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エアーを使わず、モーター駆動で直角分岐/高い処理能力で搬送効率向上に寄与する
~伊東電機株式会社~

最終更新日:令和4年2月17日

伊東電機は物流センターや生産工場で荷物や製品などの配送や仕分けなどに使われるコンベヤ駆動用モーターローラ「パワーモーラ(MDR)」の製造・販売を手がける。先駆けのAC電源パワーモーラは1975年の発売。MDRはこの後10年をかけて開発したコンピューター制御が可能な製品で国内外に販路を開き、現在、世界シェアの50%を握る。
今、コロナ禍でEコマースの需要が拡大している。搬送効率を高めるためにも処理能力が高い搬送装置が求められる。こうした中で生まれた「F-RAT」は、荷物や製品など搬送物を上下に動かすことなくエアレスで直角に分岐させる装置だ。搬送物が増える物流センターを中心に販売実績を上げている。

エアレスで直角に分岐させる「F-RAT」
エアレスで直角に分岐させる「F-RAT」

エアレスでメンテナンスが容易な直角分岐装置「F-RAT」

直角分岐装置「F-RAT」はMDR3本を使用するコンベヤシステムのモジュールの一つ。MDRのローラと副搬送部のカートリッジタイプのローラで構成している。搬送物が流れてくると、副搬送部が上昇してこれを支持した後、主搬送部が下降し、副搬送部で直角方向へ搬送物を送り出す仕組みで、搬送物を上下させない機構設計のため衝撃を与えず、分岐先のコンベヤの段差調整も不要で装置の構成も容易にできる。
搬送物の増加により搬送ラインが大がかりに複雑化する中、効率化を進める生産現場や物流センターでは搬送物の自動仕分け機能が必須。高速で安定した搬送を実現するため、F-RATの需要はさらに高まっている。
同社は市場の要望に応えながら、現行のF-RATに至るまで何度も改良を重ねてきた。従来製品の多くは、仕分け方法として、エアーを利用してアームで搬送物を押し出すプッシャー式などが主流。しかしエアーを使うとエアーコンプレッサが必要なほか、エアー配管や装置への信号線なども引かなければならず、設置とメンテナンスに手間がかかった。

市場の要望に応えながら改良を重ねた
市場の要望に応えながら改良を重ねた

現行タイプのF-RATは副搬送部で使用するローラをカートリッジタイプにして取り外しやすくすることで、さらにメンテナンス性を向上。万が一、不具合が起こっても、装置をばらすことなく、副搬送部分だけを外してメンテナンスができるため、ユーザーの安心度が高まる。トラブルによって搬送ラインが停止する時間を短くするためには「自社でメンテナンスできることが重要になる」と伊東徹弥社長。メンテナンス性の向上が、生産性の向上に寄与すると解説する。

改良を重ね開発。ロボットも越えていくことを目指す

「モーターを使った分岐はできないか」、開発のきっかけは顧客からもたらされた相談だった。同社はニーズを汲み、1990年代後半にMDRを活用したエアレスの直角分岐装置を開発。2004年には搬送物を一度持ち上げて方向転換する分岐装置を発売し、エアレス分岐装置の草分けとなった。

コア技術のMDRとコントローラ
コア技術のMDRとコントローラ

ただ、初期型は搬送物を持ち上げるため、崩れやすい搬送物などには使用できず、分岐した先のコンベヤの高さを変えなければならないなど、課題も見つかった。これを解消するため、搬送物を上下運動させない機構で、ベルトを副搬送部に使用する分岐装置を2012年に開発した。振動を与えないため搬送物の幅もひろがり、販売の大幅増につながった。
こうした改良に加え、さらに耐久性とメンテナンス性を追求し、ベルト部分をキャリアローラへ変更。搬送能力を向上し、現在のカートリッジタイプのキャリアローラへ進化させていった。「顧客の要望を聞きながら、最新の持てる技術を出せるようにしている」(伊東社長)。
同社は時代のニーズに合ったモノづくりに軸足を置き、開発に取り組む。近年は自動化を進めるためにアーム式のロボットなどが注目されているが、「処理能力としてロボットの上を行くのが目標」と伊東社長は力を込める。MDRのハードウエアのコア技術とそれを扱うソフトウエアも開発していることを生かし、他社に無い製品をさらに加速させる。

