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最終更新日:令和5年4月3日
京阪天満橋駅から天満橋をわたって川沿いに西にしばらく歩くと、「R・J CAFÉ」があります。食べられるカップ「エコプレッソ」が誕生したカフェです。
今回は、「エコプレッソ」生みの親である、テンセンス株式会社 林真智子社長にお話を伺いました。
◇企業情報
企業名 : テンセンス株式会社(大阪市北区天満3-2-1)
代表者 : 林 真智子
設立年 : 2014年
(概要)
クッキー生地で出来た、洗わずゴミにならず食べられるエコなカップ「ECOPRESSO(エコプレッソ)」を発案し、自社が経営するカフェで提供するとともに、全国のカフェや雑貨店等にも販売。また、様々な企業とコラボして、エコプレッソを使った商品企画も行っています。
食べられるカップ『ECOPRESSO』
食べられるカップを提供しています。バタークッキーで出来ているカップ生地で、エスプレッソが染みると少し柔らかくなって、飲み終わる頃にはちょうど美味しく食べることができます。カップの内側は砂糖でコーティングされていて、そこに熱いエスプレッソを入れると、砂糖が徐々に溶け出してエスプレッソに甘みが加わります。このカップに「ECOPRESSO(エコプレッソ)」という名前をつけて、自社のカフェで提供したところ、SNSで評判を呼びました。今では自店だけでなく、全国のカフェや雑貨店等にも販売しています。
エスプレッソの代わりに温かいミルクを注ぐだけで、カフェラテや抹茶ラテ、イチゴラテが出来る、食べられるカップ「WITH MILK Cookie Cup」も提供しています。コーヒーが苦手な人でも楽しめるということで、こちらも人気商品になりました。
正直、最初はSDGsを意識していませんでした。日本ではエスプレッソは「苦い」とか「量が少ない」という理由で、あまり人気がありません。だから、どうにかしてエスプレッソを広めたい、売りたいという思いで、それまでエスプレッソにクッキーを添えて出していたのを、そもそもクッキーで出来たカップにエスプレッソを入れてみたら面白いのではないか?と思いつきました。
まずは自力でクッキー生地からカップを作ってみました。プリン型でカップを焼き、砂糖のアイシングで取っ手をつけたりして。でも、熱いコーヒーを入れると砂糖が溶けて壊れるんですよね。納得いくものが出来るまで、何度も試行錯誤しました。
結果、食べられるカップ「エコプレッソ」が出来上がったのですが、その頃は、「まぁ、食べられるから、洗う必要もなくゴミも出ないからエコだよね」くらいの感覚で、SDGsなんて考えてもいませんでした。
あるとき、エコプレッソの売り込みのために、アメリカへプロモーションに行く機会がありました。「このエコプレッソ、可愛いでしょう?」というつもりで見せたのですが、エコの分野ではアメリカの方が進んでいましたので、現地の人々からは「エコだ」「SDGsだ」と、エコプレッソのエコロジカルな部分を評価する意見が多かったのです。そこで初めて、身近なプラスチック削減・サステナブルチャレンジが世界では当たり前であることを知り、帰国後すぐに自社のカフェに紙ストローを導入するとともに、SDGsを学びました。
そこから段々とSDGsを意識しはじめるようになって、おしゃれなエコバックを販売したり、カフェで出るコーヒー殻から肥料を作ってカフェで販売したりするなど、SDGsを実践していくことで、カフェの付加価値を上げていきました。そしてそれが、今まではつきあいのなかったような分野の企業との仕事に繋がっていくようになりました。
大量生産体制ですね。単にエスプレッソを美味しく飲んでもらうための話題作りとして始めたのに、来店するお客さんがみんなこぞってエコプレッソを注文するようになってきました。嬉しいのですが、手作りなので1日100個作るのがせいぜいですし、色んな企業からコラボ商品を出したいと言ってもらってもとても提供できない。
それで、2017年にものづくり補助金を活用して、エコプレッソを大量生産出来る設備を導入しました。そのおかげで、これまでカフェで提供するB to Cスタイルだけだったのが、企業にエコプレッソを提供して新たな商品開発に使ってもらうという、B to Bの事業展開が可能になりました。
エコプレッソの海外販売を目指しています。そのために、砂糖を少なくしたり、バターやグルテンフリー、ハラールに対応したりして、「NEW ECOPRESSO」として全世界向けに販売できるようにしました。エコプレッソの意匠の国際登録は「ジェトロ中小企業等外国出願支援事業」を活用しました。今後、欧州のカフェにも卸していく計画です。
B to Bの引き合いも多くなりました。企業によって色々なコンセプトでエコプレッソを活用してもらうことで、エコプレッソが広まっていっています。でも、私自身は、自分のカフェを大事に運営していきたいので、自ら大きくビジネスを拡げることは考えていません。20代の頃であれば自分の会社を大きくすることを考えていたと思いますけど、それよりも、次の世代のためになる活動をしたいですね。今は、自店で出るコーヒー殻を肥料として販売していますが、今後は大きな発酵設備を設置して、他店からもコーヒー殻を引き取って肥料にし、そのカフェのラベルを貼って返す事業もしてみたいなと思っています。
テンセンス株式会社 林社長
みんなが当たり前に地球のことを考えている世の中になっているといいですね。
オフィスで来客時にエコプレッソを出すと、それだけで自社がSDGsに取り組んでいると示せますよね。SDGsというと何だか大変なイメージがありますが、実はそうではなく、身近な取組もSDGsなのだと気づくきっかけにエコプレッソがなればと思っています。
「今日はエスプレッソにする?それともエコプレッソにする?」そんな会話がカフェで当たり前にかわされる世の中になっていると楽しいですよね。
エコプレッソから始まり、紙ストローの導入やエコバック、コーヒー殻から作った肥料の販売まで始められたテンセンス株式会社。自社のカフェでお客様に提供するだけでなく、様々な企業が自由にエコプレッソを使った新たな商品開発をすることが出来るようにエコプレッソの大量生産を開始するなど、SDGsに取り組むことで、これまでのB to Cだけだったビジネスが、B to Bへと拡大していきました。 取材の最後に林社長がおっしゃった、「SDGsの取組も、『自分以外のもっとよく知っている人がしてくれること』という考えだったのが、今は『自分が先にやってみてダメだったらやめたらいい』と思えるようになった。その結果、他社より先んじることができて、当社の取組が注目された。」という言葉の中に、「SDGsを自分事にするためにはまず行動から」というSDGsに取り組むためのヒントがあるのではないでしょうか。 |
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