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最終更新日:令和7年3月27日
代表:高御堂 厚
設立:2016年7月
スタッフ数:7名
拠点:京都府南丹市美山町安掛下23
ホームページ:
一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会について(京都美山ナビ)
京阪神主要エリアからクルマでおよそ2時間以内で行くことが出来る京都府南丹市美山町。京都府のほぼ中央に位置し京都市にも隣接するこの場所では、約200年前から続くかやぶき民家が今なお現存し、実際に居住されています。美山町の豊かな自然環境の中にかやぶき民家が佇むその風景の中で、地域住民が伝統的な暮らしをしているその姿は、まさに日本の原風景としての高い文化的価値を持ち合わせており、国の重要伝統的建造物群保存地区に選定されています。
美山町の自然や暮らしを国内外へ発信し、サステナブルツーリズム(持続可能な観光)を推進し地域活性化を目指す、一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会(以下、美山DMO)の活動をご紹介します。
今回お話をお聞きしたのは、美山DMOで事務局長を務めている高御堂さん。美山町のご出身で進学の際に美山町を一時離れていたそうですが、
大学を卒業する頃に偶然美山町で現在勤めている美山DMOが立ち上がることを聞き、Uターンで美山町に戻ること決め働くことになったそうです。
美山DMOは観光庁の地域DMO(※)の登録を受け、主に南丹市美山町で地域一体の観光まちづくり、外国人観光客の受入体制の整備を進め、地域活性化の取組を進めています。
(※)DMO・・・ 観光地域づくり法人 地域の「稼ぐ力」を引き出すとともに地域への誇りと愛着を醸成する地域経営の視点に立った観光地域づくりの司令塔の役割を果たすことを目的としている。 広域連携DMO、地域連携DMO、地域DMOの3つに分類される。
(参考)
観光庁ホームページ、
観光地域づくり法人の登録制度に関するガイドライン
コロナ禍以前は、台湾を中心とした外国人が数多く美山町を訪れていました。外国人が美山町を訪れる理由は、美山町にしかない自然風景やかやぶき民家、そこでの伝統的な暮らしを見て、感じて、体感するためです。美山町を訪れることは外国人にとってアクセス面で決して容易とは言えませんが、その長い道のりの先に日本の原風景があり、その困難な行程すらも外国人にとっては1つの楽しみになり得るそうです。
美山町の観光資源は住民の家屋やその生活、町の自然全てであるとはいえ、訪れてくれる外国人に対して美山の魅力を感じ、滞在を満喫してもらえるよう美山DMOとしても受入体制を整備する必要があります。具体的には美山DMOが窓口になり、町内の宿泊や体験予約を一元的に受け付ける、美山町在住の人を美山の暮らしや文化、魅力を伝えるガイドとして養成するなど取組を進めてきました。
そのほかにも、美山DMOでは台湾やオーストラリアから農山村教育民泊を受けいれ、地域住民と外国人との交流を積極的に推進し、日本の農山村の暮らしを体験する機会を通じて美山町の魅力を発信しています。
美山町では、その土地で採れた食物をその土地で消費する地産地消が進んでいる地域でもあるそうです。それは昔から美山町で代々受け継がれてきた伝統的な暮らしであり、生活そのものがサステナブルになっています。豊かな自然、自然に囲まれたその土地で200年以上引き継がれてきたかやぶき民家、そこでの地産地消の伝統的な暮らし。そのすべてが合わさり紡がれて持続してきた地域の歴史・ストーリーが外国人を魅了しています。
この美山町での伝統的で持続可能な暮らしは外国人にとって魅力的で、美山町の強みにもなります。もともと美山DMOが設立される以前から美山町ではエコツーリズム(※)を推進している地域でしたが、美山DMOは美山町を、エコツーリズムを包含したサステナブルツーリズム地域として発信することを進めていきます。
(※)エコツーリズム:地域ぐるみで自然環境や歴史文化など、地域固有の魅力を観光客に伝えることにより、その価値や大切さが理解され、保全につながっていくことを目指していく仕組み。サステナブルツーリズムの一種。
2021年、美山町は国連世界観光機関(UNWTO)(※1)による「UNWTOベストツーリズムビレッジ(※2)」に日本では初めて、北海道ニセコ町とともに選出されました。美山町の暮らしや取組が自然資源などの保全・価値向上につながっていく、このことがサステナビリティと認定されたのです。これをきっかけに今後もますますサステナブルな観光・まちづくりに力を入れていきたいと高御堂さんは意気込みます。
サステナブルツーリズムを推進・PRしていくためには、地域一体での取組が必要になりますが、美山町は暮らしそのものがサステナビリティなので地域住民にはありのままで生活してもらいたい。一方で、地域の事業者にサステナビリティの意識で事業を行ってもらい、サステナブルツーリズムを推進していきたいとおっしゃられたのが非常に印象的でした。そのために、「美山町はサステナブルツーリズムを推進しています」と漠然にPRするのではなく、例えば美山町で提供されるお米は100%美山産、地域事業者の美山在住者雇用率100%など、客観的な指標に基づいて美山町はサステナブル!とPRすることが重要だとおっしゃっていました。
※1
国連世界観光機関(UNWTO)
持続可能な責任ある観光の促進を責務とする国連の機関。観光分野における主導的な国際機関として、経済成長、包摂的な発展、持続可能な開発の推進力として観光を促進し、世界全体の知見と観光政策の質を向上させるための先頭にたち、観光分野に対する支援を行っている。(UNWTOホームページより引用)
※2
UNWTOベストツーリズムビレッジ
2021年から開始された持続可能か開発目標(SDGs)に沿って、観光を通じて文化遺産の促進や保全、持続可能な開発に取り組んでいる地域を認定するプロジェクト(
観光庁ホームページより引用)。日本では北海道ニセコ町、京都府南丹市美山町、北海道美瑛町、宮城県奥松島地区、長野県白馬村、岐阜県白川村の6つの地域が認定されている。
美山町の今一番の課題は人口の減少です。人口は現在約3,500人で毎年100人ずつ人口が減り、地域の存続や自然景観の維持が危ぶまれています。ですが、美山町の人々は直面する課題に対して、自分達でなんとかしなければいけないというバイタリティに溢れ、課題を解決するために新しいことにも積極的にチャレンジしていく地域性がある。そんな地域住民の意識が、インバウンド受入やサステナブルツーリズムなどの前向きな取り組みを通した地域活性化の後押しになっている、と高御堂さんは考えています。
そんな美山町のため、美山DMOでは国の様々な補助金も活用しながら、サステナブルツーリズムをはじめとした美山町の魅力を外国人観光客を含め世界へ発信するとともに、地元事業者や大学等との協働による地域まちづくり(観光庁:第2のふるさとづくりプロジェクト)を進めています。SDGsの取り組みやまちづくりに関心のある企業・教育機関の若い人をターゲットに、美山町で地域活性化、持続可能な観光に取り組む地元の人たちと一緒に地域の課題解決に取り組む活動で、この活動での来訪者をまちづくりの協力者として参加してもらっているそうです。このように美山町外からの来訪者が何度も訪れてもらえるような仕掛けをつくり美山町の関係人口の増加にも取り組み地域活性化に力を入れるなどの積極的な取組が国内外から注目を受け、美山の事例を参考にしたいと視察団も多く訪れています。
美山町の伝統や景観をこれからの世代に引き継ぎ、さらなる地域活性化にも取り組んでいく。この小さな地域での美山DMOの奮闘はまだまだ続いていきます。
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