「ロボットを超えていく」と伊東社長
「ロボットを超えていく」と伊東社長

見据えるは最低限の専門知識で、誰もが容易に扱える装置。伊東社長は「家電のような産業機器を提供していきたい」と、この実現に力を入れる。搬送可能サイズについては、ローラの間隔を詰めるなどして従来製品よりも小さい搬送物に対応。モーターの性能を上げることで、仕分け能力も毎時2250個に向上させた。さらにネットワーク通信に対応する制御も可能にし、F-RATは遠隔からでも状態を監視できるまでに成長してきた。

大手通販会社での採用、周辺機器や新製品とともに販売拡大を狙う

F-RATは大手通信販売会社が指定して使用するなど、引き合いが増えてきた。2021年に入ってからも新型コロナウイルスの影響などでネット通販市場は拡大。F-RATの需要もさらに高まっている。伊東電機はこうした需要増をにらみ、F-RATなどの装置を製造する生産ラインの増強を進めている。
「F-RATはなくてはならないキーパーツ」と伊東社長は力を込める。同社のMDR式コンベヤ「id-PAC」でもF-RATは重要な構成要素になっている。コンピューター管理のid-PACは制御機能を持つ複数のモジュールを組み合わせて簡単に搬送ラインをレイアウトできる。据え付け、レイアウト変更も容易で工期を短縮、作業コストも抑えられる。動作アイコンを当てはめていくコントロールソフトは専門知識がなくても扱うことができ、導入企業の生産性向上、効率化に寄与する。このid-PACなどの搬送自動化システムに応用していくことで、F-RATは進化を続ける。

MDR式マテハンモデル工場で製品に磨きをかける(本社第一工場、加西市)
MDR式マテハンモデル工場で製品に磨きをかける(本社第一工場、加西市)

今後も自社コンベヤシステム製品への組み込みを中心に、コンベヤシステムメーカーへの供給、代理店販売などで市場拡大していく。一方、MDRを使用した製品群で構成するラインを自社工場への導入も強化する。自社ラインアップの強化が狙いだ。これまでも使ってはきているが、「モデル工場にすることで製品にさらに磨きをかける」と伊東社長は解説する。エンドユーザーに工場を見に来てもらい、手軽で安全に運用できることをアピールする。依然としてエアー式の分岐を採用しているコンベヤメーカーもあることから、「需要は国内外にまだまだある」という。同社は任意の方向に向けて搬送物を仕分けられる分岐装置も新たに発売しており、顧客の用途を詳しくヒアリングしながら最適な製品を提案し、市場の掘り起こしを進める。

経営者メッセージ

当社はMDRをコアに効率的な自動搬送ラインを構築する技術を提案している。エンドユーザーには建屋の改修をせず、すぐに利用できる仕分け装置を導入したいというニーズがあるが、一度設置すると変更しにくい従来型の搬送システムは導入までに時間がかかる。
当社製品は“柔”軟な対応ができ、後から機能を付け加えられる“拡”張性を持ち、さらに工期は“短”く、“省”エネ型。この「柔拡短省(じゅうこうたんしょう)」を、これからの製品作りのテーマに掲げている。F-RATを含むid-PACという搬送ラインを簡単に構築できるプラットフォームを使用していただき、ユーザー各社に商機、チャンスをつかんでいただきたい。

企業情報

▽企業名=伊東電機株式会社
▽代表取締役社長=伊東 徹弥
▽所在地=兵庫県加西市朝妻町1146-2
▽創業=1946年2月
▽売上高=149億円(2021年3月期)
▽従業員=360人

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近畿経済産業局 地域経済部 産業技術課
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