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【ダイハツ工業株式会社】エア漏れ診断をきっかけに、取引先と進めるカーボンニュートラル

最終更新日:令和7年2月28日

ダイハツ工業株式会社(以下、ダイハツ)では、サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを推進するために、関連会社を対象に「エア漏れ監査」を実施しています。
今回はその関連会社の1つである兵庫県小野市に本社を置く自動車部品メーカー・株式会社神菱(以下、神菱)を訪問し、工場内の多くの生産設備に使用されているエア(圧縮空気)の漏れを点検する現場を取材させていただきました。

漏れをなくせば「一石二鳥」

エンジンの部品を製造している工場棟に案内していただくと、天井には縦横にエアを送る配管が張り巡らされていました。
部品の加工や切削、塗装、清掃など多くの生産設備がエアで動いていて、神菱の橋本健司社長によると「工場の消費電力の約25%はエア関連が占めている」とのこと。空気を圧縮して送り出す装置・コンプレッサーが大量に電力を消費するのです。

ここで問題になるのがエアの漏れ。配管の接続部や劣化箇所などではエア漏れが生じることがあります。漏れたエアは生産には何の役にも立たず、コンプレッサーを無駄に動かした分、電力をロスしたことになります。エア漏れを検知し、対策を講じることで電力の消費量が減り、脱炭素につながるというわけです。同時に電気代も安くなりますから、脱炭素とコスト削減の両方を実現する「一石二鳥」(橋本社長)の対策です。

特殊な装置でエア漏れを見える化

エア漏れ検査は、生産管理に知見・経験のあるダイハツの社員と神菱社員と共に実施しています。
検査にはエア漏れの発生箇所を見分けることができる特殊な装置を使います。高価な装置ですが、ダイハツが購入し、神菱を含めたグループ会社のエア漏れ検査に使用しているということです。
装置のモニター上ではエア漏れが生じている場所が赤く表示されます。

監査1 モニター写真

ダイハツの田口哲也・サプライチェーン管理室主担当員によると「工場内の2300~2400カ所を対象に調査し、エア漏れが見つかると、その場所に札を付けておき、修理は後日自社で行ってもらう」そうです。
また、工場図面を元にエア漏れマップを作成し、報告書にまとめます。その際、改善した場合のCO2排出削減効果や削減コストを数字で見える化することが重要とお話しされていました。
ダイハツでは、エア漏れの点検だけでなく、エアガンの効率的な使い方を現場の作業者にレクチャーする「出前講座」も併せて実施し、運用面での省エネのノウハウも伝授しています。
物理的な対策だけでなく、運用面で作業者に省エネを意識してもらうことも大事なポイントです。

監査2 エア漏れマップ 監査3

進む脱炭素対策

今回でエア漏れ検査は3回目。1年半前に行った最初の検査では2000カ所を超える調査対象の4~5%に当たる100カ所以上で漏れが見つかったと言います。
それが今回は1%弱の20カ所程度と大幅に減少。神菱では、エア漏れ対策によって、およそ9.2トンのCO2を削減し、金額にして467,300円のコスト削減も果たすことができました。
田口さんは「回を重ねるごとに意識が上がっている」と感じているそうです。
工場現場にいるとエアは出ていて当たり前だと感じてしまうが、改善できるポイントを知ることが重要とのことでした。
また、そうした取組をきっかけに、神菱では、工場の電力使用量などをビジュアル化し、それを社員が見えるように表示するようにしています。
これを機に神菱ではエア漏れ検査装置を購入し自社での活動を始めています。

神菱の田中崇夫取締役は「エア漏れ以外にもダイハツからアドバイスをいただいている。コンプレッサーの更新に関してもダイハツの工場内で得た知見から専門的な助言をしてもらい、設備の更新と運用改善で年間104トンのCO2と6,700千円の電気代を削減することができた」ということです。
神菱社内には月に1回「環境連絡会」があり、各部署の担当者が参加。ダイハツとコンタクトを取る中で知り得た情報(ベストプラクティスなど)等を現場リーダーに伝えて一緒に取り組むことで、現場のモチベーションに繋がっています。

サプライチェーン全体で脱炭素対策

ダイハツの辰巳正洋サプライチェーン管理室長は「ヨーロッパではカーボンニュートラルに関するルールが定まってきている。これまでは『いい物を安く』が基本だったが、今後は『どれだけ温室効果ガスの排出量が少ないか』で製品が買われるようになる」と強調。迅速に脱炭素対策を講じなければ手遅れになる、との危機感で本取組を開始。
また、カーボンニュートラルに向けた取組を進めることで各社の基盤が強くなると考えています。
このため、ダイハツ社内で効果が確認できた方法や知識を神菱などのグループ会社と共有し、共に取り組むことで、サプライチェーン全体で脱炭素を進めていく方針です。

ダイハツご担当 神菱

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