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地域のキーパーソンに聞く~経営課題としてのセキュリティ~

地域のキーパーソンに聞く~経営課題としてのセキュリティ~

vol.28 日本電気株式会社 谷口 充 関西支社長

最終更新日:令和2年3月13日

相互の信頼関係に基づく、集団防衛力の向上が不可欠

vol.28 日本電気株式会社 谷口 充 関西支社長

ITで高度化された社会においてこれまで以上にサービスが複雑に連携する中、後付けでのセキュリティ確保はほぼ不可能であるという問題意識のもと、企画・設計段階からセキュリティを考慮するセキュリティ・バイ・デザインの考え方で情報セキュリティ対策に取り組む、日本電気株式会社 谷口 充 関西支社長に、企業経営におけるサイバーセキュリティ対策の勘所を聞いた。

サイバー攻撃は異常気象に並ぶ大きな世界的リスク

-経営者として認識しておくべきセキュリティ対策のポイントはありますか。

「世界経済フォーラムから発行された報告書「The Global Risks Report 2019」では、サイバー攻撃は異常気象に並ぶ世界経済への大きなリスクとして位置付けられています。企業の被害事例としては、半導体受託生産の最大手である台湾積体電路製造(TSMC)において工場内ネットワーク機器がマルウェアに感染し、3日間の生産停止を余儀なくされ、その損害額は190億円と言われています。このように、サイバーセキュリティは経営に直結するリスクであることを認識した上で、情報システム部門だけに任せることなく、経営リスク対策という観点から経営層にはリーダーシップを発揮していただく必要があります。」

相互に協力し合える状況を地域でいかに作るか

-サプライチェーン全体のセキュリティ確保にいかに取り組めばよいでしょうか。

「攻撃者が相手の弱点を重点的に突いてくるというのは世の鉄則です。昨今では自社のみで完結するような事業は少なく、技術や部材等を提供してくださる様々な企業とつながって事業を行っていますので、サプライチェーン全体のセキュリティを高めるためには、お互いに信頼できる関係性を構築し、情報を共有し知恵を出し合い、力を合わせて集団防衛力を高めなければなりません。」

-中小企業がセキュリティ対策を行う際のポイントは何でしょうか。

「当社は大阪商工会議所が採択された「サイバーセキュリティお助け隊事業#1」の実証事業に参加し、中小企業のサイバーセキュリティ対策支援を進めています。こうした事業を通じて実感するのは、中小企業にとって、導入と運用の手軽さがいかに大事かということです。経費も人材リソースも不足する中、人材が社内にいなくても相互に協力し合える状況を地域で作っていくことで、地域全体のセキュリティを底上げすることができるのではないかと考えています。」

情報投資の約5%と言われるセキュリティ対策費

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-サイバーセキュリティ対策は費用対効果が見えにくいとよく言われます。

「それぞれの企業の事業の構造に大きく影響を受けますので一概には言えませんが、国内の統計的にみると、企業の情報投資のおよそ5%#2がセキュリティ対策に講じられていると言われています。これは各企業が自社の実情に見合ったセキュリティ対策の投資を行っているかどうかをみる一つの基準になるかもしれません。ただ色々な見方がありますので、一つの指標だけではなく、外部の知見も活用しながら、自社の実態に見合った規模で投資判断していただくということになると思います。」



#1 サイバーセキュリティお助け隊事業とは、経済産業省とIPA(独立行政法人情報処理推進機構)が実施する、中小企業のサイバーセキュリティの意識向上と中小企業の実態に合ったサイバーセキュリティ対策を定着させていくことを目的とした実証事業です。大阪商工会議所は本事業を本格サービス化し、2020年度より中小企業向けに提供する予定です。
#2 株式会社MM総研「日米企業の情報セキュリティ投資動向 ―セキュリティ対策で後れをとる日本企業―」(2013年)を参照。

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