トップページ > 施策のご案内 > 情報化推進 > 関西サイバーセキュリティ・ネットワーク > 2020年サイバーセキュリティ月間企画 > vol.20 株式会社 オプテージ 河田 靖弘 取締役 常務執行役員
最終更新日:令和2年3月3日
個人及び法人・公共向けのシステムインテグレーションからITインフラまで、様々なサービス、ソリューションを提供するとともに、情報セキュリティの向上を重要な経営課題のひとつと認識して日々対応にあたっている、株式会社オプテージ 河田 靖弘 取締役 常務執行役員 経営本部長に、企業経営におけるサイバーセキュリティ対策の勘所を聞いた。
― 御社のサイバーセキュリティの位置付けと考え方についてお聞かせください。
「弊社は、この4月から社名を「オプテージ」(旧社名:ケイ・オプティコム)に変更しましたが、従来から情報通信事業を行っており、通信とソリューションを融合した新しいサービスの創出をミッションの一つとしています。IT市場で情報通信事業をビジネスとして行っていく上で、弊社はサイバーセキュリティ分野への対策をコストとして見るよりも「未来へ挑戦するための重要な投資」と考えています。サイバーセキュリティ分野への投資を「必要な原価」と考えて企業活動を行い、そこに強い責任を持って取り組んでいるところです。
我々としては、品質を損なわずお客様に安心して利用いただけるサービスを提供するため、サイバーセキュリティを経営方針の重要な項目として位置付けており、経営層も参加している「リスク管理委員会」の中に「リスク・情報セキュリティ部会」を設置し、月1回の定期的な会議を開催しています。この会議ではセキュリティの意識や対応、インシデントの発生状況などを部門横断的に共有して、PDCAに反映しています。」
― セキュリティ対策として何から手をつけることがはじめの第一歩になるでしょうか。
「実際にインシデントが起こってしまった場合に自社の経営に与える影響を想像することかなと思います。例えば、顧客情報がすべて流出してしまった場合、どういうインパクトがあるのか、お客様から得た信頼はどうなるのか、また、お客様の「安全・安心」を守るブランドはどうなるのかなど、そのような状況を想定することでセキュリティへの取組をどこまで行わなければならないのかが明確になってくるのではないかと思います。そしてその方針を「情報セキュリティポリシー」という形で社外にも公開することで、従業員に対しても危機意識を共有することができ、そのことが具体的な社内での仕組みやCSIRT#1への組織作りに繋がっていくのではないかと思います。また、自社だけでなく他社との情報共有も大事だと考えています。日本シーサート協議会にも参加して情報を吸収し、他社の取組情報を積極的に収集し、自社の対策の参考としています。」
― 成果が見えにくいセキュリティ部門と経営層の評価、また、工夫している点などは。
「普段は「何もインシデントが起こっていない」というように思えますが、実際にはそういう状態ではなく、インシデントを水際で止めてくれているCSIRT、情報管理部門には感謝しています。日々何らかの新しい脅威が世の中で発生していると思っていて、それに対して、自分たちがどこまで対策ができているのかということを顧みるだけでも、やはり相当な危機意識が醸成できます。また、どこまで対策ができているのか、ということを考えなければならない立場である経営層がセキュリティ担当者に対して継続的にキャッチアップし、コミュニケーションを取る姿勢も必要だと考えています。
弊社では、インシデント対応訓練を社長以下で定期的に行っており、サイバーセキュリティの事故が起こった場合を想定した訓練や従業員に対しての標的型のメール訓練を行っています。セキュリティ上の課題の洗い出しだけでなく、当社ではどこまでセキュリティ対応ができていて、どの対応ができていないのかということが明らかになりますし、従業員が参加することで危機感の共有にもなると考えています。ただ、セキュリティの細かな技術やその対応の点については、経営層に対してセキュリティの技術等のテクニカルな情報をわかりやすく伝えることができる「橋渡し人材」も必要となってくると思います。弊社では、「橋渡し人材」の育成のために、IPAの産業サイバーセキュリティセンターが実施している「中核人材育成プログラム」に毎年参加して、その育成に努めており、その人材を中核にしてPDCAの対応や各部署の部門長・従業員への対応を行っております。」
#1 CSIRT(シーサート:Computer Security Incident Response Team)とは、組織内の情報セキュリティ問題を専門に扱う、インシデント対応チームのことです。
近畿経済産業局 地域経済部 次世代産業・情報政策課
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