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最終更新日:令和7年3月27日
代表:稲葉 一巳
設立:2002年4月
スタッフ数:3名
拠点:大阪府大阪市中央区備後町4-2-10
ホームページ:株式会社モンキャラメルホームページ
株式会社モンキャラメルはオリジナルキャラクターやアニメーションの製作を主に行っている会社です。
そんな同社は現在、消防局や大学病院など関係機関を巻き込み、共同研究・検討を繰り返しながら、インバウンドの安心・安全な日本滞在ができるよう「救急タグ」の取組を進めています。
今回は同社を中心に進めているこの取組についてご紹介します。
2014年ごろから救命処置の動画を作成したことをきっかけに、救命救急の現場はパンク寸前の状況にあることを知った代表の稲葉さんは、自社に何か貢献できることは無いかと考えるようになりました。
救命救急の現場が抱える大きな課題のひとつである「1件あたりの救助隊員の活動時間が長期化している」点に着目し、株式会社モンキャラメルや大阪大学医学部 、医師会、消防などが参画する救急タグ研究会(幹事会社:株式会社モンキャラメル)で「救急タグ」の開発が始まりました。
なぜ、救助隊員の活動時間が長期化しているのでしょうか。
一つの要因として、高齢者やインバウンドの増加による対応件数増加や、1件1件についても確認やケアなどの活動時間も増えていることがあげられます。
特に、1件あたりの活動時間増加については、1.救助を必要としている人が意識を失っているため、2.持病や既往歴が把握できず、3.適切な医療機関へ迅速につなげることができない、というのが要因の一つです。
またインバウンド等日本語での対話が難しい方であれば、意識があっても意思疎通にハードルがあり、迅速な情報把握が難しくなります。
そんな救命救急の現場で情報把握をより早く、より安全にするツールとして同社が中心で開発したのが「救急タグ」です。
「救急タグ」は、自身の持病や服用薬、アレルギー情報など、救急搬送時に必要となる情報を事前に自身で登録し、いざという時に救急隊員等が閲覧する仕組みです。
最初は紙の「救急タグカード」からのスタートでした。
持病や服用している薬などを手書きで記録する紙の救急タグカードを用意し、収納パスケースとセットで大阪府内のとある自治体市民に配布・実証を行いました。
実証後のアンケートでは、市民のほとんどから「是非所持したい」との回答が得られたことから、稲葉さんは救急タグのニーズを確信しました。
このタグを、より多くの人にとって使いやすいものにするには「デジタル化」と「多言語対応」が鍵になると考えた稲葉さんや大阪大学は、救急タグへのICチップの搭載を検討。
紙の救急タグカードよりも携帯しやすく、かつ救急隊員も情報閲覧しやすいICチップ版の救急タグを開発しました。
ICチップ版の救急タグでは、救急隊員や医療機関の人が専用アプリでタグを読み込むことで、登録する時の使用言語を問わず日本語でその内容が表示される仕組みのため、多言語対応が可能です。
このICチップ版の救急タグについてインバウンドの方の反応を確かめる機会として、2019年G20大阪サミットにて来場した海外メディアなど関係者を中心に7カ国語に対応した救急タグの配布・登録を行いました。
迅速かつ正確な救急医療体制の構築を、まさに国際的に重要な会議の場で実証することで、日本のメディアからも注目されました。
その後も救急タグを13カ国語に対応させるなど改良をかさね、G20大阪サミットにつづき、2023年に開催されたG7広島サミットでも、大阪大学や地元の消防局、医療機関が中心になって運用されました。
開催期間中はメディア関係者の人たちに配布され、実際に活用された事例はなかったものの、安心したメディア活動をサポートすることにもつながりました。
新型コロナによる水際対策の規制がなくなり、2022年10月以降多くの外国人が日本を訪れています。
もし、この訪日外国人の誰かが旅行中に、何かの病気・発作で倒れた場合どうなるでしょう。
「日本を訪れていた外国人が滞在中に交通事故に遭い、搬送までに数時間かかったケースがあったそうです。
このようなときに、救急タグが日本に入国したときに手に入り、自身の持病などを入力できていれば、たとえ意識がなくとも、言葉が通じなくとも、もっと効率的に搬送することができていたかもしれません。」と代表の稲葉さんは考えています。
2025年には大阪・関西万博が開催されます。
「万博をめがけて、世界中から来日される人に是非救急タグを持ってもらいたい。救急処置の必要な場面が訪れないことが一番ですが、もしものとき“助かる命を救う”可能性を(救急タグを使うと)もっと引き上げられるはず」と稲葉さんは語ります。
「例えばアイデアの一つとして、空港での入国審査手続きの待ち時間に救急タグを配布して登録してもらえると、一般のインバウンドの方への周知・利用促進ができるではないか」と稲葉さんは考えています。
入国制限が取り除かれた今では、公告媒体として救急タグを利用する具体的な引き合いもあり、救急タグの利用促進が期待されます。
2025年の大阪・関西万博を控え、外国人の方々がたくさん来訪する関西はもちろん、日本がインクルーシブな社会の実現に向けて、「もし病気や災害に見舞われても、国籍問わず、誰もが安心して暮らせる環境づくり」に一役買うことが期待される取組ではないでしょうか。
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