地元の人たちからも認識されていましたが、産業遺産として魅力を再発信することで、湊川隧道に人が集まり、地元住民の方も湊川隧道の価値を認識しはじめました。
今では、湊川隧道をテーマに地域の人々などとも連携して、まち歩きツアーや各種イベントを開催されるなど、産業遺産保全活動からはじまったものが、地域を巻き込んだ1つのムーブメントへと変わりつつあります。
前畑代表にお話を伺うと、「コロナ禍は新たな可能性を発見するよい機会だった」とおっしゃいます。
同法人が保全活動を行っている旧摩耶観光ホテル、通称マヤカン(※)。マヤカンは建物自体の老朽化のため、現地ツアーでは建物の中まで見学することはできませんが、VRを活用したオンラインツアーでは、今まで見ることができなかった建物の内部まで見ることができるようになりました。
またVRの活用によって多言語でのツアー案内、臨場感溢れる映像を配信することができ、外国人を含めた新たなファンの開拓という観点からもますます注目が高まっています。
(※)旧摩耶観光ホテル(マヤカン)
1930年に建てられた建物で、観光ホテルとして使われていたが廃業。その後学生センターとして運用され、1993年に運用が終わり廃墟となった。
現在はJ-heritageや兵庫県ヘリテージマネージャーが保全活動を行い、2021年に国の登録有形文化財に登録された。
こういった活動を実現していくために、国の補助金などもつかって様々なプロジェクトも企画しています。前畑代表は「補助金は様々なチャレンジをする後押しをしてくれます。よりよい活動をすすめていくために積極的に活用していきたい。」と語ります。
インバウンドの入国規制が解禁され、来日する外国人観光客の数がコロナ前水準まで回復している中、2025年の大阪・関西万博によりさらなる外国人観光客の来日が予想されることは、J-heritageにとってもチャンスだと前畑代表は語ります。
外国人を含めた産業遺産ファンを今後も増やしていければ、産業遺産の保全活動につながり産業遺産の魅力をもっと発信していくことができる。そう語る前畑代表の目には万博の後も各地の魅力的な産業遺産を皆が巡っている、そんなビジョンが描かれているようです。
近代日本を支え、役割を終えた後も、その佇まいで人々を魅了する産業遺産。皆様も是非、ヘリテージ・ツーリズムを体験してみていはいかがでしょうか。
近畿経済産業局 国際部 投資交流促進課
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