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BtoC市場に切り込む/光触媒と紫外線LEDを組み合わせた小型空気清浄機
~ヨーホー電子株式会社~

最終更新日:令和4年2月17日

ヨーホー電子はプリント基板実装を主力事業に発光ダイオード(LED)照明のODM(相手先ブランドによる設計・生産)や、自社製品の製造・販売を手がける。電源(パワーサプライ)関連、照明、産業機器ラインの制御系基板を得意とし、実装事業の製品は産業用途から民生品まで多岐にわたる。

ヨーホー電子はさまざまな電子機器の基板を手がける
ヨーホー電子はさまざまな電子機器の基板を手がける

近年は需要動向を見ながら中小企業が活躍できるニッチな市場を模索。自社ブランドの高輝度・面発光LEDモジュールを製品化するなど、独自技術の開発にも熱心だ。
コロナ禍にあって主力分野の需要は伸び悩んだが、2020年7月に発売した空気清浄機「KOROSUKE=コロスケ」が大ヒット。業績を強く下支えしている。

光触媒×紫外線LEDの新たな空気清浄機

空気清浄機「コロスケ」は光触媒と紫外線LEDを組み合わせた。二酸化チタン(TiO2)を用いた光触媒に、紫外線LEDの光を照射すると活性酸素(OHラジカル)が発生する。光触媒を用いる空気清浄機はこの酸化力でウイルスや細菌、有機物を分解する仕組みだ。OHラジカルは300分の1秒で消滅し、反応は触媒の近傍でしか起きないため、安全性も高い。「コロスケではTiO2の担持技術で従来の光触媒と差をつけた」と、辻吉典社長は解説する。
1つの粒子から放出されるOHラジカルは決まっている。粒子が多ければ多いほど量を増やせる。同社はコロスケの光触媒に使用するTiO2粒子を精査し、加工の温度、時間、添加物なども緻密に検証。母材となるセラミックフォームにTiO2を均一に担持させることに成功した。球状の粒子が均一に並ぶことで露出する受光面積はサッカーグラウンド2.4倍相当になる。これに通常の5―10倍の高出力LEDで光を照射し、強力な酸化力を得る。
日本食品分析センターでインフルエンザウイルスを用いて実施したコロスケの効果試験では、設置15分後に検体のウイルス数が約68%減少。30分後には約99%減少した。
本体サイズは幅150ミリ×奥行き160ミリ×高さ100ミリメートル。総重量約860グラムと軽量ながら6-8畳(約24平方メートル)の部屋に対応する。価格は3万5000円(消費税抜き)。さらにUSBで給電できる小型の「mini=ミニ」、デザイン性を高めてより携帯しやすくした「Petit=プチ」を加え、販路拡大に取り組んでいる。

シリーズ化が進むKOROSUKE。写真は最新の「Petit」
シリーズ化が進むKOROSUKE。写真は最新の「Petit」

研究していた技術が花開く

光触媒と紫外線LEDには以前から注目していた。同社は2013年に自社ブランドの高輝度面発光LEDモジュール「輝烈=キテレツ」を発売。回路設計から生産まで自社内で手がける体制を整えた。もちろんLED素子も独自に調達する。LED事業を展開する中で紫外線LED素子が市場に登場し、これにいち早く着目した。「出始めの紫外線素子は高価だったが、植物工場の装置の一つなら通用すると考えた」(辻社長)。
植物工場向けの新たな製品開発に取り組むと同時に、光触媒の研究も始めた。紫外線LEDを使った業務用照明と光触媒を塗布した壁紙の組み合わせで掃除の手間を軽減する製品アイデアの実現を目指した。「工事費が大きいため、これも照明の単価は問われにくい」(同)。ただ1年を待たず紫外線LEDの価格が下がり始める。両アイデアはいったん、お蔵入りとなった。
状況を変えたのは20年のコロナ禍だ。会社として何か役に立てないか-。加えて本業のプリント基板実装事業の落ち込みも予想され、新たな武器が必要だった。「LED事業で大量にアクリル板を仕入れており、パーティションをやろうという話もあった」、辻社長は苦笑する。

活発な議論から新製品のアイデアが生まれる
活発な議論から新製品のアイデアが生まれる

結果的に本業に近いところ「電気を使い、コロナ禍に需要が見込める製品」を考えることになった。ここで再び注目したのが紫外線LEDと光触媒だ。小型・高性能の空気清浄機。大手空調メーカーはそれぞれ光触媒以外の独自機能をうたっているため、競合もしない。光触媒の可能性を検討しながら、大手には確立したブランドから逃れられないジレンマがあるという情報を得ていた。「勝てる市場と確信した」(同)。
開発担当者は製品開発部門の3人。テーマが決まれば、動きが急加速するのは中小企業の強みだ。いずれの技術も知見は十分にあった。次の課題は調達だが、製品の形を決定づけるケースの選定方法も中小企業ならではだった。長年日光にさらされている町中に設置された樹脂ボックス見て回り、最適なモノを見つけ出した。そして製造と品質管理、営業を巻き込みながらわずか3カ月で発売までこぎ着けた。

医療機関、クリニックのニーズが牽引

2020年7月に発売した「コロスケ」シリーズは1年間で約8000台を販売。2億円以上を売り上げる大ヒットとなった。辻社長は「月1000台と読んでいた。想定より少ない」と厳しいが、口元はゆるむ。この1年間で販路を着々と広げてきた。中でも医療機関やクリニックからの引き合いが増えている。
機能、性能確認の過程で協力を仰いだ医師の口コミで広がったほか、大阪府医師協同組合の機関紙にPRを載せられたことが大きかった。さらに昨年に続き21年度も大阪府門真市のふるさと納税の返礼品に選ばれており、地域の顔になる製品にも育ちつつある。「使える場所はどの業界にもある。まだまだ開拓できる」(同)。

「市場はどこにでもある」と話す辻吉典社長
「市場はどこにでもある」と話す辻吉典社長

コロスケ「プチ」の発売に合わせ、「ミニ」はLED素子の数を増やして能力アップを図る。「より使いやすく」というニーズに応える一方、既存製品は能力アップでユーザーをつかむ狙いだ。プチは現在のミニと同じ能力で高さを20%低くした。外観をデザイナーに任せて、パステルカラーを採用。女性をターゲットに拡販する。
「2年目は2万台以上を販売したい」、辻社長は力を込める。

経営者メッセージ

当社の本業はあくまでプリント基板実装。この中で自社製品を生み出していく。自社製品を出せるタイミングで出せるのが中小企業のいいところ。だから空気清浄機を事業の柱に育てようとも考えていない。長く供給し、横展開していければいい。こうした取り組みを自由にできる社風が当社の強みだ。
世の中にいいものを提供するために努力する意欲のある人、物事をただ眺めるだけでなくビジネスチャンスを見つけられる人を増やしていきたい。コロナ禍で新卒採用をストップしていたが、再開したいと思っている。
一方、今後の事業展開をにらみ、新素材やソフトウエア分野で一緒にものづくりができるパートナー企業も見つけていきたい。

企業情報

▽企業名=ヨーホー電子株式会社
▽代表取締役社長=辻 吉典
▽所在地=大阪府門真市四宮6-6-46
▽設立=1990年1月
▽売上高=9億6000万円(2021年9月期)
▽従業員=158人

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近畿経済産業局 地域経済部 産業技術課
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