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最終更新日:令和3年6月17日
ある日、自宅で古新聞を片付けていると、数ヶ月前のチラシが目についた。それは、盆栽の展示会の広告で、普段から趣味で栽培しているため、チラシにあった作品の見事さに引かれ、主催者の販売元に電話で連絡を取った。
販売元の話では、「展示会はすでに終了しており、直近で開催の予定もない。ただ、営業所がお住まいの近くにあり、せっかくの機会だからカタログをお持ちして説明したい。」とのことだったので、「今すぐ購入する気はない。説明を受けるだけでもいいか。」と伝えたところ、相手方も了解したため、訪問を受けることになった。
その後、販売元から説明者が訪れ、商品のカタログで説明を受けた。チラシの作品についてはもともと興味があり、また説明者からも熱心に勧められたことから、結局その場で5万円の契約を結び、契約書を受け取った。
3日後、送られてきた商品を確認したところ、想像以上に大きく、またカタログの見た目よりも繊細さに欠けているように感じられたため、その日のうちに契約書に記載されていたクーリング・オフを販売元に告げた。その時、販売元から「大きさや内容を確認しなかったそちらが悪い。また、そちらの希望で訪問したのだから、訪問販売ではない。クーリング・オフは受け付けない。」と告げられた。
このように、商品のカタログが見たいとして来訪を要請した場合は、クーリング・オフの対象にはならないのだろうか。
特定商取引法第26条では、訪問販売、通信販売及び電話勧誘販売に関する同法の適用が除外される場合について規定しています。
このうち、同条第6項第1号で、「その住居において売買契約若しくは役務提供契約の申込みをし又は売買契約若しくは役務提供契約を締結することを請求した者に対して行う訪問販売」については、クーリング・オフ等の適用を受けないことが規定されています。
この規定の適用については、「請求」の前提として、購入者側に訪問販売の方法によって商品を購入する意思があらかじめあるかどうか、が重要になります。
購入者が、「○○を購入するから来訪されたい」等、「契約の申込み」又は「契約の締結」を明確に表示した場合等、取引に関して明確な意思表示をした場合は適用除外の規定に該当しますが、商品等についての単なる問合せ等を行った際に、販売業者等より訪問して説明をしたい旨の申出があり、これを消費者が承諾した場合は消費者から「請求」を行ったとは言えないため、この規定には該当しません。
ご相談の件については、販売元に連絡した当初、買う意思がないことを明確にしており、同法の来訪の要請には該当しないと思われるため、改めて書面でクーリング・オフを通知することをお勧めします。
消費者保護の重要な制度の1つである「クーリング・オフ」については、契約の意思を持って来訪の要請をした場合には適用されないなど、契約の形態、契約する商品や役務、契約金額といった様々な条件のもとでは、その適用を制限されてしまうことがあります。
また、今回の事例のように、そのような適用除外の規定を持ち出し、クーリング・オフを妨害しようとする悪質な事業者の説明を受けて誤認し、クーリング・オフの機会を逸してしまう事例も数多く見られます。
クーリング・オフ等、消費者保護のために法律で設けられた制度を利用するためには、まずその制度に関する正しい知識を持つことが重要です。
また、そのような事例に遭遇した場合、正しい知識を提供できる公的機関(都道府県や市町村の消費者センター等)や民間団体等の相談先の情報収集も、同様に行っていただくことをお勧めします。
近畿経済産業局 産業部 消費経済課 消費者相談室
住所:〒540-8535 大阪市中央区大手前1-5-44
電話番号:06-6966-6028(年末年始、祝日を除く月~金 9:30~16:00)
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