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イベントレポート「商店街・まちづくり現地見学ネットワーク交流会 in 泉佐野」~“空き店舗リノベーション”×長く愛される商店街・地域づくりを目指して~

最終更新日:令和7年7月9日

近畿経済産業局は、商店街・まちづくりに関わる様々なプレイヤーのネットワーク強化をはかるため、商店街活性化・まちづくりの現場を見学し、地域で活躍するキーパーソンと意見交換を行う「現地見学ネットワーク交流会」を令和7年6月27日(金)に大阪府泉佐野市で実施しました。

開催概要

令和7年6月27日(金曜日)、一般社団法人バリュー・リノベーションズ・さの、さの町場家守舎 まちばの芽、泉佐野市の協力を得て、泉佐野市内のさの町場エリアを中心に見学しながら、まちづくりキーパーソンとの意見交換を行う交流会を実施しました。
本イベントでは、和歌山市で実施した第1回交流会に引き続き、「空き店舗リノベーション×長く愛される商店街・地域づくり」をテーマに実施し、商店街活性化やまちづくりに興味をお持ちの約30名の方々にご参加いただきました。

泉佐野市と協力をし、空き家・空き店舗等の遊休不動産を活用して新たな事業展開等を行っている「一般社団法人バリュー・リノベーションズ・さの」マネージャーの石井博子さんと、「さの町場家守舎 まちばの芽」代表の橋本健一さんからそれぞれ取組・事例紹介をいただきました。

現地見学を実施した、泉佐野市のさの町場エリアは、江戸時代、豪商食野家・唐金家の船主集落として、多数の北前船で大坂・瀬戸内から日本海側を東北・北海道方面まで交易し、和泉国随一の港として栄えました。その歴史的背景が今でも地域に色濃く残されています。
古くから伝わる歴史・文化、そして街並みを活かすための、エリアリノベーション活動について説明する講師の話に、参加者は、熱心に耳を傾けるとともに、実際にまちを歩きながら、まちの歴史や取り組みについて学ぶことで、まちづくりの現場をリアルに体感することができました。
以下、交流会の様子を紹介します!

一般社団法人バリュー・リノベーションズ・さの の取り組み

一般社団法人バリュー・リノベーションズ・さの(以降VRSと表記)は、2019年7月から、泉佐野市の中心市街地エリアの衰退に歯止めをかけ、まちの再生・活性化へとつなげていくため、公民連携によるエリアリノベーション活動に取り組み、2022年3月に法人化(一般社団法人)した組織です。

主な事業として、以下の5つに取り組まれています。
① エリアリノベーション活動を通じた持続可能なまちづくり事業
② 女性をはじめとする人のそれぞれが持つ可能性を最大化させる人材育成事業
③ まちにある遊休不動産を活用したビジネスサポート事業
④ 人や情報をつなぐまちのプラットフォームの構築事業
⑤ その他、目的を達成するために必要な事業

5つの事業を組み合せながら、泉佐野市のまちの活力に資する機会の創出や交流の促進・支援、公共空間等の利活用、地域特性を活かしたまちづくり活動を行い、地域の価値を高め、多様な人々が集う場を創出しています。

元酒屋の建物をリノベーションし、おいしい和スイーツや茶道・和菓子作り体験が楽しめる施設の「甘味茶房さのまち庵」にて、マネージャーの石井博子さんから、これまでの取り組みのご紹介と泉佐野市内で遊休不動産を活用した施設をご案内いただきました。

VRSは、以下のような事業スキームで取り組みを進めておられます。
「人材発掘・育成」のフェーズでは、女性活躍やリノベーション等、様々な種類のセミナーやワークショップを企画、運営し、地域で活躍できる人材を育成、発掘しています。

「遊休不動産の発掘・活用」のフェーズでは、その出口として、遊休不動産を利活用してチャレンジショップや不動産オーナーとのマッチング事業を実施しています。
さらに、そこで生まれた賑わいをまちなかへ誘導し、まちを活性化していくサイクルをつくっています。

VRSの事業スキーム

また、VRSでは多くの女性スタッフが活躍されており、女性の視点を取り入れたまちづくりにも取り組んでいます。おいしいものやおしゃれなカフェ、子どもと一緒にいけるお店など、女性ならではの「ほしいもの」をカタチにしていく活動にも取り組み、「お客様と一緒に楽しむこと」を大切にされています。

これまでに、遊休不動産の解消が17件、人材発掘、育成は205人(うち出店につなげた人数45人)、シェアスペースでの年間集客人数8,000人以上の実績を残されていることに加え、VRSが取り組みを進めたことで、地価があがるという好影響もあったそうです。
さのまち庵の外観さのまち庵でのイベントの様子1
さのまち庵でのイベントの様子2まちあるきの様子

さの町場家守舎 まちばの芽 の取り組み

さの町場家守舎 まちばの芽(以降まちばの芽と表記)は、泉佐野市の旧市街「さの町場」エリアで活動する団体です。
活動拠点である「くらふとや」は、VRSが実施したワークショップをきっかけに、代表の橋本さんの祖母が暮らしていた築200年以上の町屋をリノベーションした施設です。
まちばの芽は、この「くらふとや」を拠点にして、イベントやワークショップを開催し、コミュニティづくり、学びの場づくりをされています。

代表の橋本健一さんから、活動に至った経緯や「くらふとや」のご紹介をいただきました。

まちばの芽は、「物事の本質を考え、思いやりの精神で繋がるコミュニティ」・「自分達で自立出来る力を身につける学びの環境づくり」・「ここにしかない価値の創造」を活動の軸に置き、今あるものの価値を活かしながら、時代に合わせた新しい使い方に変えながら、地域の活性化を目指す活動に取り組まれています。

橋本さんは、「くらふとや」をリノベーションするにあたり、これまで知らなかった歴史を知ることができ、活動を進めていく内に意識が変わっていったとお話されました。
「自分達で活動するからこそ分かることがある。活動を通して、「古さの中の良さ」を感じることができた。」との言葉が印象的でした。

くらふとや外観くらふとや内観
くらふとやでのイベントの様子橋本代表の講演の様子

担当者の感想(まとめ)

今回の交流会では、講師それぞれの実体験に基づくお話に加え、まちを歩き、施設を見学することで、参加者にまちの生の空気感を味わっていただくことができました。

今回のイベントでは、エリアで活動される色々な方々にお会いし、お話を伺いましたが、皆さまに共通して感じたことは、先人がこれまで紡いだ歴史や想いを大切にする前提の意識があり、その上で、多様な人が関わりを持ちながら、新しい価値観を取り入れた取り組みにもチャレンジする空気感をお持ちであるということです。

スタッフの方も様々なご出身、ご経歴の方がおられましたが、色んな考えを積極的に取り入れて前に進む空気感があり、とても素敵でした。

最後になりましたが、本交流会にご登壇いただきました石井様、橋本様、多大なるご協力を賜りました、VRS、まちばの芽、泉佐野市の皆様に心より感謝申し上げます。
近畿経済産業局では、引き続き定期的に現地見学ネットワーク交流会を開催する予定で、様々な地域の商店街・まちづくりに関わる皆さんの交流の場をつくってまいります。

関連リンク

イベント当日の集合写真

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