トップページ > 施策のご案内 > 関西の魅力向上・集客交流促進 > 関西の訪日外国人・在住外国人向け取組み事例 (KANSAI UNIQUE EXPERIENCES) > 里湯昔話 雄山荘

関西の訪日外国人・在住外国人向け取組み事例 (KANSAI UNIQUE EXPERIENCES)
<里湯昔話 雄山荘>

最終更新日:令和7年8月28日

里湯昔話 雄山荘

代表:宇都木 公一
設立:1960年
スタッフ数:200名
住所:滋賀県大津市雄琴1丁目9-28
ホームページ:里湯昔話 雄山荘

温泉旅館での体験をたくさんの人に届けたい
―ムスリム旅行者に寄り添う宿づくり―

滋賀県大津市にある「おごと温泉」。
比叡山の麓に位置し、琵琶湖を望むこの温泉地に、「里湯昔話 雄山荘」という温泉旅館があります。

里湯昔話 雄山荘 里湯昔話 雄山荘

ここでは、ハラール認証の取得や礼拝室の設置など、ムスリム旅行者を受け入れるための積極的な取り組みが進められています。

今回は、同館のムスリム旅行者向けの取組について、専務取締役の佐治氏、総料理長の森氏にお話を伺いました。

取り組みの原点とハラール認証取得への道のり

同館がムスリム向けの取り組みを始めたきっかけは、今後世界のムスリム人口が着実に増加すると予想される中で、「ムスリムの方々にも、日本の温泉旅館を安心して体験してほしい」という宇都木社長の思いからでした。

その思いを形にするため、同館ではまず、ムスリムの方々が安心して食事を楽しめるように、イスラム教の教えに基づいて食材や調理方法などに厳格な基準が定められているハラール認証の取得に向けて動き始めました。

ハラール冷蔵庫
ハラール冷蔵庫



認証取得以前から、豚肉やアルコールを避ける対応など、ムスリムのお客様に配慮した対応は行っていましたが、いざ正式な認証取得となると、何から始めればよいのか分からない状態からのスタートだったと総料理長の森氏は言います。

それでも、食材や調理器具、調理場所など、細部にわたる厳しい基準をクリアするために、ハラール認証機関に相談しながら準備を進め、調理室を一室ハラール専用に設け、器具や皿も専用のものを用意するなど、徹底した管理体制を整えました。

  

和食と安心を両立したムスリムフレンドリーメニューの提供

ハラール証明書取得前のチェックの様子 ハラール証明書

たくさんの試行錯誤を重ねた結果、2014年にハラール認証を取得し、ムスリムの方々向けの食事提供を開始。初めてのメニューのメインは、牛肉のしゃぶしゃぶで、ムスリムの方々にも安心して楽しんでいただける「ムスリムフレンドリーメニュー」を実現しました。

メニューを更新すると新たに認証を取得する必要があり、一定の準備や調整が求められるものの、同館では3年に一度のペースでメニューの見直しと更新を行っています。和食を基本としながらも、チリソースなどムスリムの方々に馴染みのある調味料を取り入れることで、安心と親しみを感じてもらえるよう、工夫を続けています。
ムスリムフレンドリーメニュー(一例) ムスリムフレンドリーメニュー(一例)

快適な滞在を支える施設の工夫

食事の提供だけでなく、施設面でもムスリムの方々が心地よく宿泊できる環境づくりに取り組んでいます。

まず客室は、全体の約半数が露天風呂付きとなっており、宗教上の理由から大浴場の利用が難しいムスリムの方々にも、プライベートな空間で温泉を楽しんでもらえるよう配慮されています。
里山スイート 里山スイート

さらに、祈祷のための礼拝室が設置されているのも大きな特徴です。もともと客室だった空間をリニューアルして設けられた礼拝室には、身体を清めるための洗い場や、女性用の礼拝着なども完備されており、快適に利用できる環境が整えられています。
礼拝室 礼拝室 礼拝室

このような徹底した取り組みは、大型旅館としては全国的にも先進的な事例といえます。食事や施設面での配慮が評価され、マレーシアやシンガポールの現地メディアからの取材も受けるなど、注目を集めています。

実際に宿泊したムスリム旅行者からの満足度も高く、リピーターとして再訪するケースも見られます。こうした声を受けて専務取締役の佐治氏は、「今後もムスリムの方々を積極的に受け入れていきたい」と言います。

「おもてなし」をこれからも

ムスリムを含む外国人旅行者のニーズに応える体験型観光案内の充実にも力を入れていく方針です。特に日本を2回以上訪れるリピーター層からは、宿泊だけでなく「コト消費」への関心が高まっているため、今後は地域ならではの体験を紹介するサービスを展開することを検討しています。

また、滋賀県内の自治体がムスリム訪日客の受け入れ促進に取り組む際には、同館がその受け入れ先として活用されるよう、連携を深めていきたいと言います。

雄山荘の取り組みは、単なる宿泊サービスの枠を超え、文化や宗教の違いを越えて人と人とをつなぐ「おもてなし」の姿勢が貫かれています。ムスリム旅行者への対応をはじめ、時代の変化に寄り添いながら進化を続けるその姿勢は、今後も多くのお客様の心を惹きつけていくことでしょう。


このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 国際部 投資交流促進課
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6033
メールアドレス:bzl-charm-kansai[アットマーク]meti.go.jp
※メール送信の際、[アットマーク] を「@」に置き換えて送信してください。