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衣服から世界を変えたい!衣服の循環型社会の実現を目指す
~株式会社チクマ~

最終更新日:令和3年12月8日

   鉄道やバスなどの運輸関係、金融機関、警察等様々な業種の制服や学生服の企画・製造・販売する株式会社チクマ。1995年に社内に「環境推進室」を開設してユニフォームのリサイクル事業を始めるなど、早い段階からCSR、CSVの両輪で取り組み、2017年からはSDGsも積極的に進めてきました。
   その経緯や取組内容、今後の方向性について、アルファピア事業部の山平信幸事業部長兼企画生産部部長、ユニフォーム事業部大阪企画課の山下将人さん、環境推進室環境プロジェクト担当の中村尚弘さん、キャンパス事業部服育net研究所の有吉直美主任研究員に伺いました。


◇企業情報

   企業名 : 株式会社チクマ(大阪市中央区淡路町3-3-10)
   代表者 : 堀松 渉
   創業年 : 1903年

(概要)

   ビジネスユニフォームや学校制服を扱う繊維専門商社。ユニバーサルデザインといった着る人のことを考えたユニフォームづくりはもちろん、労働環境を考えた生産体制、環境配慮と効率化を活かした物流、使用済みユニフォームを回収して自動車内装材用の再生繊維原料に加工する資源の循環、環境負荷の少ない素材開発、生徒が服を大切にする心を育む環境教育「服育プロジェクト」の実施など、「共存共栄」の企業理念のもと、服を通じてSDGsの達成を目指す様々な活動を実施しています。

1.インタビュー

SDGsに向けて、どんな取組をされているのですか?

株式会社チクマイメージ
服育プロジェクトの一つ『制服の一生すごろく』

   当社では、部署横断型でSDGsを実施する体制を組んでいます。SDGs推進委員会として4つの分科会があり、のべ40名ほどの社員が事業部門を超えて活動しています。そこで毎年マテリアリティ(重要課題)を設定し、各項目の年度目標を定めて実施します。それに対して四半期毎に経営陣が進捗チェックもしますが、トップダウンで「今年はこれをやる」と言われてやるというものではなく、あくまで社員達が自ら活動の運営を行っています。
   当社は1998年より、使用済みユニフォームを回収して、断熱材や防音材といった自動車内装材へとリサイクルし、自動車メーカーに供給しています。2014年には、自動車部品メーカーとの合弁で株式会社エヌ・シー・エスを設立し、これまでに培ってきたノウハウを活用して、北九州市と一緒に古着や使用済みユニフォームを回収して再資源化する「官民一体型古着リサイクル事業」も開始しました。また、当社は環境省から産業廃棄物の広域認定制度も取得しています。県を超えた地域から自社製品を回収・運搬し、処理(再生利用)することが出来るので、このメリットを活かして、ユニフォームのリサイクルに取り組んでいます。
   さらに、2004年からは「服育」という概念を発表し活動を続けています。最近はファストファッションの台頭で、服の値段が下がり、それに伴って人々にとっての服の価値も下がってきています。たった1シーズンで服が捨てられることも多いです。食育という言葉が既に定着していますが、「服育」では服を通じて環境問題や自分たちの衣服文化を考えるとともに、服を大切にする心を育んで欲しいと考え、主に学校を対象に、家庭科等の授業で使えるツールやセミナーを提供しています。
   例えば「制服の一生すごろく」。これは、すごろくで制服のバリューチェーンを学び、各工程のカーボン排出量を数値化していかにカーボン排出量が少ない状態でゴールできるかを競います。おもしろいのは、途中でリサイクル等により制服を循環させることでゴールにたどり着くまでの時間を長くするほど早くあがってしまった人よりカーボン排出量を抑えることができる仕組みになっている点です。このすごろくは環境負荷低減やリサイクルの意義を学ぶことができるもので、当社のオリジナル教材です。また、最近では監修した服育を学ぶことのできる児童書「服育ナビ!」も発行されました。家庭科では服飾について学ぶ教材が少ないということで、学校などから年間600~700件の問合せをいただくなど大きな反響を感じています。
   こういう活動を通じて、服がただのファッションだけでなく、自分のことを相手に伝えたり体を守ったりするなど、様々な役割を持っていることを学んでもらいたいと思っています。

株式会社チクマイメージ
北九州市と連携し、古着や使用済みユニフォームを回収して再資源化する『官民一体型古着リサイクル事業』

SDGsの取組をはじめたきっかけは?

   当社では元々CSR活動に熱心でしたが、CSRだけでなくCSVも含め、社会価値と企業価値を両立させるという意識は持ち合わせていました。そこに登場したSDGsの精神はまさに当社の理念に合致するものだったため、SDGsを前向きに捉えるべきと判断し、いち早くSDGs推進委員会を社内に組織化して本格的に取組を開始しました。

SDGsに取り組んでみて、変化したものは?

