アトツギを知財で次のステージへ!攻めと守りの知財活用プログラムDAY5
(令和7年度 次世代経営者向け知財リテラシー向上支援事業)
近畿経済産業局では、次世代の経営者として成長し、後継者ならではの発想で新事業を生み出し企業を成長させたいという想いを持つ中小・中堅企業のアトツギを対象に、知的財産に関する座学、フィールドワーク(企業訪問)、ワークショップを通じて、企業の利益の源泉である知財を意識した経営を体験していただくプログラムを実施しています。
ここでは、座学の一部をアーカイブ形式でコラムとしてお届けしていきます。
第5回(最終回)「知財活動の最初の一歩」発表・宣言
最終回となる第5回(2026年2月5日(木)開催)では、これまでの4回の講義や企業見学を経て得た「知財の学び」を自社に持ち帰り、これからどのような知財活動を展開するか、
アトツギ全員が発表を行いました。また、発表に対して、知財メンター・ビジネスメンターがそれぞれの角度からフィードバックを実施する回となりました。
講座を通してこだわった「自社の儲けの柱は何か」
3分という限られた発表時間のなか、アトツギはそれぞれの学びをアウトプットにつなげた内容で発表いただきました。 製造業から建築・土木業、卸売販売業などバラエティに富んだ業態のアトツギたちが、今回のプログラムで常に出発点として立ち返っていたのは 「自社の強み・儲けの柱は何か?」という点でした。まずは自社のビジネスを支える強みを軸に、いかに知財(活動)を守り、そして攻めにも活かすのか。 各々が置かれた事業環境の中、どのような知財がビジネスに寄与するのか、考え抜かれたプレゼンテーションをしていただきました。
中には、「この講義の期間中に弁理士に相談に行って、商標権を取得した」という報告や「新商品開発の発売前の権利化について、 専門家・弁理士と協議を進行中」という報告もあり、アトツギたちの意思決定のスピード・行動力に驚く場面もありました。
知財活動を深掘りし、気づきを与えるメンタリング
最終回のプログラムでは、アトツギの発表の後、ビジネスと知財のそれぞれの視点から追加の質問を投げかけ、 良かった点や改善点についてフィードバックしていただくメンターにご参加いただきました。
知財面では、今回の講座を通してアトツギを支えてくださった K&T特許商標事務所 パートナー弁理士 北野 修平 氏、 ビジネス面では、自身もアトツギの立場で歴史と伝統を受け継ぎながら、
更なる事業領域を拡げている次世代経営者・松尾産業株式会社 代表取締役社長 松尾 尚樹 氏(大阪府大阪市)にメンターを務めていただきました。
メンターはアトツギの発表に対し、市場環境・競合がどうなっているか、どこにニーズがありそうか・強みを活かせる売り先等から、 それぞれの今後の知財活動のブラッシュアップまで、
幅広く気づきを与えるコメントを返し、さらに発表を聞いた他の参加者からもアドバイスが飛び交う、一体感のある発表時間となりました。
※本事業では参加者間でNDA(秘密保持に関する覚書)を結んだうえで事業を実施しています。
知財活動の「最初の一歩宣言」
発表では、今回のプログラムを通して得た学びを総括いただいた参加者もいました。
「知財は不確かな投資にもなり得るので経営者マターであるとの認識を持つ。知財の最低限の知識を持った上で、出願すべきか否か、ノウハウとして秘匿すべきか等の選択は、今後、経営判断として行う。」
「新規事業の構想段階から知財を設計要素として取り込み、「守りのコスト」としてではなく、事業スケールを支える戦略資産として位置付ける。」
「特許は必ずしも画期的な発明である必要はないと知ることができた」
「特許取得自体が目的ではないことを理解した。今後は構造等の技術要素を言語化し、明確なゴールを設定したうえで、適宜知財専門家と連携して取り組む。」
「知財の視点が加わったことで、名前やロゴだけでない自社の資源に目が向くようになった」
「商標は信用と物語をためる“器” であることを再認識し、ブランディング施策の中核に据える。」
「知財でオフェンスしなければ、隙間産業は必ずレッドオーシャン化するという危機感を持った」
「知財は権利化することがゴールではないと理解した」
「知財を考えること自体が自分たちらしさを考えるきっかけになると気づいた」
など、それぞれが講座を振り返り、学びや感想を共有いただきました。
発表の最後は、これからどこにフォーカスして知財活動を行うかを自分たちなりに考えた結果、それぞれが知財活動の「最初の一歩宣言」を行い、発表を締めくくりました。
第5回(最終回)の振り返り
今回の講座は単なる「アトツギが知的財産権の概論を学ぶ講座」ではなく、座学や企業訪問、 ワークショップを織り交ぜながら、企業の利益の源泉である知財を意識した経営を学ぶプログラムとして回を重ねてきました。
その集大成としてアトツギそれぞれに発表をいただき、他者の発表を聞くことで、互いに刺激を受けたことで、充実した時間となりました。
改めて、このプログラムに参画頂いたアトツギの皆さま、講師の皆さま、連携機関の一般社団法人ベンチャー型事業承継の皆さまをはじめ本事業にご支援をいただいた機関の皆さまに感謝申し上げます。
当局ホームページ 次世代経営者向け知財リテラシー向上支援事業