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消費者相談事例

最終更新日:令和3年6月17日

月謝制の家庭教師派遣契約の教材を解約したい

相談内容

中学校1年生と小学校4年生の娘を持つ母親である。

家庭教師派遣契約の契約内容は月4回で16,000円(二人分)の授業料を1ヶ月単位で支払い、いつでも解約できるものだったが、中学校1年生の1年間分の教材費が18万円と、小学校4年生の1年間分の教材費が16万円であった。1年分の教材は4冊に分かれていたのだが、セットになって箱に入っていた。「学校のドリルなどを使って授業の復習ができれば」と思っていたのだが、「当社の家庭教師の授業には、必ず当社の教材を使用していただいています。」と言われたため、教材のローン契約をした。

二人の娘はそれぞれ家庭教師の役務を4回受けたのだが、教材は使いづらく、担当の家庭教師も頻繁に交代するので、やめようと思う。

契約約款には、「1ヶ月以内の解約の場合は、教材費の30%が違約金となる。」と書かれている。

まだ、4回しか授業を受けていないので、教材は1冊ずつ数ページしか使用していない。それでも30%も支払わなければならないのだろうか。

回答

特定商取引法では、エステティックサロン、美容医療、語学教室、家庭教師、学習塾、結婚相手紹介サービス、パソコン教室の7役務に関して、一定の条件に当たるものを「特定継続的役務」と指定し、中途解約に関するルールを定めています。家庭教師については、契約期間が2月を超え、かつ、契約金額の合計が5万円を超えるものであれば、特定商取引法の適用を受けます。

ご相談の契約については、家庭教師派遣の契約はいつでも解約できる月謝制であるものの、総額34万円の教材を1年間分購入しており、この教材を役務提供の前提となる「関連商品」と考えた場合、関連商品の販売を通じて2月を超える役務提供を前提にした契約であると考えられることから、特定商取引法の特定継続的役務提供契約に該当する可能性が高いと考えられます。

特定継続的役務提供契約を中途解約する際、関連商品の精算について、商品が返還された場合には、通常の使用料に相当する額を超える額の請求はできない、と特定商取引法に規定されています。

事業者Xが約款で定めた「教材費の30%」が特定商取引法の規定に照らして妥当な請求であるか、精算の根拠や詳細を事業者に確認されることをお勧めします。

また、中途解約に伴い事業者が請求し得る金額の上限も規定しています。(特定商取引法第49条)

中途解約の場合に事業者側が消費者に請求することができる金額について、役務提供開始後については「提供された役務の対価」及び「通常生ずる損害の額」の合計としています。「通常生ずる損害の額」については上限額を定めています。また、これらの金額の支払遅延があった場合には法定利率による遅延損害金の額が加算されます。(特定商取引法第49条)

コメント

特定継続的役務提供契約の中途解約(特定商取引法第49条)

特定継続的役務提供契約の場合、クーリング・オフ期間の経過後も、役務提供契約の期間内であれば将来に向かって契約を解除することができます。
クーリング・オフの場合とは違い、中途解約の場合、消費者は事業者に対して、既に提供された役務の対価分と政令で定める一定額以内の損害賠償を支払う必要がありますが、事業者が請求し得る金額の上限を定めています。

・役務提供開始前
  1. 契約の締結及び履行のために通常要する費用の額
  2. 1.の金額の支払いの遅延があった場合は法定利率による遅延損害金の額
・役務提供開始後
  1. 提供された役務の対価に相当する額
  2. 解除によって通常生ずる損害の額
  3. 1.及び2.の金額の支払いの遅延があった場合は法定利率による遅延損害金の額
事業者が請求し得る金額の上限
継続的役務取引 通常要する費用の額 通常生ずる損害の額
エステティックサロン 2万円 2万円又は契約残額の10%のいずれか低い額
美容医療 2万円 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額
語学教室 1万5千円 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額
家庭教師 2万円 5万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
学習塾 1万1千円 2万円又は1月分の役務の対価に相当する額のいずれか低い額
パソコン教室 1万5千円 5万円又は契約残額の20%のいずれか低い額
結婚相手紹介サービス 3万円 2万円又は契約残額の20%のいずれか低い額

特定継続的役務提供が中途解約された場合、関連商品も中途解約ができます。
中途解約の場合には消費者には原状回復義務があるとともに、不当利得が発生した場合にはこれを返還する義務がありますが、事業者が請求し得る金額の上限が規定されています。

・関連商品が返還された場合
  1. 通常の使用料に相当する額
    ※価値が低下した場合
    「販売価額に相当する額から返還された時における価格を控除した額」、すなわち新品と返還された関連商品の中古品としての価値の差額分が「通常の使用料」を超えている場合にはその額が上限となり、化粧品や健康食品を開封・消費した場合、書籍に書き込みをした場合のように、関連商品の返還時の価値が低下している場合には、契約締結時の交付書面に記載した清算方法に拠って、その差額分を上限として請求することができます。
  2. 1.の金額の支払遅延があった場合には法定利率による遅延損害金の額
・関連商品が返還されない場合
  1. 商品の販売価格に相当する額
  2. 1.の金額の支払遅延があった場合には法定利率による遅延損害金の額

「通常の使用料に相当する額」については、レンタル料金等が目安となりますが、当該商品の減価償却費、マージン、金利等を考慮した合理的な額でなければなりません。

参考サイト

このページに関するお問い合わせ先

近畿経済産業局 産業部 消費経済課 消費者相談室 
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6028(年末年始、祝日を除く月~金 9:30~16:00)

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