   取り組むうちに社内の意識は変わってきました。環境に優しい植物由来の生地提案をするなど、各々が自分の事業にSDGsの考えを取り込むように変化してきています。その一助となったのがSDGs推進委員会と4つの分科会活動ですね。事業部門の壁を越えて活動していると言いましたが、そのために他の事業部との情報交換するようになったり、意識の共有が促されたりと、単にSDGsの活動だけでなくビジネスの上でも事業部間の風通しがよくなるといった、事業面での良い効果ももたらしています。
   世の中としてもいろいろなことがSDGsと絡めて進むようになり、当社顧客の中にもSDGsを意識した項目を入札の参加要件としている企業も出てくるなど、ビジネスとしてもSDGsに対応せざるを得ない場面も出てきています。SDGsが当たり前になってきていると実感しますし、「チクマはSDGsに取り組んでいる」という外部の認識も、社員の意識向上に影響を与えていると思います。

SDGsに取り組む上で、苦労したところは?

   SDGsに対する社内の認知は、元々環境への取組を推進していたこともあって、比較的早かったと思っています。とは言いつつも、やはり社内にSDGsの本質的な意義を浸透させるのには苦労しました。SDGsが何なのか、理解しないと他人任せになってしまうので、SDGsの精神に共鳴し、共感してもらうことが必要です。そのために、最初は環境推進室が全事業部に対し、「SDGsとは何か」から説明して回りました。それでもなかなか理解が進まなかったので、わかりやすく解説したSDGs説明ビデオを作って理解を促すような試みもしました。会社が変わってきたと実感したのは、SDGs推進委員会を設置して1年後ぐらいでしょうか。ようやく事業でもSDGsが有効だということが認識されてきて、SDGsの取組が当たり前になってきたと思います。
   当社はSDGsの取組では先駆者として世間に認知されているので、他社の見本になるようでなければなりません。当然、コンプライアンスの徹底は必須であり、虚偽は許されませんので、そこは気を遣っています。
   SDGsを意識してエコ原料にすると当然コストは高くなりますので、価格競争では当社は不利な立場になることもありますが、それでも当社はリーダーシップをとっていかなければならない立場だと思っています。
   当社の社員は昔から「嘘をつくな」とたたき込まれてきました。正直であることは当社の大切な文化なので、ここは守り続けなければなりません。

今後の方向性を教えてください

   サーキュラーエコノミー(循環型経済)を目指して、バックキャストで今自社に何が出来るかを引き続き考えていきたいと思っています。キーワードは「環境」「安全」「安心」です。原料から製造、私たちが携わった服を、着用する人たちとのコミュニケーションと使用済の服のリサイクルまでの独自のバリューチェーン全体の持続可能性への配慮を組み込んだ新しいステージでの服づくりを目指します。
   素材メーカーと一緒に、天然素材やバイオ由来原料といった環境対応素材の開発も始めています。定番素材の環境対応素材使用比率を徐々に上げ、2030年までには100%にすることを目標にしています。

あなたの目指すSDGs2030年はどんな姿ですか?

   SDGsとは地球との共生ですから、繊維産業が抱える課題はクローズアップされてくると思っています。人権問題はもちろんですが、衣類の95%が廃棄されている事実も何とかしたいところです。リサイクルプラントで一度も袖を通していないような衣類が山積みになっている光景を目にすることがあります。昔の日本人は、服を新しく買ってもらえることを楽しみにし、破れたら繕いつつ大切に着ていましたので、今のこういう実態を見ると悲しくなってきます。大量生産しても、消費されるならまだしも、消費されることなく大量廃棄される現実がある。地球との共生に貢献するには、そういう現状に目を向ける必要があります。消費を追うだけでなく、もっと衣服を大切に扱う世の中にしていくために、繊維産業が果たす役割は大きいと思っています。私達は、より良いもの、大事にしてもらえる物を提供していかなければならないと思います。取組課題は山積みですが、それだけに改善の余地も沢山あると思っています。例えば、光合成する服があってもいいですよね(笑)。光を当てればCO2を吸収してくれる繊維を作れないかなと、そんな話もしています。
   これからも、「衣服から世界を変えていける」という意識を持って、そのために、より良いものを提供する会社として貢献していきたいと思っています。

株式会社チクマイメージ
(左)ユニフォーム事業部大阪企画課 山下将人さん
(中央)アルファピア事業部 山平信幸事業部長兼企画生産部部長
(右)キャンパス事業部服育net研究所 有吉直美主任研究員

株式会社チクマイメージ
環境推進室環境プロジェクト担当 中村尚弘さん

~編集後記~
   他にも、提携工場でも労働環境に関する定期的な調査や、ハンガーや梱包資材を再利用する物流システム等、原料から製造、使用済みの服のリサイクルに至るまで、バリューチェーン全体の持続可能性を考慮した事業を展開する株式会社チクマ。
   2020年には、SDGs達成に向けた自社の取組を紹介した「チクマとSDGs」という冊子を作成しました。自社のSDGsに対する思いや取組、今後の方向性を内外に対して宣言することは、企業としてSDGsに取り組む上で非常に有効な手段でもあります。
   今後も、繊維業界におけるSDGsリーディングカンパニーとしての様々な取組と、その先にある、服を通じた地球との「共栄共存」の実現が期待されるお話でした。(2021年11月11日)

2.このページに関するお問い合わせ

近畿経済産業局 通商部 国際課
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6031
メールアドレス:kin-kokusaiinfo@meti.go.jpメールリンク