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蓋分割で狭い既存の工場でも導入可能に/洗浄性の優れたロングセラー遠心分離機
~株式会社松本機械製作所~

最終更新日:令和4年2月17日

松本機械製作所は遠心分離機の専業メーカー。開発から製作、据え付けまでをグループで展開する。この技術力は異物混入が許されない医薬品・製薬分野において高い評価を得ており、自社推定で「国内約70%のトップシェア」(松本知華社長)を誇る。

2018年に稼働した新工場
2018年に稼働した新工場

創立80周年を迎えた2018年には堺市内に点在していた生産拠点を集約し、堺区三宝町に新工場を稼働。生産を効率化するとともに、技術人材の積極採用で開発体制を強化している。上部分割開閉型遠心分離機「MARK3γ(マーク・スリー・ガンマ)」は力を入れるマーケットイン型の開発から生まれた製品だ。〝既存の工場に洗浄可能な遠心分離機を導入したい〟という声を反映した。

発売から50年、新タイプ登場で市場拡大

松本機械製作所の「MARK3γ」は、ロングセラー機種「MARK3」シリーズの一つだ。MARK3は粉を(本体の)底から排出し、上にモーターが付く「上部駆動底部排出遠心分離機」の基本形。ふたの開かないα(アルファ)タイプ、ふたが全開するβ(ベータ)タイプという従来機に対し、γはふたを分割して開閉できる。
遠心分離機は上部のふたを開けて洗浄しなければならない。βも開閉は可能だが、高さ約3メートル、幅が2.5メートルほどの大型機もある。全開するふたは大きく、建屋の高さを含め、導入には周囲に広い空間が必要だった。一方、γは分割開閉によって天井の高さ、設置場所に余裕のなかった工場でも導入可能。既存工場のまま、採用する選択肢をユーザーに示した。

分割開閉が可能なMARK3γタイプ
分割開閉が可能なMARK3γタイプ

「MARK3」はホームページのドメイン名にも採用するほど、同社が〝顔〟として大切に育ててきた製品だ。1975年に海外メーカーと技術提携し、国内市場向けに開発した。「名前は当時、あこがれだった国産車にあやかったと聞いた」と松本社長は頬を緩める。発売から50年近く経つが、本体周辺の配管など一部で改良を加えたものの、ほぼ発売当時と同じ機構を維持したまま、生産を続けている。
これまでの累計出荷台数は2500台を超え、製薬業界を中心に全国各地で広く支持されてきた。30年以上現役を続ける機械も数多い。松本機械製作所では、納入・据え付けで終わりとはせず、安定稼働の確立から修理、メンテナンスまで長期間とことん付き合う。「諦めない粘り強さ」を掲げる同社の技術者は、遠方の客先にも長期で出張。工程が順調に稼働するまで、現場に張り付いて調整に当たるケースもあった。そのサポート体制への評価は高く、注文の約8割がリピート客によるものだ。

ジェネリック医薬品メーカーの声で開発

「MARK3」は本体価格が約3000万円。生産設備として高額ではあるが、相応に多くの現場で生産プロセスの中核を担う〝重要機器〟として扱われている。特に多品種生産を行う中小規模の工場や、さまざまな試作に活用する研究所などで重宝されている。工程間の切り替えに毎回の機内洗浄と洗浄の確認は欠かせない。洗浄性に優れる「MARK3」は〝段取り替え〟時間を短縮し、多くの品種を扱うほど高い生産性を発揮する。
製品開発は営業担当者が集めてきた顧客の声からスタートする。顧客の困りごとが新機種開発のヒントだ。γも、ジェネリック医薬品メーカーで耳にした「既存工場にもMARK3を入れたい」との声が開発のきっかけになった。設置スペースの条件が合わない工場ではこれまで「MARK3」導入のために、新たな工場棟を建てる必要があった。
「MARK3」のふたには本体の駆動部を搭載しており、重さが約1トンある。分割開閉を可能にするには加重に耐えられる複雑な構造にしなければならない。さらにこれを作業者が安全に開けられるようにする必要があった。およそ1年間、培ってきた独創的な設計思想を以て試行錯誤を繰り返し、複雑形状の部品を精密に加工する技術を駆使して、課題解決を図った。

分割開閉によって導入のハードルを下げた
分割開閉によって導入のハードルを下げた

また、遠心分離機の内部は窒素雰囲気で稼働しており、完全に密閉されていないと周囲に危険が及ぶ。開口部の変更に対して、安全性を担保できるよう、シール部分で素材、形状ともに工夫を凝らした。

デジタル化で製造・機能の進化見据える

「MARK3γ」は2020年秋に1号機を納入し、顧客への案内を始めた。松本社長は「これまでに25件ほど引き合いがあった」と手応えを明かす。ただ今は忙しすぎてγの市場開拓に充てる余力がない。コロナ禍で医薬品・製薬業界が活況にあり、従来機種を中心に受注残が積み上がっている。「今の繁忙が一段落したら、γを積極的に売り込む」と、松本社長は意気込む。
工場ではリードタイムの短縮に向け、工程管理や生産技術などのデジタル化に取り組んでおり、この効果も着実に現れている。松本社長は「どうやって楽に生産するか」に重きを置く。業務を効率化し、生産性の高い業務に傾注できる環境をつくるのが狙いだ。

 「デジタル化の推進でさらに生産性を高める」と松本社長
「デジタル化の推進でさらに生産性を高める」と松本社長

一方、コロナ禍でフォローの風も吹いた。コロナ以前にウェブ会議システムを導入していたが、全国の納入先からは当たり前のように〝リアル訪問〟を求められてきた。これがコロナによる移動自粛の長期化で、〝ウェブ訪問〟も受け入れられるようになった。
松本機械製作所は顧客の困りごとを前に、それを克服する新しいアイデアで機械を作る。ニーズに応じたオプションや素材を投入するバスケット(回転体)の形状など製品は一品一様。松本社長は「顧客とともに作り込んでいる」という自負を胸に、“技術の松本”を前面に押し出す。
マーケットインに徹しながら、見据えるのは遠心分離機の進化だ。機械をインターネットにつなぎ、稼働状況を松本機械製作所が集めて予兆保全に役立てる構想を描く。「ダウンタイムの最小化が期待できる」と松本社長。市場に切り込むタイミングを計っている。

経営者メッセージ

「技術の松本」を誇りに、新しいことに対して、常に積極的に取り組み続ける会社だ。顧客が新しい製品を開発、生産する時に役立ちたい。時代の流れは速く、社会環境や産業構造の変化は今後、より一層加速度を増すことだろう。顧客が新製品の開発スピードをさらに加速させ、より便利に、より効率の良い生産を実現するために、当社がパートナーとなって、ともに新しい価値を生みだしていきたいと考えている。
日々、使いやすい遠心分離機を開発している当社にとっての喜びは、顧客企業が当社の納めた遠心分離機を活用して、利益を上げて発展していくことだ。これからもスピード感、提案力、粘り強さを持ち味に、顧客に喜んでもらえる仕事をしていきたい。

企業情報

▽企業名=株式会社松本機械製作所
▽代表取締役社長=松本 知華
▽所在地=大阪府堺市三宝町6-326
▽設立=1939年9月
▽売上高=11億円(2021年3月期)
▽従業員=59人

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 地域経済部 産業技術課
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
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